失業暗黒騎士、勇者の姪である姫が作った街の門番に転職するも、姫様のほうが明らかに強い

椎名 富比路

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第二章 元・魔王四天王 シモン・セルバンデスの転職後の初陣

第15話 砦が塔にまで発展した原因

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 このように、異界からの侵略者がこちらに攻めてくる。
 俺たちが撃退したら、それでOK。しくじれば、世界を彼らに明け渡さなければならない。

「ペナルティとして、自身の世界にある文明を少し、こちらが奪えるのです」

 それが、行商人の手でこちらに売られてくると。

 なるほどね。それで特に他国と交易がなくても、街が発展していたと。

「責任重大だな。敵の排除も、排除した後も」

 俺は、リアカーに乗った商品を吟味する。

「どれを選んだらいいか、めちゃくちゃ悩むな」

 いったい、どれに価値があるのか。俺には、検討もつかない。
 
「始めは、そんなものです。ブレンダもピーザンも、未だにどの商品がベストなのか、観察眼はありません。もちろん、私にも」

「コツってのは、あるか?」

「ありません。モンにとってビビッときたもの、好きなものを選んでください」

 どこから出してきたのか、ヒナ王女はテーブル一式とティーセットを出す。緑茶を注ぎ、ウィローに差し出した。

「そんなものか?」

「はい。購入してみなければ、効果がわからないものばかりですから」

 解説しながら、ヒナ王女はお茶を飲む。

 相手の世界では有意義でも、こちらではガラクタの可能性だってある、と。

「なんか、ガチャみたいなもんだな」

「そうです、そうです。さすがに、ガチャほどハズレなアイテムは売られていませんので」

 だったら、本当に適当でよさそうだ。

「じゃあ、これで」

 俺は、かさばらなさそうな一品を選ぶ。

「この勾玉でよろしいでっか」

「よろしいでっせ」

 西オーサー語で、俺も返す。

「おおきに。どないしますねん?」

「こうやるんだよ」

 俺は、ヒナ王女に勾玉のネックレスをプレゼントした。

「お近づきの印だ。仕事をくれてありがとうな。ヒナ王女」

「まあ、ご丁寧に。ありがとうございます」

 ヒナ王女は、ネックレスを首にかける。

「きれいです。【水魔法耐性:三〇%】もありますね。これは、大事にいたします」

「いいよ。適当に処分してくれ」

 あくまでも気持ちだ。

「よろしいなあ。ほな、現地のグルメは、どないでっしゃろ?」

「どんなものがあるんだ?」

「何でもありますねんけど、『二秒に一個売れるモナカ』とか、おすすめでっせ」

 響きだけでも、うまそうだ。

「それもくれ」

「まいど、おおきにー」

 お茶請けにちょうどいいだろう。 
 
「金は、払うんだな?」

 ウィローに、銀貨を払う。

「はい。手間賃として、ウィローさんには。あちらの世界には、銅貨一枚さえ入りません」
 
 攻め込んできたんだからな。奪われても文句は言えないわけか。

「金で払ったもの以外は、なにも手に入らないのか」

 なんだか、苦労の割に合わない気がするのだが。

「とんでもありません。あちらの自然などは、ウィローさんを介して強奪できています」

 攻めてきた世界の生態系、樹木や果物や薬草の類、鉱物などは、こちらの自然にも組み込まれるという。

「だから小さな領地に、森ができていたのか!」

「そのとおりです。そうやって、この塔は領土拡大をしなくても、文明が発達していくのです」
 
 あの森は、よその生態系が入り込んだことで、発生したのか。

「せやけど、この塔が発達するたびに、よその国が攻めてきますねんで。その恩恵を奪い取ったれって」
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