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第96話 家への帰還
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「んん……」
意識が戻り目を開ける。
気付くと俺は写し鏡の門の前に倒れていた。
手には白夜の剣を握りしめたまま。
「……ククリがやってくれたのか」
どれくらいかはわからないが俺はキマイラロードの催眠攻撃で今まで眠っていたようだった。
ククリはそんな俺を帰還石でダンジョン外に逃がしてくれたのだ。
「助かった……けどやっぱりキマイラの催眠攻撃は厄介だな」
俺は立ち上がり神秘のスカートをはたきながらつぶやく。
今回は白夜の剣や神秘のスカート、風切りのバンダナや影縫いのお守り、快眠枕など高値で買い取ってもらえそうなアイテムが揃っていたが結局ベアさんに売ることなく全部持ち帰ってきてしまった。
どれくらい眠っていたかにもよるがダンジョンに潜っておそらく五日半から六日ほど経っているはずだ……。
「今回の稼ぎは……二万八千八百七十円か」
皮の袋から取り出した現金は三万円にも満たない。
これでは適当なバイトをした方がよほど稼ぎがいい。
「はあ……まあいいか」
とりあえず無事帰ってこれたわけだし地下十階層にも行けるようになった。
俺自身も着実に強くなっている。
自分に言い聞かせるようにして石階段を上っていく。
外に出ると夕日が目に差し込んできた。
オレンジ色の夕日に照らされながら家の中へと入っていくと珠理奈ちゃんの靴はもうなかった。
「……帰ったのか」
初子姉ちゃんの娘の珠理奈ちゃんを預かっていたわけだが結局大したことはしてやれなかったな。
「あっ、そういえばお土産だっ」
珠理奈ちゃんがトウキョウダンジョンのことを黙っているかわりにお土産を持ち帰ると約束したんだった。
俺は自分の部屋に行くと持ち物をすべてベッドの上に並べてみた。
現金、白夜の剣、ブーメランパンツ、におい袋、影縫いのお守り、安全靴、風切りのバンダナ、オークの肉、皮の袋、薬草三つ、ヒーローマント、神秘のスカート、快眠枕。
「うーん、女子中学生が喜びそうなものは……何もないな」
マントなんかもらっても喜ばないだろうし下手に空を飛ばれでもして騒ぎになったらまずいだろ。
神秘のスカートは銀色でちょっと派手だしそもそもおじさんからもらったスカートなんか履きたくないよな。
そうなると枕だけどこれは人にあげるのはもったいない、悪いが珠理奈ちゃんにあげるくらいなら俺が使いたいくらいだ。
「うーん……」
俺は頭を悩ませながらとりあえず服を着る。
そしてオークの肉を持って下の階へと足を運んだ。
冷蔵庫に肉を放り込むと、
「――あれ?」
よく見ると冷蔵庫の中にラップでくるまれたチャーハンが入っていた。
さらにチャーハンのお皿の下には紙が挟まっている。
「なんだ?」
俺はチャーハンと紙を取り出すとテーブルの上に置いた。
冷たくなった紙に目を落とす。
「えーっと……げっ、初子姉ちゃんからだ」
それは初子姉ちゃんが書いた置き手紙だった。
[秀喜あんたどこ行ってるのよ、あたしが行く時くらいは家にいなさいよね。ニートなんだから暇でしょう。
珠理奈を迎えに来たらあんたはちょっと出かけてるって珠理奈が言うから今日のところはこれで帰るけど一言電話くらいあってもいいんじゃないの。
そういうところがあんたが社会人になれないところよ。
冷蔵庫に珠理奈があんたのためにって作ったチャーハンが入ってるからちゃんと食べるのよ。
それと珠理奈があんたに話があるらしいからあんたの携帯番号珠理奈に教えといたからね。わからない番号でもとりあえず出るのよ。いいわね]
紙には長々と初子姉ちゃんの字が書き連ねてあった。
「これ、珠理奈ちゃんが作ったのか」
チャーハンを持ち上げてみる。
「美味しそうだけどいつ作ったものだこれ?」
少なくとも二日以上は経過してるはずだよな。
「まあ、大丈夫か」
捨てるのももったいないし俺はそれを電子レンジで温めると夕ご飯代わりに美味しくいただいたのだった。
意識が戻り目を開ける。
気付くと俺は写し鏡の門の前に倒れていた。
手には白夜の剣を握りしめたまま。
「……ククリがやってくれたのか」
どれくらいかはわからないが俺はキマイラロードの催眠攻撃で今まで眠っていたようだった。
ククリはそんな俺を帰還石でダンジョン外に逃がしてくれたのだ。
「助かった……けどやっぱりキマイラの催眠攻撃は厄介だな」
俺は立ち上がり神秘のスカートをはたきながらつぶやく。
今回は白夜の剣や神秘のスカート、風切りのバンダナや影縫いのお守り、快眠枕など高値で買い取ってもらえそうなアイテムが揃っていたが結局ベアさんに売ることなく全部持ち帰ってきてしまった。
どれくらい眠っていたかにもよるがダンジョンに潜っておそらく五日半から六日ほど経っているはずだ……。
「今回の稼ぎは……二万八千八百七十円か」
皮の袋から取り出した現金は三万円にも満たない。
これでは適当なバイトをした方がよほど稼ぎがいい。
「はあ……まあいいか」
とりあえず無事帰ってこれたわけだし地下十階層にも行けるようになった。
俺自身も着実に強くなっている。
自分に言い聞かせるようにして石階段を上っていく。
外に出ると夕日が目に差し込んできた。
オレンジ色の夕日に照らされながら家の中へと入っていくと珠理奈ちゃんの靴はもうなかった。
「……帰ったのか」
初子姉ちゃんの娘の珠理奈ちゃんを預かっていたわけだが結局大したことはしてやれなかったな。
「あっ、そういえばお土産だっ」
珠理奈ちゃんがトウキョウダンジョンのことを黙っているかわりにお土産を持ち帰ると約束したんだった。
俺は自分の部屋に行くと持ち物をすべてベッドの上に並べてみた。
現金、白夜の剣、ブーメランパンツ、におい袋、影縫いのお守り、安全靴、風切りのバンダナ、オークの肉、皮の袋、薬草三つ、ヒーローマント、神秘のスカート、快眠枕。
「うーん、女子中学生が喜びそうなものは……何もないな」
マントなんかもらっても喜ばないだろうし下手に空を飛ばれでもして騒ぎになったらまずいだろ。
神秘のスカートは銀色でちょっと派手だしそもそもおじさんからもらったスカートなんか履きたくないよな。
そうなると枕だけどこれは人にあげるのはもったいない、悪いが珠理奈ちゃんにあげるくらいなら俺が使いたいくらいだ。
「うーん……」
俺は頭を悩ませながらとりあえず服を着る。
そしてオークの肉を持って下の階へと足を運んだ。
冷蔵庫に肉を放り込むと、
「――あれ?」
よく見ると冷蔵庫の中にラップでくるまれたチャーハンが入っていた。
さらにチャーハンのお皿の下には紙が挟まっている。
「なんだ?」
俺はチャーハンと紙を取り出すとテーブルの上に置いた。
冷たくなった紙に目を落とす。
「えーっと……げっ、初子姉ちゃんからだ」
それは初子姉ちゃんが書いた置き手紙だった。
[秀喜あんたどこ行ってるのよ、あたしが行く時くらいは家にいなさいよね。ニートなんだから暇でしょう。
珠理奈を迎えに来たらあんたはちょっと出かけてるって珠理奈が言うから今日のところはこれで帰るけど一言電話くらいあってもいいんじゃないの。
そういうところがあんたが社会人になれないところよ。
冷蔵庫に珠理奈があんたのためにって作ったチャーハンが入ってるからちゃんと食べるのよ。
それと珠理奈があんたに話があるらしいからあんたの携帯番号珠理奈に教えといたからね。わからない番号でもとりあえず出るのよ。いいわね]
紙には長々と初子姉ちゃんの字が書き連ねてあった。
「これ、珠理奈ちゃんが作ったのか」
チャーハンを持ち上げてみる。
「美味しそうだけどいつ作ったものだこれ?」
少なくとも二日以上は経過してるはずだよな。
「まあ、大丈夫か」
捨てるのももったいないし俺はそれを電子レンジで温めると夕ご飯代わりに美味しくいただいたのだった。
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