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第108話 買い物
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写し鏡の門を抜けると、
「マツイさん、お久しぶりですっ」
ククリが鏡の前でぱたぱたと飛んでいた。
「久しぶりククリ、またよろしくな」
「はい、よろしくお願いします――って、この間のスライム連れてきてるじゃないですかっ」
ククリは俺の足元にいるスラを見て声を上げる。
「うんまあ、スラがどうしても来たいって言うから仕方なく」
「そのスライム、スラさんて名前にしたんですか~。でも姪っ子さんはいいんですか?」
「ああ、代わりに快眠枕をあげたよ」
「ふふっ、そうですか……スラさんも一緒にダンジョン探索するんですか?」
ククリがスラを見る。
『ピキー!』
「わあ、はりきってますねスラさん。じゃあ一緒に頑張りましょうね」
『ピキー!』
まるでスラの言っていることがわかっているかのようにスラと言葉を交わすとククリはすーっと飛び上がった。
「さっきこの先にベアさんがいたのでまだ探せばいるかもしれませんよ。アイテムをみつけていらないものがあったら売っちゃいましょう」
「ああ、そうしよう」
俺は頭上にククリを足元にはスライムを連れダンジョン探索を開始した。
敵スライムは相変わらず俺を見たらダッシュで逃げていく。
スラのために少しくらいは経験値を稼いでやろうとしたのだがこれではスライムを倒すことはかなわない。
しょうがないのでアイテムを探しているとベアさんに出くわした。
『なんだククリ、また会ったな』
「はい。今度はマツイさんもいますよ」
『ようマツイ。久しぶりだな』
「ど、どうも」
ベアさんは険しい顔で俺を見てくるがもともとそういう顔らしいので決して怒っているわけではないそうだ。
『おっ、スライムなんか連れてどうした。なんか心境の変化でもあったのか?』
「そういうわけじゃないですけど、まあいろいろありまして……」
「スラさんていうんですよ。でこっちの怖い顔をした方がベアさんです」
ククリがベアさんとスラの間に入ってお互いの紹介をしている。
『怖い顔で悪かったな、ククリ』
「あっすいません、口が滑っちゃいましたっ」
『ピキー』
『おう、よろしくなスラ』
ベアさんとスラの顔合わせも済んだことだし早速買い物といきたいところだが……。
『マツイ、なんか売るものあるか? それとも買ってくか?』
「そうしたいのはやまやまなんですけど俺今ダンジョンに来たばかりで見ての通り何も持ってないんです」
全裸なんだから一目瞭然だろう。
『なんだしけてんなぁ。だったらしばらくここにいてやるからアイテムでもみつけてこいよ』
「ありがとうございます」
ベアさんのご厚意に甘え一旦ベアさんと別れるとアイテム探しにフロアをねり歩く。
スラは俺の足元をぴょんぴょんとついてくる。
誤って踏んづけちゃいそうでちょっと怖い。
十五分ほどかけてフロアを歩き回った結果四つのアイテムを手に入れることが出来た。
すぐにベアさんのもとに持っていく。
『おお、戻ったかマツイ。これ全部買い取りでいいのか?」
「はい、お願いします」
俺がみつけたアイテムはたいまつと毒消し草と鉄のムチとうなりの木だった。
たいまつは魔眼があるから必要ないし毒消し草はキュアがあるからやはり必要ない。
攻撃力+7の鉄のムチは武器ではあるが俺には使いこなせそうにないのでいらないしうなりの木は持っているだけで生命力と魔力がじわじわ削られていく呪われたアイテムだからさっさと売り払いたい。
『千と二万と二千五百と二十で……二万三千五百二十円か。それでいいか?』
「はい、もちろんです」
俺はダンジョンに入ってわずか二十分足らずで二万三千五百二十円を手にした。
『よし、じゃあなんか買っていってくれ』
ベアさんが手を広げる。
俺はベアさんの足元に並べられた商品を見るが正直どれも高そうな物ばかり。
「これって……?」
『それは妖刀ししおどし。五万円だ』
「じゃあこっちのは?」
「マツイさんそれはアルティメットアーマーです。五十万円しますよ」
「五十万っ!?」
無理だ、買えるわけない。
「ベアさん、今の俺に買えそうな物でおすすめってありますか?」
『おすすめか? そうだなぁ……』
「あっ、マツイさん。目覚まし草が売ってますよっ」
ククリが声を上げた。
ククリの指差す先にはそこらへんに生えていそうな草が置いてあった。
目覚まし草。
食べると三日間眠くならないという学生時代なら試験前にぜひとも欲しかったアイテムだ。
だが今の俺には別の理由でぜひとも手に入れておきたいアイテムである。
『なんだ、目覚まし草なんかが欲しいのか? それなら三百円だぜ』
「買いますっ」
値段の安さもあって俺は一も二もなく手を上げた。
やったぞ。これでキマイラの催眠攻撃を封じることが出来る。
俺は目覚まし草を握り締めながら自然とほくそ笑んでいた。
「マツイさん、お久しぶりですっ」
ククリが鏡の前でぱたぱたと飛んでいた。
「久しぶりククリ、またよろしくな」
「はい、よろしくお願いします――って、この間のスライム連れてきてるじゃないですかっ」
ククリは俺の足元にいるスラを見て声を上げる。
「うんまあ、スラがどうしても来たいって言うから仕方なく」
「そのスライム、スラさんて名前にしたんですか~。でも姪っ子さんはいいんですか?」
「ああ、代わりに快眠枕をあげたよ」
「ふふっ、そうですか……スラさんも一緒にダンジョン探索するんですか?」
ククリがスラを見る。
『ピキー!』
「わあ、はりきってますねスラさん。じゃあ一緒に頑張りましょうね」
『ピキー!』
まるでスラの言っていることがわかっているかのようにスラと言葉を交わすとククリはすーっと飛び上がった。
「さっきこの先にベアさんがいたのでまだ探せばいるかもしれませんよ。アイテムをみつけていらないものがあったら売っちゃいましょう」
「ああ、そうしよう」
俺は頭上にククリを足元にはスライムを連れダンジョン探索を開始した。
敵スライムは相変わらず俺を見たらダッシュで逃げていく。
スラのために少しくらいは経験値を稼いでやろうとしたのだがこれではスライムを倒すことはかなわない。
しょうがないのでアイテムを探しているとベアさんに出くわした。
『なんだククリ、また会ったな』
「はい。今度はマツイさんもいますよ」
『ようマツイ。久しぶりだな』
「ど、どうも」
ベアさんは険しい顔で俺を見てくるがもともとそういう顔らしいので決して怒っているわけではないそうだ。
『おっ、スライムなんか連れてどうした。なんか心境の変化でもあったのか?』
「そういうわけじゃないですけど、まあいろいろありまして……」
「スラさんていうんですよ。でこっちの怖い顔をした方がベアさんです」
ククリがベアさんとスラの間に入ってお互いの紹介をしている。
『怖い顔で悪かったな、ククリ』
「あっすいません、口が滑っちゃいましたっ」
『ピキー』
『おう、よろしくなスラ』
ベアさんとスラの顔合わせも済んだことだし早速買い物といきたいところだが……。
『マツイ、なんか売るものあるか? それとも買ってくか?』
「そうしたいのはやまやまなんですけど俺今ダンジョンに来たばかりで見ての通り何も持ってないんです」
全裸なんだから一目瞭然だろう。
『なんだしけてんなぁ。だったらしばらくここにいてやるからアイテムでもみつけてこいよ』
「ありがとうございます」
ベアさんのご厚意に甘え一旦ベアさんと別れるとアイテム探しにフロアをねり歩く。
スラは俺の足元をぴょんぴょんとついてくる。
誤って踏んづけちゃいそうでちょっと怖い。
十五分ほどかけてフロアを歩き回った結果四つのアイテムを手に入れることが出来た。
すぐにベアさんのもとに持っていく。
『おお、戻ったかマツイ。これ全部買い取りでいいのか?」
「はい、お願いします」
俺がみつけたアイテムはたいまつと毒消し草と鉄のムチとうなりの木だった。
たいまつは魔眼があるから必要ないし毒消し草はキュアがあるからやはり必要ない。
攻撃力+7の鉄のムチは武器ではあるが俺には使いこなせそうにないのでいらないしうなりの木は持っているだけで生命力と魔力がじわじわ削られていく呪われたアイテムだからさっさと売り払いたい。
『千と二万と二千五百と二十で……二万三千五百二十円か。それでいいか?』
「はい、もちろんです」
俺はダンジョンに入ってわずか二十分足らずで二万三千五百二十円を手にした。
『よし、じゃあなんか買っていってくれ』
ベアさんが手を広げる。
俺はベアさんの足元に並べられた商品を見るが正直どれも高そうな物ばかり。
「これって……?」
『それは妖刀ししおどし。五万円だ』
「じゃあこっちのは?」
「マツイさんそれはアルティメットアーマーです。五十万円しますよ」
「五十万っ!?」
無理だ、買えるわけない。
「ベアさん、今の俺に買えそうな物でおすすめってありますか?」
『おすすめか? そうだなぁ……』
「あっ、マツイさん。目覚まし草が売ってますよっ」
ククリが声を上げた。
ククリの指差す先にはそこらへんに生えていそうな草が置いてあった。
目覚まし草。
食べると三日間眠くならないという学生時代なら試験前にぜひとも欲しかったアイテムだ。
だが今の俺には別の理由でぜひとも手に入れておきたいアイテムである。
『なんだ、目覚まし草なんかが欲しいのか? それなら三百円だぜ』
「買いますっ」
値段の安さもあって俺は一も二もなく手を上げた。
やったぞ。これでキマイラの催眠攻撃を封じることが出来る。
俺は目覚まし草を握り締めながら自然とほくそ笑んでいた。
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