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第71話 しどろもどろ
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「……そこで何しているんですか?」
「え、い、いや……別に」
「……出かけていたんじゃないんですか?」
「あ、あー、まあ」
「……秀喜おじさん、全裸でしたよね?」
「え……み、見てたの?」
「……はい」
暗がりとはいえ、よりによって女子中学生の姪っ子に全裸姿を見られていたとは穴があったら入りたい……というか――
「いつから見てた?」
「……そこの穴から秀喜おじさんが出てきたところからですけど」
そう言って珠理奈ちゃんは庭の隅っこの穴を指差す。
「……その穴なんですか?」
覗き込もうと穴に近付いていく珠理奈ちゃん。
「あーちょっと待ったっ」
俺は珠理奈ちゃんの肩を優しく掴んだ。
トウキョウダンジョンのことは知られるわけにはいかない。騒ぎになってしまう。
「……なんですか?」
「ええーっと、危ないから、そこ。近付かないほうがいいよ。ほら前に物置に使ってたプレハブ小屋を壊したんだよ、古くなったから。だからちょっと地面に穴も開いちゃってて」
「……はあ」
うなずくが納得してる顔ではない。
そりゃそうだ、喋っている本人ですら意味不明なのだから。
やはりというか案の定というか、珠理奈ちゃんは俺の言葉を無視して穴に近寄っていく。
「あー待って待ってっ……」
そして見てしまう。
「……え……この階段なんですか?」
驚いた様子で下をみつめている。
まずい、バレた。
「……秀喜おじさんは知っているんですよね? これ」
珠理奈ちゃんは俺の目をしっかり見据えてくる。
「いや、えーと……」
俺はさっきから同じようなことしか言ってないな。
「……秀喜おじさんが教えてくれないならわたしこの階段下りますよ」
やっぱり初子姉ちゃんの子どもだ。変なところで頑固だ。
「やめといたほうがいいと思うけどなぁ」
「……じゃあこれがなんなのか、秀喜おじさんが知っていること全部教えてください」
もうこのまま知らんぷりしていっそのことトウキョウダンジョンに行かせてみるかな。
口で説明したって信じてもらえるとは思えないしその方が意外と丸く収まるかも。
そんな考えが頭をよぎる。
気付くと珠理奈ちゃんは俺が黙っていたのを否定と受け取ったのか無言で階段を下りていくところだった。
階段を下りていけば鏡があるから珠理奈ちゃんはきっと触るだろう。
そうすれば全裸でトウキョウダンジョンへ――全裸っ!?
「わー、待ったっ待った! 教えるから戻って来いっ」
俺は必死で珠理奈ちゃんを呼び止めると家の中に連れて帰った。
「え、い、いや……別に」
「……出かけていたんじゃないんですか?」
「あ、あー、まあ」
「……秀喜おじさん、全裸でしたよね?」
「え……み、見てたの?」
「……はい」
暗がりとはいえ、よりによって女子中学生の姪っ子に全裸姿を見られていたとは穴があったら入りたい……というか――
「いつから見てた?」
「……そこの穴から秀喜おじさんが出てきたところからですけど」
そう言って珠理奈ちゃんは庭の隅っこの穴を指差す。
「……その穴なんですか?」
覗き込もうと穴に近付いていく珠理奈ちゃん。
「あーちょっと待ったっ」
俺は珠理奈ちゃんの肩を優しく掴んだ。
トウキョウダンジョンのことは知られるわけにはいかない。騒ぎになってしまう。
「……なんですか?」
「ええーっと、危ないから、そこ。近付かないほうがいいよ。ほら前に物置に使ってたプレハブ小屋を壊したんだよ、古くなったから。だからちょっと地面に穴も開いちゃってて」
「……はあ」
うなずくが納得してる顔ではない。
そりゃそうだ、喋っている本人ですら意味不明なのだから。
やはりというか案の定というか、珠理奈ちゃんは俺の言葉を無視して穴に近寄っていく。
「あー待って待ってっ……」
そして見てしまう。
「……え……この階段なんですか?」
驚いた様子で下をみつめている。
まずい、バレた。
「……秀喜おじさんは知っているんですよね? これ」
珠理奈ちゃんは俺の目をしっかり見据えてくる。
「いや、えーと……」
俺はさっきから同じようなことしか言ってないな。
「……秀喜おじさんが教えてくれないならわたしこの階段下りますよ」
やっぱり初子姉ちゃんの子どもだ。変なところで頑固だ。
「やめといたほうがいいと思うけどなぁ」
「……じゃあこれがなんなのか、秀喜おじさんが知っていること全部教えてください」
もうこのまま知らんぷりしていっそのことトウキョウダンジョンに行かせてみるかな。
口で説明したって信じてもらえるとは思えないしその方が意外と丸く収まるかも。
そんな考えが頭をよぎる。
気付くと珠理奈ちゃんは俺が黙っていたのを否定と受け取ったのか無言で階段を下りていくところだった。
階段を下りていけば鏡があるから珠理奈ちゃんはきっと触るだろう。
そうすれば全裸でトウキョウダンジョンへ――全裸っ!?
「わー、待ったっ待った! 教えるから戻って来いっ」
俺は必死で珠理奈ちゃんを呼び止めると家の中に連れて帰った。
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