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第103話 スライムのご飯
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「じゃあまたなククリ」
「はい。次はいつ来ますか?」
ククリが訊いてくる。
「うーん、どうだろうな。ポチを知り合いに預けてからだからちょっと今はわからないな」
「そうですか」
「なあ……ククリって俺がいない間は何してるんだ? 暇じゃないのか?」
すると、
「あのですねマツイさん。精霊はいろいろやることがあるんですよ」
とククリは顔を近付けてきた。
続けて、
「私はこれでも精霊の中では偉い方なんですからね、暇じゃないんです。そんな忙しい時間の合間を縫ってこうしてマツイさんのダンジョン探索のお供をしているんですからね私は。もっと感謝してくれてもいいんですよっ」
まくしたてる。
「あ、あー、そうだったんだ」
俺はククリがさみしいんじゃないかと思って訊ねてみたのだがいらぬ世話だったようだ。
俺は写し鏡の門の前に立つとスライムを抱きかかえた。
「今さらだけどこいつ本当に連れ帰ってもいいのか?」
「いいですよ。別にレベル1のスライムなんて無害ですからね。それにその姪っ子さんは賢い子なんでしょう」
「ああ。他人に見せびらかしたりするつもりはないって言ってた」
「じゃあ大丈夫ですよ」
ククリは言う。
ククリの言う大丈夫はあまり大丈夫じゃない時があるから少し気になるが、スライムを連れ帰らなかったら連れ帰らなかったで珠理奈ちゃんがどう動くかも不安だからこの際深く考えるのはやめることにした。
俺は普段から心配しすぎるきらいがあるからな。ちょっとくらい大雑把になった方がいいだろう。
「ククリ、またあとでな」
『ピキー』
「はーい。お二人ともお元気で~」
ククリに別れを告げると俺はスライムを連れ写し鏡の門を通過した。
服を着こみ家の玄関を開けるとポチは既に目覚めていてエサを入れるトレイをくわえて待っていた。
「おう、おはようポチ。ちょっとダンジョンに出かけていたんだ、すぐ朝ご飯にしような」
ポチの頭を撫でると隣にスライムを置いた。
「こいつしばらく家に置くけどその間仲良くしてやってくれ」
俺は急いでドッグフードを取りに行き――
「あっ。そういえばスライムって何食べるのかククリに訊いておくの忘れた」
ドッグフードを持ってポチたちのもとに戻ると、
「くぅん」
『ピキー』
丸くなったポチの背中の上にスライムがちょこんと乗っかっていた。
「仲良さそうで何よりだがお前何を食べるんだ?」
スライムの顔を覗き込む。
『ピキー?』
俺はダンジョンで手に入れたばかりの薬草を差し出してみる。
「これ食べるか?」
『ピキー!』
スライムは嬉しそうに薬草をむしゃむしゃと食べ始めた。
「お前薬草を食べるのか。確か押し入れの中に薬草があと三つあったはずだけど……それだけで足りるかな」
こんなことなら薬草をもっと持って帰っておけばよかったかなと思っていると、
「わんわんっ」
「おー、悪い。ポチも腹減ってるよな」
ポチに急かされ俺はトレイにドッグフードをたっぷりと注ぎ入れる。
「よし。あとは水だな――って、えっ!?」
キッチンに向かおうとした俺がふと見るとポチの隣でスライムもドッグフードをばりばり食べていた。
「スライム、お前ドッグフードも食べられるのかっ?」
『ピキー!』
スライムは俺を一度見上げてから再度ドッグフードに口をつける。
「なあんだ、薬草じゃなくてもいいのかよお前」
このあとスライムは昼ご飯にはトーストを、夕ご飯には冷凍食品のチャーハンをものの数分でたいらげた。
つまるところスライムは雑食のようだった。
「はい。次はいつ来ますか?」
ククリが訊いてくる。
「うーん、どうだろうな。ポチを知り合いに預けてからだからちょっと今はわからないな」
「そうですか」
「なあ……ククリって俺がいない間は何してるんだ? 暇じゃないのか?」
すると、
「あのですねマツイさん。精霊はいろいろやることがあるんですよ」
とククリは顔を近付けてきた。
続けて、
「私はこれでも精霊の中では偉い方なんですからね、暇じゃないんです。そんな忙しい時間の合間を縫ってこうしてマツイさんのダンジョン探索のお供をしているんですからね私は。もっと感謝してくれてもいいんですよっ」
まくしたてる。
「あ、あー、そうだったんだ」
俺はククリがさみしいんじゃないかと思って訊ねてみたのだがいらぬ世話だったようだ。
俺は写し鏡の門の前に立つとスライムを抱きかかえた。
「今さらだけどこいつ本当に連れ帰ってもいいのか?」
「いいですよ。別にレベル1のスライムなんて無害ですからね。それにその姪っ子さんは賢い子なんでしょう」
「ああ。他人に見せびらかしたりするつもりはないって言ってた」
「じゃあ大丈夫ですよ」
ククリは言う。
ククリの言う大丈夫はあまり大丈夫じゃない時があるから少し気になるが、スライムを連れ帰らなかったら連れ帰らなかったで珠理奈ちゃんがどう動くかも不安だからこの際深く考えるのはやめることにした。
俺は普段から心配しすぎるきらいがあるからな。ちょっとくらい大雑把になった方がいいだろう。
「ククリ、またあとでな」
『ピキー』
「はーい。お二人ともお元気で~」
ククリに別れを告げると俺はスライムを連れ写し鏡の門を通過した。
服を着こみ家の玄関を開けるとポチは既に目覚めていてエサを入れるトレイをくわえて待っていた。
「おう、おはようポチ。ちょっとダンジョンに出かけていたんだ、すぐ朝ご飯にしような」
ポチの頭を撫でると隣にスライムを置いた。
「こいつしばらく家に置くけどその間仲良くしてやってくれ」
俺は急いでドッグフードを取りに行き――
「あっ。そういえばスライムって何食べるのかククリに訊いておくの忘れた」
ドッグフードを持ってポチたちのもとに戻ると、
「くぅん」
『ピキー』
丸くなったポチの背中の上にスライムがちょこんと乗っかっていた。
「仲良さそうで何よりだがお前何を食べるんだ?」
スライムの顔を覗き込む。
『ピキー?』
俺はダンジョンで手に入れたばかりの薬草を差し出してみる。
「これ食べるか?」
『ピキー!』
スライムは嬉しそうに薬草をむしゃむしゃと食べ始めた。
「お前薬草を食べるのか。確か押し入れの中に薬草があと三つあったはずだけど……それだけで足りるかな」
こんなことなら薬草をもっと持って帰っておけばよかったかなと思っていると、
「わんわんっ」
「おー、悪い。ポチも腹減ってるよな」
ポチに急かされ俺はトレイにドッグフードをたっぷりと注ぎ入れる。
「よし。あとは水だな――って、えっ!?」
キッチンに向かおうとした俺がふと見るとポチの隣でスライムもドッグフードをばりばり食べていた。
「スライム、お前ドッグフードも食べられるのかっ?」
『ピキー!』
スライムは俺を一度見上げてから再度ドッグフードに口をつける。
「なあんだ、薬草じゃなくてもいいのかよお前」
このあとスライムは昼ご飯にはトーストを、夕ご飯には冷凍食品のチャーハンをものの数分でたいらげた。
つまるところスライムは雑食のようだった。
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