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第69話 地下五階層~
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ククリの言う通りコボルトは俺の敵ではなかった。
地下五階層のモンスターであるコボルトを俺は鉄の剣でばったばったと斬り倒していく。
途中におい袋をみつけたのでレベル上げとコボルトコレクター取得のためにおい袋の封を開けた。
わらわらと寄ってくるコボルトたちを返り討ちにしながらフロアを探索、アイテムを収集していく。
今回はポチを高木さんに預けてきているので時間にとらわれる心配はない。
フロアの制限時間は一時間なので時折り別階層に移動する必要はあるが好きなだけダンジョンに潜っていられる。
「順調に進んでますね」
「ああ」
俺はククリに答えながら片手間で寄ってきたコボルトを瞬殺。
「このフロアのボスはどんなモンスターなんだ?」
「コボルトエースです。コボルトよりほんのちょびっと強いだけなので心配いりませんよ」
とククリ。
「へーそうなのか」
言いつつ鉄の剣を振るいさらにコボルトを一体葬り去る。
と、
【コボルトクラッシャーを取得しました】
目の前に文字が浮かび上がった。
「あっ、ククリ、コボルトクラッシャー手に入れた」
俺は特に感動もなく状況説明だけする。
「わあ! やったじゃないですか……って全然喜んでませんね」
「どうせコボルトコレクターを手に入れるからな。正直必要ないんだよ」
そうは言ったもののコボルトクラッシャーを取得したことで明らかにコボルト狩りのスピードは上がった。
これまで一振りで一体多くて二体だったものが一振りで三体以上のコボルトを同時に倒せるようになったのだ。
俺は危なげなくコボルトを倒しつつ大部屋を出て通路を先へ先へと進んでいく。
その通路上、毒の沼地がありその真ん中に宝箱をみつけた。
だが天使の靴を履いている俺には毒の沼地など関係ない。
俺は難なく宝箱を開け中に入っていた黒曜の玉をゲットした。
「あっ、すいませんマツイさん、このフロアに来てそろそろ一時間です」
ククリが教えてくれる。
「え、もうそんな時間か。じゃあ一旦上に戻るか」
俺は首からぶら下げたにおい袋の口を一応閉じてから上への階段を目指しもと来た道を戻っていく。
「マツイさん、ちょっと急いだほうがいいかもしれません」
「ん、わかった」
ククリが言うので小走りで戻ることにした。
ところが通路を抜けて大部屋の前に来ると、
「げっ!? なんだこれっ!?」
さっきはいなかったはずのコボルトの大群がうじゃうじゃと部屋中ひしめき合っていた。
まるでおしくらまんじゅうをしているのかというくらいぎゅうぎゅうで隙間がない。
俺に気付いたコボルトが我先にと部屋から出てこようとするがお互いの体が邪魔でうまく動けないでいた。
「おいククリ、なんだよこれっ」
「モンスターの異常発生ですっ。ごくたまにモンスターの数が爆発的に増えることがあるんですっ」
「どうするんだよこの数、ここ通らないと上の階段に行けないんだぞっ!」
「そう言われても倒すしかないです~っ」
ククリが悲鳴にも似た声を上げる。
マジかよっ。
俺は焦りを隠そうともせず大きく振りかぶって部屋の出入り口でぎゅうぎゅう詰めになっているコボルトたちをばっさりと一刀両断にしていくが倒せば倒すほどコボルトたちは部屋の中からどんどん溢れ出てくる。
「くそっ……!」
この数。負けはしないが時間がないっ。
もうすぐ強制退出させられる一時間が経とうとしているのにっ。
……そうだっ!
俺はあることを思いつき部屋の中に向かって手をかざすと、
「バトルウインド!」
声を発した。
薄緑色の風の刃がコボルトたちを上半身と下半身真っ二つにしながら部屋の中を飛んでいく。
一瞬だが道が開けた!
俺はコボルトに掴まれそうになりながらもモーセの如く、文字通り切り開いた道を懸命に駆け抜けた。
大部屋をあとにして地下四階層への階段が目の前に迫った、
「よしっ」
その時だった――
空間がぐにゃりとねじ曲がった。
「げっ、あと少しなのにっ……!」
手を伸ばすも視界がぐるりと回転し俺は強烈な吐き気とめまいに襲われる。
そして……。
……。
……。
……。
どれくらいの時間が経ってからかはわからないが、目が覚めると俺は写し鏡の門の前にまたも全裸で倒れていた。
地下五階層のモンスターであるコボルトを俺は鉄の剣でばったばったと斬り倒していく。
途中におい袋をみつけたのでレベル上げとコボルトコレクター取得のためにおい袋の封を開けた。
わらわらと寄ってくるコボルトたちを返り討ちにしながらフロアを探索、アイテムを収集していく。
今回はポチを高木さんに預けてきているので時間にとらわれる心配はない。
フロアの制限時間は一時間なので時折り別階層に移動する必要はあるが好きなだけダンジョンに潜っていられる。
「順調に進んでますね」
「ああ」
俺はククリに答えながら片手間で寄ってきたコボルトを瞬殺。
「このフロアのボスはどんなモンスターなんだ?」
「コボルトエースです。コボルトよりほんのちょびっと強いだけなので心配いりませんよ」
とククリ。
「へーそうなのか」
言いつつ鉄の剣を振るいさらにコボルトを一体葬り去る。
と、
【コボルトクラッシャーを取得しました】
目の前に文字が浮かび上がった。
「あっ、ククリ、コボルトクラッシャー手に入れた」
俺は特に感動もなく状況説明だけする。
「わあ! やったじゃないですか……って全然喜んでませんね」
「どうせコボルトコレクターを手に入れるからな。正直必要ないんだよ」
そうは言ったもののコボルトクラッシャーを取得したことで明らかにコボルト狩りのスピードは上がった。
これまで一振りで一体多くて二体だったものが一振りで三体以上のコボルトを同時に倒せるようになったのだ。
俺は危なげなくコボルトを倒しつつ大部屋を出て通路を先へ先へと進んでいく。
その通路上、毒の沼地がありその真ん中に宝箱をみつけた。
だが天使の靴を履いている俺には毒の沼地など関係ない。
俺は難なく宝箱を開け中に入っていた黒曜の玉をゲットした。
「あっ、すいませんマツイさん、このフロアに来てそろそろ一時間です」
ククリが教えてくれる。
「え、もうそんな時間か。じゃあ一旦上に戻るか」
俺は首からぶら下げたにおい袋の口を一応閉じてから上への階段を目指しもと来た道を戻っていく。
「マツイさん、ちょっと急いだほうがいいかもしれません」
「ん、わかった」
ククリが言うので小走りで戻ることにした。
ところが通路を抜けて大部屋の前に来ると、
「げっ!? なんだこれっ!?」
さっきはいなかったはずのコボルトの大群がうじゃうじゃと部屋中ひしめき合っていた。
まるでおしくらまんじゅうをしているのかというくらいぎゅうぎゅうで隙間がない。
俺に気付いたコボルトが我先にと部屋から出てこようとするがお互いの体が邪魔でうまく動けないでいた。
「おいククリ、なんだよこれっ」
「モンスターの異常発生ですっ。ごくたまにモンスターの数が爆発的に増えることがあるんですっ」
「どうするんだよこの数、ここ通らないと上の階段に行けないんだぞっ!」
「そう言われても倒すしかないです~っ」
ククリが悲鳴にも似た声を上げる。
マジかよっ。
俺は焦りを隠そうともせず大きく振りかぶって部屋の出入り口でぎゅうぎゅう詰めになっているコボルトたちをばっさりと一刀両断にしていくが倒せば倒すほどコボルトたちは部屋の中からどんどん溢れ出てくる。
「くそっ……!」
この数。負けはしないが時間がないっ。
もうすぐ強制退出させられる一時間が経とうとしているのにっ。
……そうだっ!
俺はあることを思いつき部屋の中に向かって手をかざすと、
「バトルウインド!」
声を発した。
薄緑色の風の刃がコボルトたちを上半身と下半身真っ二つにしながら部屋の中を飛んでいく。
一瞬だが道が開けた!
俺はコボルトに掴まれそうになりながらもモーセの如く、文字通り切り開いた道を懸命に駆け抜けた。
大部屋をあとにして地下四階層への階段が目の前に迫った、
「よしっ」
その時だった――
空間がぐにゃりとねじ曲がった。
「げっ、あと少しなのにっ……!」
手を伸ばすも視界がぐるりと回転し俺は強烈な吐き気とめまいに襲われる。
そして……。
……。
……。
……。
どれくらいの時間が経ってからかはわからないが、目が覚めると俺は写し鏡の門の前にまたも全裸で倒れていた。
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