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第7章 大陸編
手を抜かない
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「けどアキラさん、抜かれるのをわかってるとはいえこっちも兵は減るんじゃねぇのか?」
「あぁ、それは大丈夫だよ」
「どういう意味だ?」
「こちらの兵はいまだほぼ無傷なんだ」
「んじゃどうやって向こうの戦力を削ってんだよ」
「うん、うちの防衛ラインに配備されている兵は死人なんだ」
「はぁ?」
「死んだ魔族やこの大陸になじめず死んでしまったものを使っているんだよ」
「どうやってだよ」
「デスロードの力にございます。ですわよね?魔王参謀様」
「ご名答」
アイリーンの答えにニヤリとアキラが笑って答えた。
「デスロードと契約してるのか?」
「いいや、前回セナ君の事柄で彼を引きずり出したことがあるからね、今回もそうやって来てもらってね。エイコがセナ君の下僕なら自分の言うことも聞けとお願いしたんだ」
「めちゃくちゃじゃねぇか…しかもお願いとは言わねぇ…脅迫ってんだぞそれ…」
「どちらにせよ、快く協力してもらっているんだよ」
「はぁ~心中お察しだな…相手がわりぃな…」
二人を前に直立不動で骨なのに青ざめているデスロードを容易に想像できたエイケンが哀れみの目をうかべた。
「あ、見つけた。それじゃあ、僕一度いってみるよ」
「おう、やりすぎんなよ?」
「撤退されても面倒だからね。もう少し奥に誘い込んでからでも十分だからよろしく頼むよ」
「わかってます。狙いどころはもう決めてるから大丈夫。じゃあ」
エイケンとアキラの言葉を理解していると頷いたセナが敵軍の元へ転移していった。
====================================
「お?居た。あんな開けた場所で悠々としてるなんて…」
敵軍の上空に転移したセナが森を抜け開けた場所でゆっくり進軍しているのをみてあきれたようにつぶやいた。
「じゃあ、まずは…居た居た、あそこだ!『 雷霆 』」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!なんだ!?敵襲か!?」
「いや!急に雷が落ちてきやがった!!」
「はぁ?晴れてるじゃねぇか!」
「しらねぇよ!こっちの気候がそうなのかもしれねぇじゃねぇか!」
「落ち着け!被害状況を調べろ!!」
「後ろに落ちたみたいです!衛生部隊がごっそりやられました!」
「なに!?」
「それと…来た道が…左右の崖やらにも落ちたようで…ふさがれてしまいました」
「なんと…」
「一度戻るにしても大幅に迂回せねばならなくなりました」
「くっ!しかたない!先に進みながら食えそうなものを探しいざとなった時の撤退ルートも探させろ!とりあえずこのまままた雷に襲われてはかなわん!全軍すすめ!」
======================================
「ただいま」
「おう!うまくやったか?」
「初撃としてはまあまあじゃないかな」
「まあまあどころか上出来だよセナ君」
「そうかな?よかった」
「セナ様はなにをやってきたんですか?」
「敵の医療、食料を担う部隊の7割がたを消し飛ばし、撤退ルートを山を崩しふさいでしまわれましたわ」
「え゛っ…」
セナが何をやってきたのかを聞いたコニーが代わりに説明をしたアイリーンの言葉を聞き絶句した。
「全部をつぶしちゃうと敵もあきらめちゃうから、少しだけ残して進むしかない状況にできればいいかなって思ったんだよね」
「うんうん、さすがセナ君だ。状況をよく理解してうまくやってくれたね」
「おう、いい判断だな」
「叔父さんとアキラさんに褒められるとなんだかうれしいな」
えげつないことをやってきたセナを二人の叔父がにこやかにほめ頭を撫でたりしている光景をコニーは理解できず見守ることしかできなかった。
「セナ様、お二方が準備を終えたそうですわ」
「お?さすがに早いですね!」
「ああ?そういや婆ぁ二人は何やってんだ?」
「ん?この魔王城と城下町の外に呪術で結界をはってもらっていたんだよ」
「はぁー、さすがにぬかりのねぇこった」
「だよね」
ヤオとタオの姿見えなかったことを思い出したエイケンがため息交じりに感心するのを見てセナは自慢げで嬉しそうに笑顔を浮かべた。
==========================================
「セナおめぇやりすぎなんじゃねぇか?」
「え?そうかな、でも今回からただの威嚇にきりかえたんだけどなぁ」
敵軍が第4の防衛ラインを越えてセナは襲撃を威嚇へと切り替えていた。
「あたりめぇだ!あのペースでやられちゃぁこっちに来る前に全滅しちまうだろうがっ!」
「いたっ!全滅はしないように調整はしてたよ!」
「嘘言え!」
「ほんとだよ!現に何人かはさらって情報を聞き出してもらってるし、いまだに向こうの魔王の姿がみえないんだ全滅なんてさせないよ」
「わかってんならいいけどよ!ってかよ、おめぇ相変わらずエグイよな」
「え?エグイことなんてなにもしてないよ?」
「はぁ?2回目の攻撃で食料にもなりそうな敵の魔物をぶったおして、その次は使えそうな指揮官何人かと敵兵を殺って全部アイリーンつかって魔界にひっぱりこんだじゃねぇか」
「物資を減らすのは常套じゃない、それに何人もいる指揮官をある程度つぶしておけば敵軍の指揮系統が一辺倒になるし情報だって聞き出せるかもしれない、それに倒した魔物や兵をこっちが使えば被害がでなくていいじゃない」
「だからっておめぇ…殺った敵兵つかって向こうを攻撃とか鬼すぎんだろ」
「ヤオさんとタオさん、それにアイリーンさんがいてくれるから使える戦術なんだから使わない手はないでしょ」
当然のことのようにあっさりと答えたセナにエイケンは絶句していたがヤオ達3人はセナの信頼の言葉を聞き満足げにうなずいていた。
「セナ様、敵はこちらをせめる軍が芳しくないためか、他3国への攻撃がとまっておられますわ」
「そうですか、よかったです」
「それとシャドウ様からのご報告でアルドラの教皇が転移の使い手らしいと」
「え?では今回の敵の動きは魔王と教皇の転移をつかっているってことですかね?」
「いえ、どうやら向こうの魔王は転移は使えぬようにございます」
「へ?そうなんですか?」
「魔力の残滓が1つしかないことからほぼ間違いないと思われますわ」
「魔王なのに…」
ヤオとタオの言葉に魔王ともなれば全員もれなく転移くらいはできるとどこかで思っていたセナが驚いた。
「セナ君、魔王といえども得手不得手があるし属性だってちがうんだよ」
「え?そうなの!?」
「ああ、基本多属性持ちが多いがね」
「そうなんだ…じゃあエイコお姉さんも多属性もちなの?」
「んー、本来ならこの状況で教えるべきではないけど」
「かまわないわ。セナちゃん私は光と神聖魔法以外をつかえるの」
「え!すごいね!!」
「エイコは独特な固有スキルをいくつかもっていてね、そのうちの1つのおかげで多属性持ちなのさ」
「はぁ~…やっぱりすごいや」
「ふふふっ、ありがとう」
セナはアキラとエイコの言葉を聞き感心しながらも尊敬のまなざしでエイコをみた。
「すげぇすげぇ言ってるけどおめぇは神聖魔法以外使えるし魔王でも持ってねぇ並列思考ももってるとんでも野郎じゃねぇか」
「燐気に龍気もお忘れなく」
「それに呪術に錬金術まで組み合わせておられますわ」
「魔眼と龍眼、鬼の装飾までもお持ちになられますわ」
「セナ君のほうがすごいじゃないか」
頭をかきながら水を差すように言ったエイケンの言葉に誇らしげにヤオ、タオ、アイリーンが答えると苦笑しながらアキラが感心した。
「だてに世界最強の歌姫の剣とよばれているわけではないのですよ!」
「コニー…そんな風に呼ばれてないから…」
ニヤニヤしながらいったコニーの言葉にセナががっくりと肩を落として答えた。
「最終ラインを超えそうよ?」
「そうか、じゃあそろそろ僕らも準備をはじめようか」
エイコの言葉にアキラが全員の顔を見回しいいセナたちは迎え撃つ準備を始めた。
「あぁ、それは大丈夫だよ」
「どういう意味だ?」
「こちらの兵はいまだほぼ無傷なんだ」
「んじゃどうやって向こうの戦力を削ってんだよ」
「うん、うちの防衛ラインに配備されている兵は死人なんだ」
「はぁ?」
「死んだ魔族やこの大陸になじめず死んでしまったものを使っているんだよ」
「どうやってだよ」
「デスロードの力にございます。ですわよね?魔王参謀様」
「ご名答」
アイリーンの答えにニヤリとアキラが笑って答えた。
「デスロードと契約してるのか?」
「いいや、前回セナ君の事柄で彼を引きずり出したことがあるからね、今回もそうやって来てもらってね。エイコがセナ君の下僕なら自分の言うことも聞けとお願いしたんだ」
「めちゃくちゃじゃねぇか…しかもお願いとは言わねぇ…脅迫ってんだぞそれ…」
「どちらにせよ、快く協力してもらっているんだよ」
「はぁ~心中お察しだな…相手がわりぃな…」
二人を前に直立不動で骨なのに青ざめているデスロードを容易に想像できたエイケンが哀れみの目をうかべた。
「あ、見つけた。それじゃあ、僕一度いってみるよ」
「おう、やりすぎんなよ?」
「撤退されても面倒だからね。もう少し奥に誘い込んでからでも十分だからよろしく頼むよ」
「わかってます。狙いどころはもう決めてるから大丈夫。じゃあ」
エイケンとアキラの言葉を理解していると頷いたセナが敵軍の元へ転移していった。
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「お?居た。あんな開けた場所で悠々としてるなんて…」
敵軍の上空に転移したセナが森を抜け開けた場所でゆっくり進軍しているのをみてあきれたようにつぶやいた。
「じゃあ、まずは…居た居た、あそこだ!『 雷霆 』」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!なんだ!?敵襲か!?」
「いや!急に雷が落ちてきやがった!!」
「はぁ?晴れてるじゃねぇか!」
「しらねぇよ!こっちの気候がそうなのかもしれねぇじゃねぇか!」
「落ち着け!被害状況を調べろ!!」
「後ろに落ちたみたいです!衛生部隊がごっそりやられました!」
「なに!?」
「それと…来た道が…左右の崖やらにも落ちたようで…ふさがれてしまいました」
「なんと…」
「一度戻るにしても大幅に迂回せねばならなくなりました」
「くっ!しかたない!先に進みながら食えそうなものを探しいざとなった時の撤退ルートも探させろ!とりあえずこのまままた雷に襲われてはかなわん!全軍すすめ!」
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「ただいま」
「おう!うまくやったか?」
「初撃としてはまあまあじゃないかな」
「まあまあどころか上出来だよセナ君」
「そうかな?よかった」
「セナ様はなにをやってきたんですか?」
「敵の医療、食料を担う部隊の7割がたを消し飛ばし、撤退ルートを山を崩しふさいでしまわれましたわ」
「え゛っ…」
セナが何をやってきたのかを聞いたコニーが代わりに説明をしたアイリーンの言葉を聞き絶句した。
「全部をつぶしちゃうと敵もあきらめちゃうから、少しだけ残して進むしかない状況にできればいいかなって思ったんだよね」
「うんうん、さすがセナ君だ。状況をよく理解してうまくやってくれたね」
「おう、いい判断だな」
「叔父さんとアキラさんに褒められるとなんだかうれしいな」
えげつないことをやってきたセナを二人の叔父がにこやかにほめ頭を撫でたりしている光景をコニーは理解できず見守ることしかできなかった。
「セナ様、お二方が準備を終えたそうですわ」
「お?さすがに早いですね!」
「ああ?そういや婆ぁ二人は何やってんだ?」
「ん?この魔王城と城下町の外に呪術で結界をはってもらっていたんだよ」
「はぁー、さすがにぬかりのねぇこった」
「だよね」
ヤオとタオの姿見えなかったことを思い出したエイケンがため息交じりに感心するのを見てセナは自慢げで嬉しそうに笑顔を浮かべた。
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「セナおめぇやりすぎなんじゃねぇか?」
「え?そうかな、でも今回からただの威嚇にきりかえたんだけどなぁ」
敵軍が第4の防衛ラインを越えてセナは襲撃を威嚇へと切り替えていた。
「あたりめぇだ!あのペースでやられちゃぁこっちに来る前に全滅しちまうだろうがっ!」
「いたっ!全滅はしないように調整はしてたよ!」
「嘘言え!」
「ほんとだよ!現に何人かはさらって情報を聞き出してもらってるし、いまだに向こうの魔王の姿がみえないんだ全滅なんてさせないよ」
「わかってんならいいけどよ!ってかよ、おめぇ相変わらずエグイよな」
「え?エグイことなんてなにもしてないよ?」
「はぁ?2回目の攻撃で食料にもなりそうな敵の魔物をぶったおして、その次は使えそうな指揮官何人かと敵兵を殺って全部アイリーンつかって魔界にひっぱりこんだじゃねぇか」
「物資を減らすのは常套じゃない、それに何人もいる指揮官をある程度つぶしておけば敵軍の指揮系統が一辺倒になるし情報だって聞き出せるかもしれない、それに倒した魔物や兵をこっちが使えば被害がでなくていいじゃない」
「だからっておめぇ…殺った敵兵つかって向こうを攻撃とか鬼すぎんだろ」
「ヤオさんとタオさん、それにアイリーンさんがいてくれるから使える戦術なんだから使わない手はないでしょ」
当然のことのようにあっさりと答えたセナにエイケンは絶句していたがヤオ達3人はセナの信頼の言葉を聞き満足げにうなずいていた。
「セナ様、敵はこちらをせめる軍が芳しくないためか、他3国への攻撃がとまっておられますわ」
「そうですか、よかったです」
「それとシャドウ様からのご報告でアルドラの教皇が転移の使い手らしいと」
「え?では今回の敵の動きは魔王と教皇の転移をつかっているってことですかね?」
「いえ、どうやら向こうの魔王は転移は使えぬようにございます」
「へ?そうなんですか?」
「魔力の残滓が1つしかないことからほぼ間違いないと思われますわ」
「魔王なのに…」
ヤオとタオの言葉に魔王ともなれば全員もれなく転移くらいはできるとどこかで思っていたセナが驚いた。
「セナ君、魔王といえども得手不得手があるし属性だってちがうんだよ」
「え?そうなの!?」
「ああ、基本多属性持ちが多いがね」
「そうなんだ…じゃあエイコお姉さんも多属性もちなの?」
「んー、本来ならこの状況で教えるべきではないけど」
「かまわないわ。セナちゃん私は光と神聖魔法以外をつかえるの」
「え!すごいね!!」
「エイコは独特な固有スキルをいくつかもっていてね、そのうちの1つのおかげで多属性持ちなのさ」
「はぁ~…やっぱりすごいや」
「ふふふっ、ありがとう」
セナはアキラとエイコの言葉を聞き感心しながらも尊敬のまなざしでエイコをみた。
「すげぇすげぇ言ってるけどおめぇは神聖魔法以外使えるし魔王でも持ってねぇ並列思考ももってるとんでも野郎じゃねぇか」
「燐気に龍気もお忘れなく」
「それに呪術に錬金術まで組み合わせておられますわ」
「魔眼と龍眼、鬼の装飾までもお持ちになられますわ」
「セナ君のほうがすごいじゃないか」
頭をかきながら水を差すように言ったエイケンの言葉に誇らしげにヤオ、タオ、アイリーンが答えると苦笑しながらアキラが感心した。
「だてに世界最強の歌姫の剣とよばれているわけではないのですよ!」
「コニー…そんな風に呼ばれてないから…」
ニヤニヤしながらいったコニーの言葉にセナががっくりと肩を落として答えた。
「最終ラインを超えそうよ?」
「そうか、じゃあそろそろ僕らも準備をはじめようか」
エイコの言葉にアキラが全員の顔を見回しいいセナたちは迎え撃つ準備を始めた。
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