辺境の王弟と猛毒の医師

 魔物の侵攻に長年脅かされているセリカ国の王弟リュークは南部要塞の総司令官を務めていたが、魔物との戦闘時に右腕に負った怪我が日毎に悪化した。腕が青緑に変色し、魔物の呪ではないかと噂される中、敵国ロイズ王国に『魔法使いの系譜』と呼ばれる優秀な医師がいることを知る。身分を隠し、その医師の下へ助けを求めた。
 医師シアリスはまだ少年にも見える年若い青年だが献身的に世話してくれた。リュークは一命を取り留め、切り落とすしかないと思われた腕も回復した。シアリスは無愛想だったが、リュークは彼のそばに安らぎを感じるようになった。
 しかしリュークの正体が敵国の王弟であることがわかると、シアリスはその態度を一転させた。
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