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13話:新マネージャー候補
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次の日の部活で、志悠は工藤に声をかけた。
「お、志悠から声かけてくるなんて珍しいじゃん。どうした?」
「工藤の交友関係の広さを見込んでのことなんだけど、他にもマネージャーになってくれそうな人を一緒に探してほしいんだ」
「いいぜ」
即答だった。工藤はにかりと笑うと、すぐにその場でスマホを取り出して、連絡を取り始めた。フットワークの軽さに志悠は驚いた。
「え、もう誰かと連絡取ってるの?」
「おう。善は急げって言うだろ」
急いでいることは間違いなかったが、こうも早く話が進むとは思っていなかった志悠は、その早さにただただ圧倒されるばかりだ。ぼうっとして工藤の動きを見ていると、突如影が差して、工藤のスマホが何者かに取り上げられた。
「ちょ、浜辺! 何すんだよ!」
「いや、誰に打診してるのか気になって」
「聞けば済む話だろ!」
「見た方がはやい」
美也が、志悠を見下ろす。
「マネージャー、探してんの?」
「うん、まあ」
「なんで」
「他にもいた方がいいでしょ。一人しかいなくて、大会当日に風邪引いたらどうすんの」
志悠はもっともらしく聞こえる理由を用意していた。実際、以前からの懸念事項でもあった。芹沢先輩がいつ引退するのかわ分からないが、そうなったとき、他にマネージャーの仕事をできる人がいないのは問題だ。
美也は、工藤のスマホをスクロールしながら、呟いた。
「こいつは駄目、こいつも駄目。あとは……こいつだったらまあ、いいかな」
「なんでそんな上から目線なんだよ。つーか何を基準にしてんだ」
「まあ、色々あんだよ。ほい、返す」
「今日も賑やかだなあ」
着換えの終ったらしい江永が、志悠たちのもとへやってきた。
「なんの話してたの」
「志悠がマネージャー増やしたいって言うから、連絡取ってみてたんだよ」
工藤が答える。
「へぇ。志悠、なんか負担になってたことあったの?」
「いや、そういうんじゃないよ。ただ、芹沢先輩が引退して一人になったら不安だったから」
三年生がいつ引退するかはまだ聞いていない。志悠が転校するほうがはやい可能性もある。
「ふーん……」
江永は、じっ、と志悠を見た。
「な、なに」
「何か、隠し事してるね」
「な、ないよ」
「そういうことにしておく」
その日、江永は芹沢にいつ引退するのかを聞いていた。
「僕たちにはやく出てってほしいの?」
「違いますよ。ただ、少し気になって」
「まあ、インターハイ予選で負けたら、が他の部活だと普通だけどね」
「春高、出られなくなりますよ。今の人数だと」
「そう。だから、淳は春高まで残るって言うと思う。淳がそう言うんだったら、三年は皆そうすると思うよ。もちろん、僕もね」
「そうですか。ありがとうございます」
江永は振り返り、志悠に声をかけた。
「まだ、そんなに急いで探さなくても大丈夫じゃない」
「早く見つけられるに越したことはないから」
「急いで、変な人が来たらどうすんの」
「変な人って……」
「浜辺目当ての人とか、勘弁してほしいんだけど」
「気を付けてはみるけど」
美也や江永からの注文の多さに、意外と難航しそうだと志悠は思った。
次の日、早速工藤が候補の人を連れてやってきた。男子と女子、一人ずついる。江永からの非難は避けられそうなことに、志悠はほっとした。工藤と同じ空気をまとった男子生徒は、大きな声で挨拶をした。
「ちわっす。二本柳っす。工藤が困ってるっていうんで来ました。マネージャー? やればいいんすよね」
志悠は、心の内で一歩引いていた。合わなさそう、というのが志悠の抱いた第一印象だった。うまく連携がとれるか、不安である。
「チェンジで」
江永がオブラートに包まずに、ノーを突きつけた。
「なんでだよ! せっかく来てくれたのに、何が不満なんだよ!」
工藤が、江永に嚙みつく勢いで言う。
「志悠と合わなさそうだから」
「江永は志悠に対して過保護なんだよな」
「江永、何もそこまで言わなくても。僕は、全然二本柳ともうまくやれると思うよ」
「えー、そうかな? んで、隣の女子は?」
片耳の下で一つにまとめた髪の束をくるくると指で巻いては解いてを繰り返していた。
「桜庭亜美でーっす。バレーボールの漫画好きなんで、来ましたー」
「うわ、馬鹿そー」
「江永はさっきから口が悪すぎんだよ」
工藤の言うことはもっともだ。志悠は江永を押しのけて、フォローにまわる。江永が普段している、貼り付けたような笑みをまさか自分がすることになろうとは、思いもしなかった事態である。
「えっと、江永がごめんね。二人とも来てくれてありがとう。今日は見学してく?」
頷いた二人を連れて、芹沢のもとへ向かった。
「お、志悠から声かけてくるなんて珍しいじゃん。どうした?」
「工藤の交友関係の広さを見込んでのことなんだけど、他にもマネージャーになってくれそうな人を一緒に探してほしいんだ」
「いいぜ」
即答だった。工藤はにかりと笑うと、すぐにその場でスマホを取り出して、連絡を取り始めた。フットワークの軽さに志悠は驚いた。
「え、もう誰かと連絡取ってるの?」
「おう。善は急げって言うだろ」
急いでいることは間違いなかったが、こうも早く話が進むとは思っていなかった志悠は、その早さにただただ圧倒されるばかりだ。ぼうっとして工藤の動きを見ていると、突如影が差して、工藤のスマホが何者かに取り上げられた。
「ちょ、浜辺! 何すんだよ!」
「いや、誰に打診してるのか気になって」
「聞けば済む話だろ!」
「見た方がはやい」
美也が、志悠を見下ろす。
「マネージャー、探してんの?」
「うん、まあ」
「なんで」
「他にもいた方がいいでしょ。一人しかいなくて、大会当日に風邪引いたらどうすんの」
志悠はもっともらしく聞こえる理由を用意していた。実際、以前からの懸念事項でもあった。芹沢先輩がいつ引退するのかわ分からないが、そうなったとき、他にマネージャーの仕事をできる人がいないのは問題だ。
美也は、工藤のスマホをスクロールしながら、呟いた。
「こいつは駄目、こいつも駄目。あとは……こいつだったらまあ、いいかな」
「なんでそんな上から目線なんだよ。つーか何を基準にしてんだ」
「まあ、色々あんだよ。ほい、返す」
「今日も賑やかだなあ」
着換えの終ったらしい江永が、志悠たちのもとへやってきた。
「なんの話してたの」
「志悠がマネージャー増やしたいって言うから、連絡取ってみてたんだよ」
工藤が答える。
「へぇ。志悠、なんか負担になってたことあったの?」
「いや、そういうんじゃないよ。ただ、芹沢先輩が引退して一人になったら不安だったから」
三年生がいつ引退するかはまだ聞いていない。志悠が転校するほうがはやい可能性もある。
「ふーん……」
江永は、じっ、と志悠を見た。
「な、なに」
「何か、隠し事してるね」
「な、ないよ」
「そういうことにしておく」
その日、江永は芹沢にいつ引退するのかを聞いていた。
「僕たちにはやく出てってほしいの?」
「違いますよ。ただ、少し気になって」
「まあ、インターハイ予選で負けたら、が他の部活だと普通だけどね」
「春高、出られなくなりますよ。今の人数だと」
「そう。だから、淳は春高まで残るって言うと思う。淳がそう言うんだったら、三年は皆そうすると思うよ。もちろん、僕もね」
「そうですか。ありがとうございます」
江永は振り返り、志悠に声をかけた。
「まだ、そんなに急いで探さなくても大丈夫じゃない」
「早く見つけられるに越したことはないから」
「急いで、変な人が来たらどうすんの」
「変な人って……」
「浜辺目当ての人とか、勘弁してほしいんだけど」
「気を付けてはみるけど」
美也や江永からの注文の多さに、意外と難航しそうだと志悠は思った。
次の日、早速工藤が候補の人を連れてやってきた。男子と女子、一人ずついる。江永からの非難は避けられそうなことに、志悠はほっとした。工藤と同じ空気をまとった男子生徒は、大きな声で挨拶をした。
「ちわっす。二本柳っす。工藤が困ってるっていうんで来ました。マネージャー? やればいいんすよね」
志悠は、心の内で一歩引いていた。合わなさそう、というのが志悠の抱いた第一印象だった。うまく連携がとれるか、不安である。
「チェンジで」
江永がオブラートに包まずに、ノーを突きつけた。
「なんでだよ! せっかく来てくれたのに、何が不満なんだよ!」
工藤が、江永に嚙みつく勢いで言う。
「志悠と合わなさそうだから」
「江永は志悠に対して過保護なんだよな」
「江永、何もそこまで言わなくても。僕は、全然二本柳ともうまくやれると思うよ」
「えー、そうかな? んで、隣の女子は?」
片耳の下で一つにまとめた髪の束をくるくると指で巻いては解いてを繰り返していた。
「桜庭亜美でーっす。バレーボールの漫画好きなんで、来ましたー」
「うわ、馬鹿そー」
「江永はさっきから口が悪すぎんだよ」
工藤の言うことはもっともだ。志悠は江永を押しのけて、フォローにまわる。江永が普段している、貼り付けたような笑みをまさか自分がすることになろうとは、思いもしなかった事態である。
「えっと、江永がごめんね。二人とも来てくれてありがとう。今日は見学してく?」
頷いた二人を連れて、芹沢のもとへ向かった。
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