【本編完結】黒歴史の初恋から逃げられない

ゆきりんご

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エピローグ:黒歴史の初恋と一緒に

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 入学式の日、志悠は美也と揃って出席をしていた。その帰り際の人混みの中で、志悠は見知った姿を見かけた気がした。思わず後を追いかける。急に小走りになった志悠を美也は慌てて追った。

「江永!」

 人違いかもしれないなんて可能性など投げ捨てて、志悠は声をかけた。志悠の方を振り向いたその顔は、間違いなく江永だった。しばらくきょとんとした後に、懐かしくもあるあの貼り付けたような笑みを浮かべた。

「どちら様」
「しらばっくれんなよ。江永だろ。俺はお前がこの大学に進学すること知ってたぜ」

 美也の姿を見ると、その人物は舌打ちをした。間違いなく、江永だ。

「二人揃って、何の用」
「お前なあ、志悠がわざわざ追いかけてやったんだから、もちょっと何かあるだろ」
「何かって、何」

 志悠は尻込みした。転校した後、志悠がスマホでメッセージを送っても江永から返信が来ることはおろか、既読がつくこともなかった。おそらく、ブロックされていた。

「僕たち、仲良くなれそうだと思って」
「大学生にもなって仲良しこよしごっこするつもりないんだけど」
「人脈は大事だ。休んだときにノートを貸し借りできる相手。ギブアンドテイクだ」

 懐かしく、しかし反転したやり取りをすると、江永は笑った。

「学部が違うでしょ。俺は法学部じゃないし」
「どこに進んだの? 医学部?」
「秘密。ほら、隣の人がしかめっ面してるから、俺に構うのはやめときな」

 江永は踵を返して、歩き出してしまった。また追いかけようとした志悠を美也がつかんで止めた。

「そっとしといてやれ。あいつ、志悠が転校したあと、だいぶへこんでたんだぜ」
「そうなんだ……」
「志悠、これからも俺といてくれるか」
「もちろん。小さい時に話したみたいに、結婚はこの国じゃできないけど」

 例えば、入院したとして。家族しか面会できない状況で、志悠と美也の関係では面会が認められないこともある。同性愛が認められてきているとはいえ、まだまだ不十分なことも多い。理不尽な目にあうこともある。

「そういった人たちを助けられるような弁護士になりたいんだ」
「志悠はすげぇな。俺も負けてらんねぇ。頑張ってこうな」

 入学式の日。めでたい喧騒の中で、一組のカップルが将来を誓った。一度は離れる危機にあった、初恋同士の初々しいカップルだ。
 けれど二人は離れることなく、将来を共に歩むだろう。
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