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第5章 ストラトス帝国編
殺(や)る気 スイッチ
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「な…なにが起こったのだ…?」
シュバイン軍の指揮官兵が自陣のど真ん中にあいたクレーターをみながら力なくつぶやいた。
「なんだ今のは…?」
「どうやらセナ様の攻撃のようです!」
同じく驚きを隠せないでいたギルスにセナをみつけた兵が報告した。
「間に合ってよかったぁ…今のうちに迅風いそごう!」
「ヒヒィーーーン!」
突然のことに静まり返り動きが止まった戦場へ迅風の鳴き声が響き渡った。
「うぉ~!!セナ様だ!セナ様が来たぞぉ!!」
「セナ様だ!勝てるぞ!一気に押せ押せぇ!」
迅風の鳴き声をききセナをみつけたブレイダー軍が声を上げ士気が最高潮へ高まった。
「セナ様!よ…よかった…」
あきらめたエリスだったがセナをみて安堵の息をはき涙をうっすら浮かべアリアをみた。
「アリア!セナ様がきてくれましたよ!」
エリスの言葉に力いっぱい歌いながら笑顔を浮かべたアリアが頷いた。
「セナ様…相変わらず派手ですごいですね…」
「さすがですよね…来るだけで味方の士気があんなにあがるんだもの」
「華がちがいますからっ!華がっ!みてください!あのセナ様と迅風の神々しいまでの存在感!やはり迅風…」
「やばいメディーの変なスイッチもはいったみたい」
マインの言葉にドヤ顔をきめながら口速く話始めたメディーにコニーがひきつった笑いを浮かべながらもセナをみていた。
「セ…セナ様?さきほどの攻撃は?」
「雷霆っていいます。味方にあたらないように威力を落としてグラニールへの攻撃を落とすだけに絞って撃ったんで大丈夫ですよ」
背中でひきつりながら訪ねるスカーレットにセナはなんでもないかのように答えながら戦場へとたどり着いた。
「セナ様!私はここで降りて南側をやります!」
「わかりました!森に潜んでいるかもしれませんので気を付けて!」
セナがギルスたちに合流する少し手前でスカーレットが迅風から飛び降りた。
「ギルス様!」
「おぉ!セナ殿!さきほどは助かった!」
ギルスとセルジオをみつけたセナが迅風とともに駆け寄るとギルスが笑顔で迎え入れた。
「それで戦況は?」
「うむ!アリアの歌で奴隷たちが解放され今は我らが押している」
「アリアの歌で?やっぱりアリアはすごい…」
セナがアリアを見上げながら心底感心しているとギルスは少し苦笑いを浮かべた。
「セナ殿も十分すごすぎるがな…とりあえず先ほどの攻撃でむこうの陣形がくずれた。あとは前線をくずしてしまえば敵の本陣へといけるのだがな」
「なるほど」
戦場をみながらギルスの話をきいたセナが少し考えた後、一切の力みも勢いもなく、まったくいつもどおりの感じでギルスに言葉をかけた。
「では、僕と迅風が敵の真ん中を突き破って本陣までいってきます」
「は?」
「迅風いけるよね?」
「ブルルル」
軽く散歩でもするかのような雰囲気で笑顔で迅風の首をなでるセナにギルスが呆気に取られているとセナが迅風を走らせた。
「では行ってきます」
「いや!セナ殿ちょっとまたれ…!」
走り出した迅風にやっと我に返ったギルスが声をかけたがすでにセナは最前線へと走り去っていた。
「セナ様がきたぞ!道をあけろ!!」
迅風にきづいた騎士たちが次々左右に割れセナに道を開けて行った。
「ガルハルトさん!」
「セナ殿か!」
「本陣まで突っ切ります!」
「はぁ?っておい!本気か?…おい!みんなよけろ!巻き添えを食うぞ!!よけろぉ!」
セナの言葉に驚きをかくせなかったがセナが刀をぬくのをみてガルハルトは焦りながら味方に指示を飛ばした。
「報告致します!リネアの英雄が合流した模様!単騎でつっこんできます!」
「なにぃ!?なめおって!あの優男が!!迎え撃て!!」
敵の本陣では報告をうけた指揮官兵が顔をまっかにして怒りをあらわにした。
「こいつらに容赦はしなくてもいい…一気にいくよ!迅風!」
「ヒヒィーーーン!」
グラニールやアリアを攻撃され、めずらしく怒気をはらんだセナの言葉に迅風が目を見開き魔力を爆発させさらに加速した。
「焔・軻遇突智!」
刀身の何倍もある炎が刀から噴き出しセナはそれで目に映る敵兵をどんどん薙ぎ払っていった。
「あぢぃっ!」
「うぎゃぁ!」
セナの炎の刃に切られた部分が燃え魔力をふんだんに込められた炎は多少のことでは消えず切られた後も燃え続けることからセナの通った後は炎の道と化していた。
「すごい…炎の道が戦場を真っ二つに割ってできていってる」
エルシーダの背中からみていたコニーが驚愕の表情を浮かべつぶやいた。
「ここから先は行かせんぞ!!」
あと少しで敵本陣へたどりつくセナの前に重厚な盾を持った数名の騎士たちが立ちはだかった。
「この盾に魔法は効かんぞ!」
炎を消し立ち止まったセナに盾を持った騎士の一人がガシャンガシャン盾を鳴らしながら言った。
「ブルルル」
ドカッ!
「ぐっはぁ!」
「隊長!ひっ!ひぃー!!来るなぁ!!」
隊長と言われた大男は立ち上がった迅風の前足にあっけなく押しつぶされ圧死するのをみた他の盾をもった騎士たちが盾を投げ捨て叫びながら逃げ出した。
「うわぁ!英雄が悪魔の馬でぇっ!ぐはぁ!」
叫びながら逃げる騎士たちを迅風が容赦なく吹き飛ばしたり蹴りながら再び加速をはじめた。
「……もしかしてですが…悪魔の馬と叫ばれているのは…」
「メディー!?き…気のせいですよ!けっして迅風のことじゃないですよっ!あんなに神々しくてかっこいい迅風のわけがないですよっ!!ね?」
どす黒いオーラを噴き出しながら俯き言うメディーにコニーが焦ったようにフォローをしマインに同意を求めるとマインは顔を蒼くし首を何度も縦に振った。
「英雄が黒い悪魔にのってやってくるぞぉ!ぐわぁぁぁ!!」
「……………」
コニーが必死にフォローをするなか、敵陣からさらに悲鳴があがり益々メディーがどす黒いオーラをたぎらせた。
「み…見る目がないなぁ!あいつらは!…ねぇ?あは…あははは…」
ちらちらとメディーを見ながらコニーが乾いた笑いをうかべマインも必死にうなずいていた。
「…エルシーダ?あいつらに渾身のブレスをおみまいしてやって?」
慈しむような目でエルシーダをみながら優しくなでたメディーだったが未だ騒ぐ敵を睨みつけ物騒なことを言い放った。
「グルゥ?」
「メディー?エルシーダは飛竜だからブレスは…」
「ならあいつらの真上までいってマインの魔法をお見舞いしましょう!」
メディーの要望に困惑した声をあげたエルシーダをなでながら困った顔でコニーがいうと満面の笑みでこれしかないといわんばかりにメディーがマインへ言いマインは顔を青ざめて首を必死に横に振っていた。
「神馬様を悪魔だと!?」
「不届きものどもを許すなっ!」
「神馬様にかわり我らが天罰をあたえろ!一人たりとも逃すな!!」
メディーが怒りをあらわにする中、森を中心に戦っていたジルネイからきた獣人達が鬼の形相と化し迅風を悪魔とさけぶシュバイン兵たちに襲い掛かり始めた。
「何事だ?なにがおこっておるんだ!?」
「わかりません!急にジルネイの友軍が怒り戦い始めた模様です!」
戦況をみていたギルスが戸惑いの声をあげ、報告をした騎士も困惑した様子だった。
「あそこの獣人達もメディーと同じスイッチが…」
「ねぇ?最近ジルネイで有名な黒馬の守り神ってまさか…」
青ざめた顔をしたマインが獣人達をみながらつぶやくと、思い出したかのようにコニーがメディーを見ながら訪ねる様に言った。
「そうです!迅風はジルネイの守り神として祀られている…そう!まさに神なのですっ!」
興奮したように力強くいうメディーに気圧されあいまいに笑うしかない二人をよそに獣人達がすさまじい勢いでシュバイン兵たちを倒していった。
シュバイン軍の指揮官兵が自陣のど真ん中にあいたクレーターをみながら力なくつぶやいた。
「なんだ今のは…?」
「どうやらセナ様の攻撃のようです!」
同じく驚きを隠せないでいたギルスにセナをみつけた兵が報告した。
「間に合ってよかったぁ…今のうちに迅風いそごう!」
「ヒヒィーーーン!」
突然のことに静まり返り動きが止まった戦場へ迅風の鳴き声が響き渡った。
「うぉ~!!セナ様だ!セナ様が来たぞぉ!!」
「セナ様だ!勝てるぞ!一気に押せ押せぇ!」
迅風の鳴き声をききセナをみつけたブレイダー軍が声を上げ士気が最高潮へ高まった。
「セナ様!よ…よかった…」
あきらめたエリスだったがセナをみて安堵の息をはき涙をうっすら浮かべアリアをみた。
「アリア!セナ様がきてくれましたよ!」
エリスの言葉に力いっぱい歌いながら笑顔を浮かべたアリアが頷いた。
「セナ様…相変わらず派手ですごいですね…」
「さすがですよね…来るだけで味方の士気があんなにあがるんだもの」
「華がちがいますからっ!華がっ!みてください!あのセナ様と迅風の神々しいまでの存在感!やはり迅風…」
「やばいメディーの変なスイッチもはいったみたい」
マインの言葉にドヤ顔をきめながら口速く話始めたメディーにコニーがひきつった笑いを浮かべながらもセナをみていた。
「セ…セナ様?さきほどの攻撃は?」
「雷霆っていいます。味方にあたらないように威力を落としてグラニールへの攻撃を落とすだけに絞って撃ったんで大丈夫ですよ」
背中でひきつりながら訪ねるスカーレットにセナはなんでもないかのように答えながら戦場へとたどり着いた。
「セナ様!私はここで降りて南側をやります!」
「わかりました!森に潜んでいるかもしれませんので気を付けて!」
セナがギルスたちに合流する少し手前でスカーレットが迅風から飛び降りた。
「ギルス様!」
「おぉ!セナ殿!さきほどは助かった!」
ギルスとセルジオをみつけたセナが迅風とともに駆け寄るとギルスが笑顔で迎え入れた。
「それで戦況は?」
「うむ!アリアの歌で奴隷たちが解放され今は我らが押している」
「アリアの歌で?やっぱりアリアはすごい…」
セナがアリアを見上げながら心底感心しているとギルスは少し苦笑いを浮かべた。
「セナ殿も十分すごすぎるがな…とりあえず先ほどの攻撃でむこうの陣形がくずれた。あとは前線をくずしてしまえば敵の本陣へといけるのだがな」
「なるほど」
戦場をみながらギルスの話をきいたセナが少し考えた後、一切の力みも勢いもなく、まったくいつもどおりの感じでギルスに言葉をかけた。
「では、僕と迅風が敵の真ん中を突き破って本陣までいってきます」
「は?」
「迅風いけるよね?」
「ブルルル」
軽く散歩でもするかのような雰囲気で笑顔で迅風の首をなでるセナにギルスが呆気に取られているとセナが迅風を走らせた。
「では行ってきます」
「いや!セナ殿ちょっとまたれ…!」
走り出した迅風にやっと我に返ったギルスが声をかけたがすでにセナは最前線へと走り去っていた。
「セナ様がきたぞ!道をあけろ!!」
迅風にきづいた騎士たちが次々左右に割れセナに道を開けて行った。
「ガルハルトさん!」
「セナ殿か!」
「本陣まで突っ切ります!」
「はぁ?っておい!本気か?…おい!みんなよけろ!巻き添えを食うぞ!!よけろぉ!」
セナの言葉に驚きをかくせなかったがセナが刀をぬくのをみてガルハルトは焦りながら味方に指示を飛ばした。
「報告致します!リネアの英雄が合流した模様!単騎でつっこんできます!」
「なにぃ!?なめおって!あの優男が!!迎え撃て!!」
敵の本陣では報告をうけた指揮官兵が顔をまっかにして怒りをあらわにした。
「こいつらに容赦はしなくてもいい…一気にいくよ!迅風!」
「ヒヒィーーーン!」
グラニールやアリアを攻撃され、めずらしく怒気をはらんだセナの言葉に迅風が目を見開き魔力を爆発させさらに加速した。
「焔・軻遇突智!」
刀身の何倍もある炎が刀から噴き出しセナはそれで目に映る敵兵をどんどん薙ぎ払っていった。
「あぢぃっ!」
「うぎゃぁ!」
セナの炎の刃に切られた部分が燃え魔力をふんだんに込められた炎は多少のことでは消えず切られた後も燃え続けることからセナの通った後は炎の道と化していた。
「すごい…炎の道が戦場を真っ二つに割ってできていってる」
エルシーダの背中からみていたコニーが驚愕の表情を浮かべつぶやいた。
「ここから先は行かせんぞ!!」
あと少しで敵本陣へたどりつくセナの前に重厚な盾を持った数名の騎士たちが立ちはだかった。
「この盾に魔法は効かんぞ!」
炎を消し立ち止まったセナに盾を持った騎士の一人がガシャンガシャン盾を鳴らしながら言った。
「ブルルル」
ドカッ!
「ぐっはぁ!」
「隊長!ひっ!ひぃー!!来るなぁ!!」
隊長と言われた大男は立ち上がった迅風の前足にあっけなく押しつぶされ圧死するのをみた他の盾をもった騎士たちが盾を投げ捨て叫びながら逃げ出した。
「うわぁ!英雄が悪魔の馬でぇっ!ぐはぁ!」
叫びながら逃げる騎士たちを迅風が容赦なく吹き飛ばしたり蹴りながら再び加速をはじめた。
「……もしかしてですが…悪魔の馬と叫ばれているのは…」
「メディー!?き…気のせいですよ!けっして迅風のことじゃないですよっ!あんなに神々しくてかっこいい迅風のわけがないですよっ!!ね?」
どす黒いオーラを噴き出しながら俯き言うメディーにコニーが焦ったようにフォローをしマインに同意を求めるとマインは顔を蒼くし首を何度も縦に振った。
「英雄が黒い悪魔にのってやってくるぞぉ!ぐわぁぁぁ!!」
「……………」
コニーが必死にフォローをするなか、敵陣からさらに悲鳴があがり益々メディーがどす黒いオーラをたぎらせた。
「み…見る目がないなぁ!あいつらは!…ねぇ?あは…あははは…」
ちらちらとメディーを見ながらコニーが乾いた笑いをうかべマインも必死にうなずいていた。
「…エルシーダ?あいつらに渾身のブレスをおみまいしてやって?」
慈しむような目でエルシーダをみながら優しくなでたメディーだったが未だ騒ぐ敵を睨みつけ物騒なことを言い放った。
「グルゥ?」
「メディー?エルシーダは飛竜だからブレスは…」
「ならあいつらの真上までいってマインの魔法をお見舞いしましょう!」
メディーの要望に困惑した声をあげたエルシーダをなでながら困った顔でコニーがいうと満面の笑みでこれしかないといわんばかりにメディーがマインへ言いマインは顔を青ざめて首を必死に横に振っていた。
「神馬様を悪魔だと!?」
「不届きものどもを許すなっ!」
「神馬様にかわり我らが天罰をあたえろ!一人たりとも逃すな!!」
メディーが怒りをあらわにする中、森を中心に戦っていたジルネイからきた獣人達が鬼の形相と化し迅風を悪魔とさけぶシュバイン兵たちに襲い掛かり始めた。
「何事だ?なにがおこっておるんだ!?」
「わかりません!急にジルネイの友軍が怒り戦い始めた模様です!」
戦況をみていたギルスが戸惑いの声をあげ、報告をした騎士も困惑した様子だった。
「あそこの獣人達もメディーと同じスイッチが…」
「ねぇ?最近ジルネイで有名な黒馬の守り神ってまさか…」
青ざめた顔をしたマインが獣人達をみながらつぶやくと、思い出したかのようにコニーがメディーを見ながら訪ねる様に言った。
「そうです!迅風はジルネイの守り神として祀られている…そう!まさに神なのですっ!」
興奮したように力強くいうメディーに気圧されあいまいに笑うしかない二人をよそに獣人達がすさまじい勢いでシュバイン兵たちを倒していった。
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