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第106話 高木さんの住むアパート
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「よしっ、お前は今日からスラだ」
『ピキー!』
二時間もかけて結局スライムの名前がスラという安易な名前に落ち着いた頃、
ピリリリリ……。
スマホに着信が。
もちろん高木さんからなので素早く電話に出る。
「もしもし」
『ゴジラくん、わたし。今仕事終わったから』
「あーそう」
『ゴジラくんは仕事は平気なの?』
「あー、俺は……」
高木さんには俺がニートだということは当然話してはいない。
今までは適当にごまかしてきたのだが……。
「……うん、今日は俺仕事休みだから」
ほんの一瞬だけ本当のことを言ってしまおうかとも思ったが結局またも嘘をついた。
『そうだったんだ』
「それでまた明日からしばらく出張で家を空けるんだけどポチのこと大丈夫かな? また一日五千円で」
『全然平気だよ』
「ありがとう。じゃあこれからポチを連れて高木さん家に向かうよ」
『わかった。わたしも今から家に帰るからちょうどいいかもね』
「うん、じゃあね」
電話を切ると多少の罪悪感にさいなまれる。
「ダンジョンでもう少し稼げるようになったら高木さんには本当のことを話してもいいかな……」
俺はポチにリードをつけて玄関のドアを開けた。
「スラ、ちょっと出かけてくるから待っててな。すぐ戻ってくるから」
『ピキー』
スライム一匹を家に残して俺はポチと一緒に高木さんの住むアパートへと足を向ける。
自転車の方が早く着けるがポチがいるとちょっと不安なので歩いていくことにした。
ポチを連れて徒歩十五分ほどだろうかまっすぐの道路を道なりに進んでいくと高木さんの住むアパートが見えてきた。
「ゴジラくーん!」
高木さんがアパートの前でこっちに向かって手を振っている。
萌え袖というのだろうか、手が半分服の袖で隠れているのがまた可愛らしい。
すると「わんわんっ」とポチが高木さんを見て走り出した。
俺はポチに引っ張られる形で後を追う。
「きゃっ、ポチ、元気だった?」
ポチは高木さんを押し倒さんばかりの勢いで飛びついた。
それに対し高木さんは嫌な顔一つせず破顔させてポチを抱きしめる。
はたから見たらまるで本当のペットと飼い主のように見えていることだろう。
「高木さん外で待っててくれたの?」
「うん。だってわたしの部屋どこだかわからないでしょ」
「あー、そうだね」
本当はこの前来た時にどこの部屋に入って明かりがついたかまで確認していたのだがそれを言うと気味悪がられそうなのでやめておいた。
「でも前、ストーカー? みたいなことがあったから気をつけたほうがいいよ。ちょっともう薄暗いし」
「うん、心配してくれてありがとう……そうだ、ちょっとだけ――」
「わんっ」
「ん、どうしたのポチ? お腹すいたかな? おうち入ろっか」
言うと高木さんはポチのリードを俺から受け取りアパートの一室に向かっていく。
「わたしの部屋202号室だからっ」
部屋に入る前に一度振り向き笑顔で声を上げるとポチとともに部屋の中に消えていった。
こらポチ、せっかくいい感じだったのに邪魔してくれたな。
『ピキー!』
二時間もかけて結局スライムの名前がスラという安易な名前に落ち着いた頃、
ピリリリリ……。
スマホに着信が。
もちろん高木さんからなので素早く電話に出る。
「もしもし」
『ゴジラくん、わたし。今仕事終わったから』
「あーそう」
『ゴジラくんは仕事は平気なの?』
「あー、俺は……」
高木さんには俺がニートだということは当然話してはいない。
今までは適当にごまかしてきたのだが……。
「……うん、今日は俺仕事休みだから」
ほんの一瞬だけ本当のことを言ってしまおうかとも思ったが結局またも嘘をついた。
『そうだったんだ』
「それでまた明日からしばらく出張で家を空けるんだけどポチのこと大丈夫かな? また一日五千円で」
『全然平気だよ』
「ありがとう。じゃあこれからポチを連れて高木さん家に向かうよ」
『わかった。わたしも今から家に帰るからちょうどいいかもね』
「うん、じゃあね」
電話を切ると多少の罪悪感にさいなまれる。
「ダンジョンでもう少し稼げるようになったら高木さんには本当のことを話してもいいかな……」
俺はポチにリードをつけて玄関のドアを開けた。
「スラ、ちょっと出かけてくるから待っててな。すぐ戻ってくるから」
『ピキー』
スライム一匹を家に残して俺はポチと一緒に高木さんの住むアパートへと足を向ける。
自転車の方が早く着けるがポチがいるとちょっと不安なので歩いていくことにした。
ポチを連れて徒歩十五分ほどだろうかまっすぐの道路を道なりに進んでいくと高木さんの住むアパートが見えてきた。
「ゴジラくーん!」
高木さんがアパートの前でこっちに向かって手を振っている。
萌え袖というのだろうか、手が半分服の袖で隠れているのがまた可愛らしい。
すると「わんわんっ」とポチが高木さんを見て走り出した。
俺はポチに引っ張られる形で後を追う。
「きゃっ、ポチ、元気だった?」
ポチは高木さんを押し倒さんばかりの勢いで飛びついた。
それに対し高木さんは嫌な顔一つせず破顔させてポチを抱きしめる。
はたから見たらまるで本当のペットと飼い主のように見えていることだろう。
「高木さん外で待っててくれたの?」
「うん。だってわたしの部屋どこだかわからないでしょ」
「あー、そうだね」
本当はこの前来た時にどこの部屋に入って明かりがついたかまで確認していたのだがそれを言うと気味悪がられそうなのでやめておいた。
「でも前、ストーカー? みたいなことがあったから気をつけたほうがいいよ。ちょっともう薄暗いし」
「うん、心配してくれてありがとう……そうだ、ちょっとだけ――」
「わんっ」
「ん、どうしたのポチ? お腹すいたかな? おうち入ろっか」
言うと高木さんはポチのリードを俺から受け取りアパートの一室に向かっていく。
「わたしの部屋202号室だからっ」
部屋に入る前に一度振り向き笑顔で声を上げるとポチとともに部屋の中に消えていった。
こらポチ、せっかくいい感じだったのに邪魔してくれたな。
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