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4-3 ラストダンジョンへ!
秒で終わる敗者復活戦 その2
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『しゅーりょー。これによって、イクミの最終決戦出場が決定しましたー』
テンション低めに、ロイリさんが宣言する。
魔王の一人が、イクミちゃんに食ってかかろうとした。
何もできずに終わってしまったことに対して、不服に思ったのだろう。
しかし、イクミちゃんの玉座であるディエロゴからひと睨みされて、魔王は怯んだ。
「どう? 本気を出せばこんなもんよ」
ピコピコハンマーを投げ捨てて、イクミちゃんはロイリさんを下から見上げた。
ロイリさんは、ニコニコはしている。
しかし、あまり歓迎しているムードではない。
「不満なら、あんたとやりあってもいいんだけど?」
『イクミ、あなたが勝ち上がってくるのは予想していました。しかし、今のあなたでは絶対にわたしたちにたどり着くことはできません』
「どうしてよ? あたしはこんなにも強いのよ? 何が不満なわけ?」
イクミちゃんの問いかけに、ロイリさんは答えない。
代わりに、イクミちゃんの玉座であるディエロゴに話を振った。
『ディエロゴ、あなたなら、わたしの言葉の意味がわかるでしょう』
「ああ。多分な」
言葉少なに、ディエロゴは答える。
「どういうこと、ディエロゴ!? あんたは何かを知っているの!?」
「今はわからなくていい。だが、勝ち進んできた魔王たちと対峙したとき、今の言葉の意味が痛いほどわかるだろう」
イクミちゃんは、大げさに舌打ちをした。
マミちゃんがテレビを消す。
「ね? 感じ悪いでしょ!?」
相変わらず敵意をむきだしにして、マミちゃんはイクミちゃんをけなした。
ここまで、マミちゃんが感情的になるなんて。
とはいえ、憎みきっている様子もなかった。
同じタイプのライバルができて、同族嫌悪しつつも尊重している様子が伺える。
「ダイキさんも、マミ様の闘志にお気づきですか?」
マミちゃんの玉座であるケイスさんが、ニヤリと笑う。
「はい。マミちゃん、元気いっぱいですね」
とはいえ、肝心のチサちゃんは、呆けている。
ずっと消えたテレビの画面を、ジッと見つめていた。
「どうしたの、チサ?」
マミちゃんに声をかけられると、チサちゃんは首を振る。
「ママの言葉は正しい」
チサちゃんは、お茶碗を下げた。
「今のイクミは、一人ぼっち。誰も寄せ付けていない。そんな感じでは、優勝しても何も手に入らない。あの子の世界は、自分しかいないから」
イクミちゃんは魔王になっても、何も手に入らない。
愛する黒竜ルチャは、もういないから。
「わたしは、イクミとも仲良くしたい。でも、イクミはそれを望んでいない。彼女が欲しいものは、もうこの世界にはない」
チサちゃんは、お箸を握りしめる。
「あの子は、すべてを破壊するつもり」
「じゃあ、ボクたちで止めないとね」
「うん。協力して、ダイキ」
テンション低めに、ロイリさんが宣言する。
魔王の一人が、イクミちゃんに食ってかかろうとした。
何もできずに終わってしまったことに対して、不服に思ったのだろう。
しかし、イクミちゃんの玉座であるディエロゴからひと睨みされて、魔王は怯んだ。
「どう? 本気を出せばこんなもんよ」
ピコピコハンマーを投げ捨てて、イクミちゃんはロイリさんを下から見上げた。
ロイリさんは、ニコニコはしている。
しかし、あまり歓迎しているムードではない。
「不満なら、あんたとやりあってもいいんだけど?」
『イクミ、あなたが勝ち上がってくるのは予想していました。しかし、今のあなたでは絶対にわたしたちにたどり着くことはできません』
「どうしてよ? あたしはこんなにも強いのよ? 何が不満なわけ?」
イクミちゃんの問いかけに、ロイリさんは答えない。
代わりに、イクミちゃんの玉座であるディエロゴに話を振った。
『ディエロゴ、あなたなら、わたしの言葉の意味がわかるでしょう』
「ああ。多分な」
言葉少なに、ディエロゴは答える。
「どういうこと、ディエロゴ!? あんたは何かを知っているの!?」
「今はわからなくていい。だが、勝ち進んできた魔王たちと対峙したとき、今の言葉の意味が痛いほどわかるだろう」
イクミちゃんは、大げさに舌打ちをした。
マミちゃんがテレビを消す。
「ね? 感じ悪いでしょ!?」
相変わらず敵意をむきだしにして、マミちゃんはイクミちゃんをけなした。
ここまで、マミちゃんが感情的になるなんて。
とはいえ、憎みきっている様子もなかった。
同じタイプのライバルができて、同族嫌悪しつつも尊重している様子が伺える。
「ダイキさんも、マミ様の闘志にお気づきですか?」
マミちゃんの玉座であるケイスさんが、ニヤリと笑う。
「はい。マミちゃん、元気いっぱいですね」
とはいえ、肝心のチサちゃんは、呆けている。
ずっと消えたテレビの画面を、ジッと見つめていた。
「どうしたの、チサ?」
マミちゃんに声をかけられると、チサちゃんは首を振る。
「ママの言葉は正しい」
チサちゃんは、お茶碗を下げた。
「今のイクミは、一人ぼっち。誰も寄せ付けていない。そんな感じでは、優勝しても何も手に入らない。あの子の世界は、自分しかいないから」
イクミちゃんは魔王になっても、何も手に入らない。
愛する黒竜ルチャは、もういないから。
「わたしは、イクミとも仲良くしたい。でも、イクミはそれを望んでいない。彼女が欲しいものは、もうこの世界にはない」
チサちゃんは、お箸を握りしめる。
「あの子は、すべてを破壊するつもり」
「じゃあ、ボクたちで止めないとね」
「うん。協力して、ダイキ」
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