35 / 233
第35話 クラッシャーとコレクターの違い
しおりを挟む
スライム系に二倍のダメージを与えられるスキル、スライムクラッシャーを手に入れた俺は以前ククリが言っていた言葉を思い返していた。
スライムを千匹倒すとボーナススキル、スライムコレクターが取得できると。
そしてそのスキルはスライム系に三倍のダメージを与えられるようになると。
「なあククリ、どうせならスライムクラッシャーよりスライムコレクターの方がいいんじゃないか」
「それはそうですけど千匹ものスライムを倒すのは時間がかかりますよ」
「でもスライムコレクターを持っていたらこれから先役に立つだろ」
「でも面倒くさいですよ」
「いや、俺はそういうことは全然平気なんだ」
ロールプレイングゲームのレベル上げも職業熟練度上げも俺は苦ではない。それどころかその時間を楽しいとさえ感じることができる。
「一時間で五十匹狩れば十時間で五百匹だろ、丸一日あれば千匹くらいなんとかなるだろ」
「本気で言ってるんですか?」
「ああ」
俺は至って本気だ。
「駄目か?」
「いえ別に駄目じゃないですけど……」
「一時間経つ前に階層を移動すれば強制退出させられる心配もないし……あっ、ついでだからゴブリンも千体倒しちゃおうかな。ゴブリンコレクターとかってスキルもあるんだろどうせ」
「すごいマツイさん、よくわかりましたね。ありますよゴブリンコレクター。ゴブリンに与えるダメージが三倍になるんです」
俺だってバカじゃない。それくらいのことは予想できるさ。
「ククリにはちょっと面倒かけるがこれから先のことを考えたらスキルは持っていた方がいいと思うんだ」
「はあ……まあマツイさんがいいなら全然いいんですけどね」
「じゃあ早速千匹のスライム狩りだ。といっても既にスライムは百匹くらいは倒しているから軽い軽い」
俺はスキル、スライムコレクターとゴブリンコレクターを取得することを心に決める。
「あー、でも丸二日かかっちゃうから一回家に戻ってもいいか? ポチに二日分のエサを用意してくるからさ」
「そうですか。では私はまた写し鏡の門のところで待っていますよ」
「ああ、悪いな」
「いえ、ポチさんによろしく伝えておいてください」
そうと決まれば善は急げだ。
俺は一人駆け出すと写し鏡の門からダンジョンの外に出た。
家に帰るとポチが俺の姿を見て「わんわんわんっ!」と威嚇してくる。
それも仕方がないのかもしれない。
今の俺は変質者のような恰好をしているのだから。
俺はポチの目の前でひのきの棒を床に置き、目出し帽と天使の靴を脱いだ。
すると、
「わんわんっ」
ポチが俺を主人と認識してくれたようですり寄ってきた。
「ただいまポチ」
あごの下を撫でてやると気持ちよさそうに目を細めるポチ。
俺は持っていた薬草と魔力草も玄関横の下駄箱の上に置くとスリッパを履いて家に上がった。
「結局天使の靴持ち帰ってきちゃったな……」
俺は玄関に脱ぎ捨てた天使の靴を見下ろしながらつぶやく。
どうせ持ち帰っても使い道のないアイテムならベアさんに売ってから戻ってくるべきだったかな。と少し後悔しながら俺はポチのエサを用意する。
「ポチ、悪いけどしばらく留守にするからな。その間いい子にしているんだぞ」
「わんっ」
プロテインバーで栄養補給をしながら、
「そういえばククリがよろしくって言ってたぞ」
「わんっ」
「そうか、嬉しいか……さてと、じゃあちょっと行ってくるな」
「わんわんっ」
玄関まで見送りにきてくれたポチの返事を背にして俺は再度ダンジョンへと向かうのだった。
スライムを千匹倒すとボーナススキル、スライムコレクターが取得できると。
そしてそのスキルはスライム系に三倍のダメージを与えられるようになると。
「なあククリ、どうせならスライムクラッシャーよりスライムコレクターの方がいいんじゃないか」
「それはそうですけど千匹ものスライムを倒すのは時間がかかりますよ」
「でもスライムコレクターを持っていたらこれから先役に立つだろ」
「でも面倒くさいですよ」
「いや、俺はそういうことは全然平気なんだ」
ロールプレイングゲームのレベル上げも職業熟練度上げも俺は苦ではない。それどころかその時間を楽しいとさえ感じることができる。
「一時間で五十匹狩れば十時間で五百匹だろ、丸一日あれば千匹くらいなんとかなるだろ」
「本気で言ってるんですか?」
「ああ」
俺は至って本気だ。
「駄目か?」
「いえ別に駄目じゃないですけど……」
「一時間経つ前に階層を移動すれば強制退出させられる心配もないし……あっ、ついでだからゴブリンも千体倒しちゃおうかな。ゴブリンコレクターとかってスキルもあるんだろどうせ」
「すごいマツイさん、よくわかりましたね。ありますよゴブリンコレクター。ゴブリンに与えるダメージが三倍になるんです」
俺だってバカじゃない。それくらいのことは予想できるさ。
「ククリにはちょっと面倒かけるがこれから先のことを考えたらスキルは持っていた方がいいと思うんだ」
「はあ……まあマツイさんがいいなら全然いいんですけどね」
「じゃあ早速千匹のスライム狩りだ。といっても既にスライムは百匹くらいは倒しているから軽い軽い」
俺はスキル、スライムコレクターとゴブリンコレクターを取得することを心に決める。
「あー、でも丸二日かかっちゃうから一回家に戻ってもいいか? ポチに二日分のエサを用意してくるからさ」
「そうですか。では私はまた写し鏡の門のところで待っていますよ」
「ああ、悪いな」
「いえ、ポチさんによろしく伝えておいてください」
そうと決まれば善は急げだ。
俺は一人駆け出すと写し鏡の門からダンジョンの外に出た。
家に帰るとポチが俺の姿を見て「わんわんわんっ!」と威嚇してくる。
それも仕方がないのかもしれない。
今の俺は変質者のような恰好をしているのだから。
俺はポチの目の前でひのきの棒を床に置き、目出し帽と天使の靴を脱いだ。
すると、
「わんわんっ」
ポチが俺を主人と認識してくれたようですり寄ってきた。
「ただいまポチ」
あごの下を撫でてやると気持ちよさそうに目を細めるポチ。
俺は持っていた薬草と魔力草も玄関横の下駄箱の上に置くとスリッパを履いて家に上がった。
「結局天使の靴持ち帰ってきちゃったな……」
俺は玄関に脱ぎ捨てた天使の靴を見下ろしながらつぶやく。
どうせ持ち帰っても使い道のないアイテムならベアさんに売ってから戻ってくるべきだったかな。と少し後悔しながら俺はポチのエサを用意する。
「ポチ、悪いけどしばらく留守にするからな。その間いい子にしているんだぞ」
「わんっ」
プロテインバーで栄養補給をしながら、
「そういえばククリがよろしくって言ってたぞ」
「わんっ」
「そうか、嬉しいか……さてと、じゃあちょっと行ってくるな」
「わんわんっ」
玄関まで見送りにきてくれたポチの返事を背にして俺は再度ダンジョンへと向かうのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
675
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる