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紹介される。

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「けどまぁ、兄弟もいろいろあるらしい、父さんは周りの反対を押し切って母さんに婿入りしたが、それでも祖父母は父さんに遺産を残した。他の兄弟たちはそれが気に入らなかったとかで、もう連絡先も知らないみたいだ。血が繋がってるからって、わかり合えるとは限らないよな」
  
 最後の文言は、くるみにも刺さるものがあった。
 名家に生まれ、経済的には何不自由ない暮らしを送ってきた。そんな人でも、すべてが上手くいくわけではないのだと教えられた。

「……そうでしたか、ご苦労なさったんですね……でも、周りの反対を押し切ってまで結婚したなんて、すごい大恋愛だったんですね」
「うちの場合は父さんが一方的に惚れ込んでた気もするけどな」

 ハァーとため息混じりに言う甘路を見て、くるみは微笑ましい気持ちになった。

「ふふ、そうなんですね、でも素敵です、そんなに好きな方に出会えて、一緒になれたなんて……幸せですよね」

 母を早くに亡くした甘路を、かわいそうだと言う人間もいた。しかし、くるみはそんなことは思っていない。どれだけ大切にされてきたか、甘路を見ていればわかるからだ。
 哀れみなど微塵もない、温かな表情で言うくるみに、甘路は居心地のよさを覚えながら、冷蔵庫の中身を取り出した。

「わあ、すごい、全部和食……あ、これだけ違いますね?」

 キッチン台に並んだ透明のタッパー、ほとんどが和食だが、一つだけ洋食が混じっている。
 とろみのある茶色いタレに絡んだ小さな丸型の肉。

「ああ、それは俺の好物の……」
「ミートボール、お好きなんですか?」
「……そうだな、ケーキの次にな」

 少しだけ照れくさそうに言う甘路に、くるみの胸がキュンとする。
 高級レストランのフレンチが似合いそうなのに、ミートボールが好きなんて、反則ではないかと思った。
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