16 / 74
第二章 元・魔王四天王 シモン・セルバンデスの転職後の初陣
第16話 雨雲のマガタマ
しおりを挟む
砦が開拓されると、アクータの領地を狙って他国が因縁をつけてくるという。
「どうして?」
「強すぎる文明を一つの国が持つことは、危険だと」
「言いがかりだっ」
こちらは未開の地だったアクータを、人の住める場所にまで発展させたというのに。頃合いがよくなってきたら、奪い取ろうなんて。
「第一、王女は他の世界なんかにケンカを売っていないんだよな? あっちはアクータに攻めて来ている」
「そうですよ」
ならばヒナ王女は、アクータの防衛をしているに過ぎないわけだ。その副産物として、ただの廃墟砦が塔にまで成長した。
「要は、おいしいトコだけをいただこうって魂胆だろ? 立派な国の、やることじゃないな」
「はい。ですから我々も、徹底的に抗戦致します」
「だよな、ヒナ王女。あんたは、そういう人だ」
手塩にかけて育てた国を、みすみす人に明け渡すようなマネなど、この人はしない。
「だったら、アクータを守るためのようなアイテムが欲しかったか? 何も考えずに、きれいな珠をプレゼントしてしまったが」
「いえ。モンが自腹を切ってくださった上で、私にくれたのでしょう? ありがとうございます」
俺は、適当に選んだだけなのだが。
「そのアイテムにも、ちゃんと効果はありまっせ。役に立つと思いまっさ」
お茶をぐいっと飲んで、ウィローは「ほな」と立ち去った。
「我々も、外へ出ましょう。このマガタマの効果を、モンにお見せしますよ」
ヒナ王女と、アクータに戻る。
「一番高いところに行きましょう」
俺はヒナ王女に連れられて、一番高い建物の上まで登った。
「ここは、時計塔です。向こうの国まで、見ることができるんですよ」
展望台から、ヒナ王女は地平線の先を見つめている。
「あんたのいうとおりだな。森が拡大している」
ピーザンのいる山が、一際盛り上がっていた。領地が多少拡大すると聞いたが、本当だったとは。
ヒナ王女が、塔のてっぺんでマガタマを握った。
マガタマが、光を放つ。
森の上空に、雨雲が広がっていった。
たちまち、雨が森に降り注ぐ。
「うわーっ、雨だー。洗濯物を取り込めー」
森の住人であるピーザンが、周囲に指示を出している声が。枝に干していた洗濯物を、仲間とともに取り込んでいる。
「あらーごめんなさーい」
ヒナ王女が、森の方へ呼びかけた。
「ヒナがやったのか。ならいいやー」
ピーザンが、こちらに手を振る。
「この宝玉は、【雨雲のマガタマ】といいます。使用すれば、雨を降らせることができるのです」
「じゃあ、【活性化のじょうろ】は必要ない?」
「作物の活性化には、必要でしょう。ですが、定期的な水やり、川や池などの水不足は、解消されるでしょう」
この土地にとって、水不足は深刻な問題だ。地下水が枯渇すれば、住民たちの命に関わる。
俺は知らない間に、アークタにとってもっとも必要とされるアイテムを手に取ったってわけか。
「実際、ここと繋がっている川に、毒を流されそうになったことがあります」
「ホントか。どうなった?」
「流した国家には、滅んでいただきました」
なんと……。
「住民にまで、被害は及んでいません。関係者だけが乗り込んできたので、始末を」
ヒナ王女が話していると、外が騒々しくなる。
「ブレンダ、何事ですか?」
「イルトリア軍だ。また凝りもせずに来たぞ」
王女は、ブレンダの報告を聞く。
なんだか、ヒナ王女が不敵な笑みを浮かべていた。
「どうして?」
「強すぎる文明を一つの国が持つことは、危険だと」
「言いがかりだっ」
こちらは未開の地だったアクータを、人の住める場所にまで発展させたというのに。頃合いがよくなってきたら、奪い取ろうなんて。
「第一、王女は他の世界なんかにケンカを売っていないんだよな? あっちはアクータに攻めて来ている」
「そうですよ」
ならばヒナ王女は、アクータの防衛をしているに過ぎないわけだ。その副産物として、ただの廃墟砦が塔にまで成長した。
「要は、おいしいトコだけをいただこうって魂胆だろ? 立派な国の、やることじゃないな」
「はい。ですから我々も、徹底的に抗戦致します」
「だよな、ヒナ王女。あんたは、そういう人だ」
手塩にかけて育てた国を、みすみす人に明け渡すようなマネなど、この人はしない。
「だったら、アクータを守るためのようなアイテムが欲しかったか? 何も考えずに、きれいな珠をプレゼントしてしまったが」
「いえ。モンが自腹を切ってくださった上で、私にくれたのでしょう? ありがとうございます」
俺は、適当に選んだだけなのだが。
「そのアイテムにも、ちゃんと効果はありまっせ。役に立つと思いまっさ」
お茶をぐいっと飲んで、ウィローは「ほな」と立ち去った。
「我々も、外へ出ましょう。このマガタマの効果を、モンにお見せしますよ」
ヒナ王女と、アクータに戻る。
「一番高いところに行きましょう」
俺はヒナ王女に連れられて、一番高い建物の上まで登った。
「ここは、時計塔です。向こうの国まで、見ることができるんですよ」
展望台から、ヒナ王女は地平線の先を見つめている。
「あんたのいうとおりだな。森が拡大している」
ピーザンのいる山が、一際盛り上がっていた。領地が多少拡大すると聞いたが、本当だったとは。
ヒナ王女が、塔のてっぺんでマガタマを握った。
マガタマが、光を放つ。
森の上空に、雨雲が広がっていった。
たちまち、雨が森に降り注ぐ。
「うわーっ、雨だー。洗濯物を取り込めー」
森の住人であるピーザンが、周囲に指示を出している声が。枝に干していた洗濯物を、仲間とともに取り込んでいる。
「あらーごめんなさーい」
ヒナ王女が、森の方へ呼びかけた。
「ヒナがやったのか。ならいいやー」
ピーザンが、こちらに手を振る。
「この宝玉は、【雨雲のマガタマ】といいます。使用すれば、雨を降らせることができるのです」
「じゃあ、【活性化のじょうろ】は必要ない?」
「作物の活性化には、必要でしょう。ですが、定期的な水やり、川や池などの水不足は、解消されるでしょう」
この土地にとって、水不足は深刻な問題だ。地下水が枯渇すれば、住民たちの命に関わる。
俺は知らない間に、アークタにとってもっとも必要とされるアイテムを手に取ったってわけか。
「実際、ここと繋がっている川に、毒を流されそうになったことがあります」
「ホントか。どうなった?」
「流した国家には、滅んでいただきました」
なんと……。
「住民にまで、被害は及んでいません。関係者だけが乗り込んできたので、始末を」
ヒナ王女が話していると、外が騒々しくなる。
「ブレンダ、何事ですか?」
「イルトリア軍だ。また凝りもせずに来たぞ」
王女は、ブレンダの報告を聞く。
なんだか、ヒナ王女が不敵な笑みを浮かべていた。
0
あなたにおすすめの小説
追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚
ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。
しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。
なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!
このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。
なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。
自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!
本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。
しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。
本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。
本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。
思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!
ざまぁフラグなんて知りません!
これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。
・本来の主人公は荷物持ち
・主人公は追放する側の勇者に転生
・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です
・パーティー追放ものの逆側の話
※カクヨム、ハーメルンにて掲載
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】
異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。
『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。
しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。
そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる