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第70話 満月の下
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「嘘だろ……マジで? 勘弁してくれよ……」
一時間を過ぎたせいで強制的にダンジョン外に出された俺は写し鏡の門の前でショックを隠し切れずにいた。
それなりの武器と防具を手に入れて順調にダンジョンを進んでいたのにまさかフロアの制限時間を超えてしまうという初歩的なミスを犯してしまうなんて。
何時間もやっていたゲームをセーブなしでリセットされたような気分だ。
「なんだよ、モンスターの異常発生って……」
さすがにすぐにダンジョンに戻る気になれなかった俺はぶつぶつと文句をたれながらも重い腰を上げ石階段を一歩ずつ上っていく。
外は夜、皮肉にも今まで見た中で一番きれいな満月だった。
「はあ……」
俺は庭の木の陰に隠しておいた服を手に取る。
気落ちしながらトランクスを履き、ジーンズを履き、そしてシャツを着ようとしたその時だった。
俺はふと何者かの気配を背後に感じた。
一瞬頭をよぎるお化けの存在に夜の肌寒さも相まって鳥肌がぶわっと立つ。
お化けなんて非科学的なものこれまでは信じていなかったが今は非科学の世界に両足どっぷり浸かってしまっている俺は、つばを飲み込むとゆっくり背後を振り返り見――
「……秀喜おじさん?」
「うわああぁぁっ!!」
俺の背後にいたのは頭の上にはてなマークを浮かべたパジャマ姿の珠理奈ちゃんだった。
一時間を過ぎたせいで強制的にダンジョン外に出された俺は写し鏡の門の前でショックを隠し切れずにいた。
それなりの武器と防具を手に入れて順調にダンジョンを進んでいたのにまさかフロアの制限時間を超えてしまうという初歩的なミスを犯してしまうなんて。
何時間もやっていたゲームをセーブなしでリセットされたような気分だ。
「なんだよ、モンスターの異常発生って……」
さすがにすぐにダンジョンに戻る気になれなかった俺はぶつぶつと文句をたれながらも重い腰を上げ石階段を一歩ずつ上っていく。
外は夜、皮肉にも今まで見た中で一番きれいな満月だった。
「はあ……」
俺は庭の木の陰に隠しておいた服を手に取る。
気落ちしながらトランクスを履き、ジーンズを履き、そしてシャツを着ようとしたその時だった。
俺はふと何者かの気配を背後に感じた。
一瞬頭をよぎるお化けの存在に夜の肌寒さも相まって鳥肌がぶわっと立つ。
お化けなんて非科学的なものこれまでは信じていなかったが今は非科学の世界に両足どっぷり浸かってしまっている俺は、つばを飲み込むとゆっくり背後を振り返り見――
「……秀喜おじさん?」
「うわああぁぁっ!!」
俺の背後にいたのは頭の上にはてなマークを浮かべたパジャマ姿の珠理奈ちゃんだった。
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