失業暗黒騎士、勇者の姪である姫が作った街の門番に転職するも、姫様のほうが明らかに強い

椎名 富比路

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第二章 元・魔王四天王 シモン・セルバンデスの転職後の初陣

第18話 獣人魔族との戦闘

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「リーダーがやられた!」

「ちくしょう、やっちまえ!」

 コボルト族どもが、俺に群がってきた。

「フン。コボルトごときでは、話にならんのだよ。そら!」

 俺はその場で、地面を踏みつける。

「ぐああ!」
 
 ダッシュの予備動作だけで、コボルト共は吹っ飛んでいった。どんだけ、鍛えてないんだよ?
 
 浮き上がったコボルトの群れを、俺は【チェイン・ライトニング・スピア】で追いかける。一人ずつ、拳撃で始末していった。

 黒い雷を放つこのスピアは、攻撃手段ではない。移動手段だ。槍からイカヅチを放ち、俺自身も雷となって移動する。雷属性を帯びた拳で、相手をショック死させるのだ。

 雷属性に耐性を持つ魔族は、少ない。四天王でも、俺の力と移動力を恐れている。

 塔へ近づこうとしている魔族にも瞬間的に追いつき、回し蹴りで首を跳ね飛ばす。

「数が多いな。めんどくせえ」

 俺は全体攻撃のスキルを、あまり持っていない。

「【閃空斬】!」

 ブレンダのスキルが、発動した。

 魔剣【アウトサイダー】を持ったブレンダが、塔の時計塔からスキルを撃ってきたらしい。

 傭兵団の半分が、消滅する。

「手伝おう。イヤだと言われても、手を貸すぞ」

 ブレンダが、俺の隣に立つ。
 
「いいのかよ? 俺のテストも兼ねてるんだろ?」

「いや。キミの実力は見せてもらった。ワタシも体を動かしたい」

「わかった。スキにしな」

 俺は、ブレンダを止めない。

 さすが、ブレンダである。素早い獣人タイプの魔族でさえ、意に介さない。鳥のように軽やかな動きで、獣人傭兵団を切断していった。

「【ブラッド・クロス】!」

 ブレンダを中心に、衝撃波が十字型に広がっていく。ブレンダの持つ範囲攻撃で、もっとも威力の大きなものだ。

「鳥型の獣人も、いるな」

 門の上には、いつのまにかヒナ王女が。

「ヒナ王女だ!」

「あいつを殺せば、大出世も間違いない!」

 色めき立つハーピーが、鋭い足の爪でヒナ王女のノドを狙う。

 ヒナ王女は、ニコニコと笑っているだけ。

 ハーピーの爪は、虚空を切る。

「いない!?」

「バカな……ぎええ!?」

 ハーピーの背中に、大砲のような一撃が飛んできた。

 翼をボロボロにされて、ハーピーが落下する。落ちる前に、息絶えていた。

 死体は、一匹や二匹ではない。空から塔を狙うガーコイルやカラス天狗共も、なんらかの砲撃をぶつけられたかのように潰れ落ちていく。
 
 息巻いていた獣人たちが、一瞬で黙り込む。触れてはいけないものに触れてしまったことを、今になって後悔している……そんな顔をしていた。

「退け! このままでは全滅だ!」

 狼男の魔人が、俺の前に立ちふさがる。
 
「我は獣王ガルルデの忠実なる腹心、ウルフムン!」

「なんだ、こんなショボい傭兵団を派遣したことを、詫びに来たのか?」 
 
「どけ、シモン・セルバンデス! この塔がいかに危険か、あんたにもわかっているはずだ! おとなしく、この塔を明け渡せ。この塔に秘められた秘密を、魔族に献上なされよ」

「イヤだと言ったら?」

「あんたの首をいただく!」

 ウルフムンが俺に斬り掛かった。

 俺は、雷撃で背後に周る。ヤツの背中に、雷撃を込めた手刀を繰り出した。

 しかし、ウルフムンは俺の一撃を剣で受け止める。

「やるな」

「伊達に、四天王の腹心はしておらぬ!」

 振り返ったウルフムンが、俺の胴体を薙ぐ。

「むう!?」

 だが、それは残像。
 
「一撃を止めたくらいで、イキってんじゃねえよ」

 俺はすでに、ウルフムンの真下でアッパーをカマしていた。
  
「ギャン!?」
 
 海老反りになって、ウルフムンが絶命する。
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