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2章 学園生活

73話 気になること(2)

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 驚いた顔を向ける私たちにあれ? という顔をする。もしかして知っていると思っていた?

「言っていませんでしたっけ?」

「「聞いてません!」」

 揃ってしまった声に少し引いてこちらを見る。いやいや、聞いていたら覚えていますって!

「そういえば、あまりきちんと自己紹介していなかったかもしれませんね」

 そういうと、ごほん、と一つ咳払いをしてもう一度こちらを見る。少し恥ずかしそうに、もう一度自己紹介させてください、と言った。

「オクトバック侯爵が次男、ハルクホーテン・ティー・オクトパックと申します。
 今は王宮の魔法師団、副団長を務めております。
 適正魔法は火、水、風、土の4属性で、光魔法は使えません。 
 あとは何か質問は?」

「先生って、とてもお若そうですがおいくつなのですか?」

「27歳です」

 27歳! やっぱり若かった。この学園の高等専門部の卒業が確か20歳だったからそれを考えるととても若い。それなのにもう副団長って相当な実力者なのかな。

「その若さで副団長になれるものなのですね……」

「運がとても良かったのです。
 丁度幹部の年齢的に後継者が求められる時期で、4属性扱える人がとても少なかったから。 
 それにここには少なからず爵位も関わっているのでしょうね」

 少しだけ寂しそうに先生はつぶやく。オクトバック侯爵家……。良くも悪くも話を聞かないな。まだ社交界デビューしていないし、あまり他家との交流がないけど何か派手なうわさがあれば耳に入っているはず。

「地位につくためには、爵位が大事ですか?」

 ポツリと小さな声で言ったのはマンセルトさん。この場で唯一貴族の子息子女ではない彼の言葉に先生は少し慌てた様子を見せた。

「い、いや!
 あくまでも実力が一番です。
 実力が並んだ場合、といったところでしょうか」

 すこし気まずくなってしまった空気を断ち切るように、また先生が咳はらいをした。

「さて、残り少なくなってしまったが、今日は土魔法をやってみましょうか」

 そういうと、いつものように笑顔で足元の土を軽く持ち上げる。それを見て、マンセルトさんも気持ちを切り替えるように取り組んでいく。ちなみにここまで私も彼も特に使えない魔法はなかった。
 
 先生が初期魔法しか教えていないということもあるのだろうが、火、水、風、土までは適正魔法と判断された。残るは、光魔法。私が一番気になっているものだった。
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