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帝位継承権争い?興味ねえ!
版画の魔法陣を実験する
「情報提供ありがとうございます、ヴァイナモ。お陰でスムーズに交渉出来ました」
「いえいえ、礼は団長に言ってください。俺はただ団長からの情報を伝えただけですから」
俺たちはキヴィラハティ侯爵とお話ししたその足で図書館へ向かう。今日はヤルノが完成した魔法陣の版画板を持ってくる日だからだ。
ちなみにキヴィラハティ侯爵の不正云々の話は近衛騎士団団長から聞いた。実は近衛騎士団団長は皇帝所有の暗部と繋がりがあるので、その辺の情報には詳しいのだ。
「それにしても、良かったのですか?態々エルネスティ様のお手を煩わせることになりましたが」
「まあ私は彼らの処罰をさらっと指示するだけですから。それによって今後このようなことを仕出かす人がいなくなるのであれば、動く価値はあると思ったのですよ」
「……表向きの処罰が軽すぎると皇帝陛下に呼び出されそうですがね」
「十中八九呼び出されるでしょうが、父上なら私の意図を汲み取ってくださるので大丈夫ですよ」
そんな話をしながら図書館の小部屋に着くと、中には既にヤルノがいた。ヤルノは俺の姿を確認すると、洗練された動きで恭しく頭を垂れる。
「おはようございます、殿下」
「おはようございます。すみません、待たせてしまって」
「いえ、私が勝手に『殿下なら朝からこの部屋に篭っているだろう』と勘違いしただけです」
「間違ってませんよ。今日はたまたま朝イチで寄る場所があったので」
そんな雑談を少し繰り返し、俺たちは早速本題に乗り出していった。
「こちらが殿下がご依頼された、魔力を込めて彫った魔法陣と込めずに彫った魔法陣でございます」
「ふおっふあ~。綺麗ですね。狂いもなく完璧な出来です。大変だったのでは?」
「いえいえ。職人として当然の仕事をしたまでですよ」
「本音は?」
「何度も手が死にかけましたありがとうございます」
泰然とした態度で謙遜したヤルノに本音を聞くと、少し頬を紅潮させながら手に頬擦りした。一度奇行を見られているので、あまり隠そうとしていないようだ。まあ俺は気にしないし構わないけど。
「ではこれより実験を行いましょう。ヤルノも見学してくださいね。彫刻師の視点から何かあれば教えてください」
「承知しました」
俺の言葉にヤルノは手を胸に添えて頭を下げる。ヤルノって見た目礼儀がなっていないチャラ男なのに中身めっちゃ礼儀正しいよな。ギャップ萌えってやつで高貴な若い女性に気に入られ易いんじゃないかな?まあ別のギャップでドン引きされるんだろうけど。いやヤルノは常人に擬態できるからワンチャンモテ男狙える?
「……何か余計なことを考えてませんか?殿下」
ヤルノはエスパーかな??
* * *
さて、早速実験をしよう。
まず二つの魔法陣の版画板で、魔力を込めていないインクを使って紙に魔法陣を写す。その時にムラが出来ないよう細心の注意を払いながら。でも手先が危なっかしいと言われてヤルノがすることになった。まあその道のプロがやった方が安心だわな。悲しくないぞ、全く。
そしてその後、予め魔力を込めたインクで紙に魔法陣を写す。ここでもヤルノ大活躍。俺たち必要無いんじゃね?と思ったが「私だけならまず実験する段階まで行ってません」とヤルノにマジレス言われた。そりゃそうだけど。
最後に、予め魔力を込めたインクで版画板に魔力を込めながら紙に写した。これは俺がやった。なんでもヤルノは彫るのに魔力を使い切って空っぽらしい。そっか普通の人なら魔力枯渇もあるのか。俺は無限水源だから関係ないけどな!
さてそんなこんなで6つの魔法陣が出来た。俺は見た目に大きな差がないことを確認し、ひとつずつ魔力を流し込んで行く。
まずインクに魔力を込めていない魔法陣。これは何となく予想していたが、どちらの魔法陣は発動しなかった。魔力を込めながら彫った版画板にももう残存魔力が残っていなかったのだろう。でも凄く綺麗な魔法陣だから部屋に飾ろう。朝目が覚めたら魔法陣が目の前にあるとかそれなんて天国。ヴァイナモとヤルノには苦笑いされたが。解せぬ。
次にインクに魔力あり、写す際の魔力なしの魔法陣。彫る時の魔力なしの方は発動しなかった。魔法陣の上に上手く魔力が乗らなかったようだ。流し込む際に魔力が突っかかる感覚があった。つまり魔法陣全体に魔力が充満していなかったのだ。これによって魔法陣を彫る際に魔力を込める必要があるというひとつの仮説が立てられた。
彫る際の魔力ありの方は一応発動はしたが、魔力を流し込む際に少し抵抗があった。少し引っかかる程度であったが、魔力量の少ないヴァイナモは扱いにくいかもしれない。それに魔力の持続性がペンで描いた魔法陣より半減していた。これでは不便だ。一応成功ではあるが、改善の余地がある品物である。
最後にインクに魔力あり、写す際の魔力ありの魔法陣。彫る時の魔力なしの魔法陣は先程の仮説通り、魔法陣は発動しなかった。これでほぼ確実に、彫る時に魔力を込める必要があることがわかった。
そして運命の彫る時の魔力ありの魔法陣。魔力を流し込むと、ほぼ抵抗もなく流れ込んだ。そして魔法陣は発動する。試しに小石を魔法陣に投げつけると、魔法陣はけたたましく鳴り響き、防御魔法が展開された。成功だ。
「やった……!やったでありますぞヴァイナモ殿!ヤルノ殿!二重魔法陣完成しましたぞ!しかも一重魔法陣とほぼ同じ条件で!素晴らしい!ああ魔力で輝く二重魔法陣をこの目で見られるとは!私は!この時を!!待っていた!!ああ!感激で足が宙に浮きそうだ!!」
俺は大興奮で魔法陣を拝んだ。俺の豹変に慣れたヴァイナモは呆れた笑みを浮かべたが、初めて見るヤルノは目を零れんばかりに見開いて俺を凝視した。なんだその変人を見る目は!確かに俺は変人だし!そういう視線を向けられても気にしないけど!お前も人のことは言えないからな!
「いえいえ、礼は団長に言ってください。俺はただ団長からの情報を伝えただけですから」
俺たちはキヴィラハティ侯爵とお話ししたその足で図書館へ向かう。今日はヤルノが完成した魔法陣の版画板を持ってくる日だからだ。
ちなみにキヴィラハティ侯爵の不正云々の話は近衛騎士団団長から聞いた。実は近衛騎士団団長は皇帝所有の暗部と繋がりがあるので、その辺の情報には詳しいのだ。
「それにしても、良かったのですか?態々エルネスティ様のお手を煩わせることになりましたが」
「まあ私は彼らの処罰をさらっと指示するだけですから。それによって今後このようなことを仕出かす人がいなくなるのであれば、動く価値はあると思ったのですよ」
「……表向きの処罰が軽すぎると皇帝陛下に呼び出されそうですがね」
「十中八九呼び出されるでしょうが、父上なら私の意図を汲み取ってくださるので大丈夫ですよ」
そんな話をしながら図書館の小部屋に着くと、中には既にヤルノがいた。ヤルノは俺の姿を確認すると、洗練された動きで恭しく頭を垂れる。
「おはようございます、殿下」
「おはようございます。すみません、待たせてしまって」
「いえ、私が勝手に『殿下なら朝からこの部屋に篭っているだろう』と勘違いしただけです」
「間違ってませんよ。今日はたまたま朝イチで寄る場所があったので」
そんな雑談を少し繰り返し、俺たちは早速本題に乗り出していった。
「こちらが殿下がご依頼された、魔力を込めて彫った魔法陣と込めずに彫った魔法陣でございます」
「ふおっふあ~。綺麗ですね。狂いもなく完璧な出来です。大変だったのでは?」
「いえいえ。職人として当然の仕事をしたまでですよ」
「本音は?」
「何度も手が死にかけましたありがとうございます」
泰然とした態度で謙遜したヤルノに本音を聞くと、少し頬を紅潮させながら手に頬擦りした。一度奇行を見られているので、あまり隠そうとしていないようだ。まあ俺は気にしないし構わないけど。
「ではこれより実験を行いましょう。ヤルノも見学してくださいね。彫刻師の視点から何かあれば教えてください」
「承知しました」
俺の言葉にヤルノは手を胸に添えて頭を下げる。ヤルノって見た目礼儀がなっていないチャラ男なのに中身めっちゃ礼儀正しいよな。ギャップ萌えってやつで高貴な若い女性に気に入られ易いんじゃないかな?まあ別のギャップでドン引きされるんだろうけど。いやヤルノは常人に擬態できるからワンチャンモテ男狙える?
「……何か余計なことを考えてませんか?殿下」
ヤルノはエスパーかな??
* * *
さて、早速実験をしよう。
まず二つの魔法陣の版画板で、魔力を込めていないインクを使って紙に魔法陣を写す。その時にムラが出来ないよう細心の注意を払いながら。でも手先が危なっかしいと言われてヤルノがすることになった。まあその道のプロがやった方が安心だわな。悲しくないぞ、全く。
そしてその後、予め魔力を込めたインクで紙に魔法陣を写す。ここでもヤルノ大活躍。俺たち必要無いんじゃね?と思ったが「私だけならまず実験する段階まで行ってません」とヤルノにマジレス言われた。そりゃそうだけど。
最後に、予め魔力を込めたインクで版画板に魔力を込めながら紙に写した。これは俺がやった。なんでもヤルノは彫るのに魔力を使い切って空っぽらしい。そっか普通の人なら魔力枯渇もあるのか。俺は無限水源だから関係ないけどな!
さてそんなこんなで6つの魔法陣が出来た。俺は見た目に大きな差がないことを確認し、ひとつずつ魔力を流し込んで行く。
まずインクに魔力を込めていない魔法陣。これは何となく予想していたが、どちらの魔法陣は発動しなかった。魔力を込めながら彫った版画板にももう残存魔力が残っていなかったのだろう。でも凄く綺麗な魔法陣だから部屋に飾ろう。朝目が覚めたら魔法陣が目の前にあるとかそれなんて天国。ヴァイナモとヤルノには苦笑いされたが。解せぬ。
次にインクに魔力あり、写す際の魔力なしの魔法陣。彫る時の魔力なしの方は発動しなかった。魔法陣の上に上手く魔力が乗らなかったようだ。流し込む際に魔力が突っかかる感覚があった。つまり魔法陣全体に魔力が充満していなかったのだ。これによって魔法陣を彫る際に魔力を込める必要があるというひとつの仮説が立てられた。
彫る際の魔力ありの方は一応発動はしたが、魔力を流し込む際に少し抵抗があった。少し引っかかる程度であったが、魔力量の少ないヴァイナモは扱いにくいかもしれない。それに魔力の持続性がペンで描いた魔法陣より半減していた。これでは不便だ。一応成功ではあるが、改善の余地がある品物である。
最後にインクに魔力あり、写す際の魔力ありの魔法陣。彫る時の魔力なしの魔法陣は先程の仮説通り、魔法陣は発動しなかった。これでほぼ確実に、彫る時に魔力を込める必要があることがわかった。
そして運命の彫る時の魔力ありの魔法陣。魔力を流し込むと、ほぼ抵抗もなく流れ込んだ。そして魔法陣は発動する。試しに小石を魔法陣に投げつけると、魔法陣はけたたましく鳴り響き、防御魔法が展開された。成功だ。
「やった……!やったでありますぞヴァイナモ殿!ヤルノ殿!二重魔法陣完成しましたぞ!しかも一重魔法陣とほぼ同じ条件で!素晴らしい!ああ魔力で輝く二重魔法陣をこの目で見られるとは!私は!この時を!!待っていた!!ああ!感激で足が宙に浮きそうだ!!」
俺は大興奮で魔法陣を拝んだ。俺の豹変に慣れたヴァイナモは呆れた笑みを浮かべたが、初めて見るヤルノは目を零れんばかりに見開いて俺を凝視した。なんだその変人を見る目は!確かに俺は変人だし!そういう視線を向けられても気にしないけど!お前も人のことは言えないからな!
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