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第1章
おまえは俺のもの
しおりを挟むやっぱり、胸の小さな小鳥獣人だったからかな?
そんな事をふと思った。
アレウスは、グラマーな身体つきの女性が好きだ。好きな女優も全員そう。
…私も割とそのタイプだ。
前に聞いたところ、狼だった祖先の血が関係しているのではないかという事だった。
でも
「食べ出のある奴の方がいい」
と言われて、喜ぶより先に別の意味で身の危険を感じた。
ちなみに、小鳥は骨ばっかりで食べ出が無いから嫌いなんだそうだ。
哀れ……
「だが、おまえよりもっと肉付きのいいウサギや鹿や羊に迫られても、目移りなんぞしないから安心しろ」
と頭を撫でられた。
それはまぁ、嬉しいけれど……
「そもそも、おまえみたいに可愛いウサギがいるものか」
ぎゅっと抱きしめられて、すっぽりアレウスの腕の中に収まる。
…嬉しいけど、私を「ウサギ」と呼ぶのはやめて欲しい。私はウサギ獣人であってウサギじゃない!
でも、アレウスに耳をハムハムされて言い返せない……。
耳はちょっと、薄くてゾクゾクしてしまうのだ。
黙って抱きしめられていたら
「ついでだから言っておくが、俺はおまえの番が現れたとしても、おまえを渡すつもりは無いからな」
と言われて、思わずポカンと精悍な顔を見上げた。
自分に番が現れるなんて、そんな低確率な事は最近は考えもしていなかった。けれど、そうあっさり言われて驚いた。
だって、番との出会いは人生が変わる一大事だと言われている。
結婚式にたまたま参列していた番が、初対面の花嫁とその場で結婚しても「番ならば仕方がない」と周りも認めて新郎も泣き寝入り。
そんな逸話まであるくらいなのに…
「当たり前だろう。それくらいならおまえの番を殺す」
「!!?」
「何故驚く」
「え…だって…」
「殺す」ってサラリと言われたらそりゃ驚くよ。
しかもそう言ったのは、いつも優しくて私の事を想ってくれてて、とてもそんな事を言いそうにもないアレウスだ。
なのにそんな真顔で……
少し呆然としてしまう。
「他の物は、奪われたらまた取り戻せばいい。だが、おまえだけは誰にも一瞬たりとも渡さない。絶対にだ」
ドクンと心臓が跳ねた。
…………どうしよう。
喜んでしまった。
そこまで想われていることが嬉しい。
それなら私も、アレウスを誰にも渡したくない。
アレウスが他の人を選んだのならともかく、私を選んでくれるアレウスとは離れられない。
「………じゃあ、これからもずっと一緒?」
思わず甘えるように見つめたら
「ああ、当然だ。おまえは骨の一欠片残さず俺のものだ」
本能的にゾクゾクする台詞で肯定された。
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