上 下
120 / 302
2-2 おねショタ魔王と激突する。

海のカードをゲット!

しおりを挟む
「気を落とさないでね! アンタたちの腕はホンモノよ! 年配の人を審査員にしていたら、あなたたちの圧勝だったでしょう。でもね、アタシがこの子たちを呼んだのは、『他の魔王たち』のことも見て欲しかったからなの! 決して嫌がらせをしたかったからじゃないんだから!」

 言うとおり、マミちゃんの人選は、ボクたちにとっても難しかった。マミちゃんの意図を理解していたのは、この中でチサちゃんだけだ。

「ネウロータくん、負けを認めましょ」

 ゴネるネウロータくんとは対照的に、トシコさんはあっさりと敗北宣言をする。

「どうしてさ? 自分の料理が評価されなかったんだよ? 悔しくないの?」

「そりゃあ、悔しいわ。けど、大事なことにも気づかされたわ」
 トシコさんは、ボクたちの方を向いた。

「だって、お料理を作っているときの二人、楽しそうだったんだもん」


 意外な言葉に、チサちゃんも驚いた表情を浮かべている。


「ボクたち、そんな感じでしたか?」
「ええ、とても仲が良さそうで。あんな風に、協力してお料理するのも、楽しそうだなーと」

 言われてみれば、トシコさんたちは終始別行動をしていた。
 その方が効率がいいから。
 
 でも、違うんだ。

 一緒に作るって工程を楽しむことこそ、魔王と玉座の関係をより強固にするというわけか。

「というわけで、勝者はチサ・ダイキチームよ!」


 子どもたちから、拍手で祝福される。


「ぬぬう。悔しいが、お前の勝ちを認めてやる!」

 海のカードをもらった。


 でも、チサちゃんは突き返す。

「複製でいい」
「え、コピー品でいいのか?」

「構わない。ネウロータも、これで条件は同じ」

 チサちゃんは、海のカードを複製して、ネウロータくんに返す。


「いいのか? 複製カードだと、LOが強くなるぞ。それでもいいってのか?」


 海や山などの領域カードは、手に入れただけでは完全に自分の領地にならない。

 LOを倒さなければ。

 それも、複製版では恐ろしく強くなるらしい。


「海は自由にできる。でも、海を支配しているLOを倒さないと、次に行けない」
「ダイキがいるから、負けない」

「後になって、『やっぱり勝てないからオリジナルをくれ』って言ってきても、あげないからな!」

 顔を真っ赤にしながら、ネウロータくんはワーワーと怒鳴った。


「それでいい。あと、もう一つ要望が」

「まだ、何かあったか?」


「家来になるとかなんとか」

 チサちゃんが告げると、ネウロータくんはウンウンとうなずく。

「そういえば、そんな約束したな。よし。ボクは負けたんだ。お前の言うこと、なんでも聞こうじゃないか」


 
「家来とかはいい。友だちがいい」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

はみ出し者とうつけ王子

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

前世の因縁は断ち切ります~二度目の人生は幸せに~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:89,500pt お気に入り:2,129

わたしが嫌いな幼馴染の執着から逃げたい。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:25,880pt お気に入り:2,768

ドラゴン☆マドリガーレ

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:1,428pt お気に入り:671

短編作品集(*異世界恋愛もの*)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:184pt お気に入り:154

嫌われ者の僕

BL / 連載中 24h.ポイント:142pt お気に入り:1,735

処理中です...