【本編完結】黒歴史の初恋から逃げられない

ゆきりんご

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21話:※初めて

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 志悠は難なく大学への進学を決めた。引っ越した家から通える国立の大学だ。まさか大学まで美也と被ることはないと思っていた志悠だったが、なんと大学も同じになってしまった。
 高校二年の夏、通話で志望校を告げると、美也は「俺もおんなじとこ」と答えたので志悠は腰をぬかした。

「また夢を変えたとか……」
「違ぇよ。まあ志悠がその大学に進むだろうって打算はあるけどな。大学はでけぇから法学部もあれば医学部もあんだよ。知らなかったか?」

 志悠は法学部以外に目を向けていなかったために、まったく気づいていなかった。

「今の俺の成績だといけるかどうかあやしいけど、絶対に志悠と同じとこいけるように頑張るから、覚悟しとけよ」

 そうして美也は、宣言通りに志悠と同じ大学への進学を果たした。志悠の住む地区からは離れた学生街のアパートで、一人暮らしを始めるそうだ。志悠は、引っ越しの手伝いをしてやった。美也の私服を見るのは、高校一年の夏休み以来だった。以前よりもさらに胸板の厚みが増し、ごつごつとした背中をたたえており、最後に見たときからより逞しくなっていた。

「荷物少ないね。これだけで生活できるの?」
「今までバレーボール漬けだったし、引退してからは勉強しかしてなかったからな」

 段ボールを開けて、あるべき場所に物を置いてゆく作業はすぐに終わってしまった。家具の組み立てもベッドと机と二つのカラーボックスのみで、すぐに終わってしまった。

「なんか同棲でもするみてぇだな」
「どっ……」
「なあ、志悠はまだ実家出ねぇの」
「院までいかないといけないし、司法試験に一発で受かりたいから、もう少し母さんに助けて貰おうと思ってる。あの家からは全然通える範囲だし」
「そうか……今日泊ってくか?」
「え?」
「三月の間はずっと料理の練習してたんだ。志悠にも食べて見てほしいんだよ」
「え、ああ……料理ね。うん、ご相伴にあずかろうかな」

 泊まりと聞いて、てっきり「そういうお誘い」だと思ってしまった自分を志悠は恥ずかしく思った。二年前の夏休みにキスをして以降、なにも進展がないのだ。そもそも美也がそういうことを望んでいるのか、志悠は怖くて聞けていない。

「どうした?」

 美也が志悠を気遣うように顔を覗き込む。

「なんか不安なことあったら、すぐに言えよ。一人で抱え込むんじゃねぇぞ」
「なんでもない」
「なんでもないっていう顔じゃねぇんだよ。さすがに俺も分かってきたぜ」

 自分たちは碌々話をしてこなかったせいで、随分と遠回りをしてきてしまった。ならば、怖くても聞かねばならない。またすれ違って離れてゆく方がずっと怖い。志悠は勇気を出して尋ねた。

「……美也は、僕をだ、抱きたいとかそういうのないの」

 美也は目を見開いた。

「引いた?」
「違う違う。いや、志悠ってそういう欲なさそうだから、驚いてんだ。志悠が良いって言ってくれるなら俺はしたい」

 美也はベッドに寄りかかって床に座っている志悠の上に覆いかぶさった。

「い、今?」
「嫌だったらすぐやめる」
「続けて」

 美也の顔が近づき、唇が触れ合う。優しく包み込むようなキスだ。互いの指がかっちりと組み合うように手が組まれる。美也は徐々に体重を乗せてきて、志悠の背中がベッドに落ちる。舌が入り込んできて、志悠は息の仕方が分からなくなった。

「む、むぅ」

 互いの唾液がかすかな水音をたてる。その音が志悠にとってはやけに甘美なものに思えた。これ以上ないくらいに体が密着して、美也がいることの重みを感じていた。やがて唇が離れてゆくと、志悠の顔はすっかり溶けていた。

「うわ、その顔ヤバい」
「うぇ?」

 美也はおもむろに上の服を脱いだ。今まで見たことのなかった素肌が露わになる。

「筋肉、すご……」
「ほら志悠も」
「は、恥ずかしい」
「じゃ志悠は下だけ脱ごうな」
「や、やっぱり脱ぐんだ」
「脱がねぇとできないだろ」
「も、もうちょっと心の準備が」
「わーった」

 美也の手が服の下を滑り込んできて、志悠の体を撫でていく。くすぐったいとも違う未知の感覚に、志悠は身をよじらせた。首筋に、美也が軽く食むようなキスを落とす。触られて、キスを落とされて、志悠は段々に体が熱くなってきて、中心部分が頭をもたげていくのを感じ取った。目線を下に落とせば、美也の大きく張ったものが目に入った。

「それキツくないの」
「見られちまったか」

 美也はベルトを外し、ズボンの前を寛げた。転び出たもの大きさに志悠は目を見張った。

「ほら、志悠も脱げよ」

 志悠はやはり恥ずかしくて、美也に背中を向けてからズボンを寛げた。すこしだけズボンと下着を下げると、肌がすうすうとした。

「今更だけど、俺が抱く側で良いんだよな」
「うん、美也に抱かれたい」

 志悠は後ろに手を伸ばした。

「実はここ、ちょっと自分で弄ってある……」
「は~、マジかよ」

 志悠は今度こそ引かれたかと思った。

「可愛すぎんだろ。初めては優しくしたいと思ってんのに、余裕なくなりそうだ」

 志悠が後ろを振り向けば、熱をはらんだ目の美也がいた。
 弄ってきたというのに、美也は丁寧すぎるくらい丁寧にその太い指で志悠の後ろを解した。ときおり、前も弄ってくれた。薄いゴムをまとったソレがあてがわれる。

「入れるぞ」
「ん」

 大きくて熱いソレが、志悠の中を貫いた。

「あっ、あうっ……うぅ」

 声を抑えるだとか、聞かれたくないだとか思うよりも前に、入ってきたものに押し出されるように声が漏れ出た。

「痛くねぇか」
「くるしいけど、へーき」

 自分を相手に反応するのか不安だった美也のソレは大きく張って、志悠の中を征服していた。

「んっ、んっ、あっ……ああっ……!」
「くっ……、志悠きもちーか」

 美也は志悠の腰を支えて、無我夢中になって腰を振った。

「ん、きもちー……」
「声、エロすぎんだろ」

 擦られるたびに志悠の全身に快楽の波が押し寄せ、志悠は逃れられない快楽を過ごしでも分散させるかのようにシーツを手繰り寄せた。

「もう少し早くしても大丈夫か」
「た、たぶん……あっ、あっ、ああっ……、ん~~っ……!」
「はー、可愛すぎる」
「みやっ、みやっ、んあっ、はげしっ……!」

 狭い部屋の中で、普段聞いたことのない淫らな音が響いている。肌と、耳で志悠は美也を感じていた。激しさを増したピストンが、志悠のなかをぐちゃぐちゃにしている。目一杯根元まで押し込まれたかと思えば引かれ、また腹の中に突き刺される。

「ひっ、あぁっ、あっ、ぐっ……」
「好き、好きだ、志悠っ……!」
「ぼくもすきぃっ」

 志悠の目尻には涙がたまっていた。背中に覆いかぶさってくる美也の重さと匂いに、頭がクラクラとしてくる。腰を掴む力が強すぎるあまり、志悠の白い肌は赤らんでいた。どくどくと脈打つ全身が、もう高みへと行こうとしていることを告げている。

「もっ、もうイキそっ……!」」
「……ふっ、ぐっ……」

 志悠が告げると、美也はさらに追い詰めるようにピストン運動を激しくした。ソレを奥へ奥へと叩きつけるように幾度も突き刺してくる。

「ひっ、んっ、んぅっ、イっ――んあああ~~~~っ!」

 限界まで張りつめていたものが千切れるようにその瞬間は訪れた。直後に美也もゴムの中で吐精した。

「すまん、もうちょっと優しくするつもりだったんだが、途中で我を失ってた」
「あれくらいだったらへーき。きもちかった」
「あ~もう、志悠、そういう可愛いこと言うな。またしたくなるだろ。先にシャワー浴びてくる。志悠は少し休んでた方がいいだろ」

 そう言って離れていこうとする美也の腕を志悠は思わず掴んでしまった。

「どうした?」
「もう少し、傍にいて」

 呻きながらも志悠の言う通りにしてくれた美也の優しさに、志悠は思わず笑みがこぼれた。
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