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第116話 スラの特技
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「ククリ、これって……金塊だよな?」
「ん~、だと思いますけど」
俺とククリはスラが吐き出したものを見て目を丸くしていた。
今しがたスラに薬草を食べさせたはずが代わりにスラは俺たちの目の前で金塊を吐き出したのだ。
「スラ、これどういうことだ?」
妙にスッキリとした顔のスラに訊いてみる。
『ピキー?』
スラはぐにゅっと首らしき部分をひねった。
「自分でもよくわからないそうです」
スラの言葉を理解しているというククリが代弁する。
「いや、わからないって……自分で吐き出したのに?」
『ピキー』
「マツイさんマツイさん、もしかしてスラさんの新しい特技なんじゃないですかねぇ」
とんとんとククリが俺の肩を叩きながら言った。
「特技?」
「はい。スラさんのステータスをもう一度見てください」
「あ、ああ」
俺はククリに言われるがまま左目の下を軽く押してスラのステータス画面を目の前に浮かび上がらせる。
*************************************
スラ:レベル94
生命力:41/53
魔力:16/30
攻撃力:30
防御力:42
素早さ:78
特技:飲み込む、吐き出す、自爆
*************************************
「うーんと……飲み込む、吐き出すって特技があるけど」
「それですよ。スラさんは多分飲み込んだものを別の物質にして吐き出すことが出来るんじゃないでしょうか」
「マジか!?……どうなんだスラ?」
『ピキー?』
スラはよくわかっていないようだった。
「さっき薬草をあげましたよね。生命力は回復してますか?」
「……いや、回復してない。さっきと同じだ……ってあれ? スラの魔力がさっきより減ってる気がする」
確かさっきは残り魔力が26だったような……。
「あっ! わかりましたよマツイさん! スラさんは魔力を使って飲み込んだものを別のものに変えて吐き出せるんですよきっと!」
「そ、そうなのかスラ?」
俺とククリの視線を受け、
『ピ、ピキー?』
戸惑うスラ。
「でしたら今度は魔力草をあげてみてくださいよ、そうすればはっきりしますから。いいですかスラさん?」
『ピキー』
「やってみてって言ってます」
ククリとスラの間で話が進む。
「さあ、マツイさん」
『ピキー』
ふたりの熱視線を浴びつつ俺は魔力草をスラの口へと運んでいく。
大きく口を開けたスラに「じゃあ、いくぞ」と魔力草を与えてみた。
するとスラはごくんとそれを飲み込むともごもご口を動かしてから、
『……ピキー!』
と今度はひのきの棒を吐き出した。
カランカランと石畳の上に落ちて転がる。
「わあ! やっぱり別のものにして吐き出しましたよ。スラさんすごいです!」
『ピキー』
スラはむふーんと自慢げな顔をしてみせた。
「マツイさん、スラさんの魔力はどうなっていますか?」
確認するとスラの魔力は残り6になっていた。
「さっきより10減ってる」
「じゃあこの特技を使うには魔力を10消費するってことですね」
「そう……なるな」
まだよくわからないがおそらくはそれで合っているだろう。
「ってことはもう使えないってことか」
俺が言うと、
『ピキー』
スラはさっき吐き出したひのきの棒をばくっと口に含んだ。
もごもごさせてからペッと吐き出す。
カランカランとひのきの棒が石畳の上に落ちた。
「うん。やっぱり魔力が足りないと今の特技は使えないらしいな」
「そうみたいですね」
「それにしてもすごいぞスラ」
俺はスラを持ち上げた。
「こんなすごい特技が使えるようになるなんて偉いな~、お前は」
『ピキー!』
目を輝かせて喜ぶスラ。
だがスラ以上に俺の方が喜んでいるかもしれない。
なにせまったく役にたたず、なんなら足手まといくらいに思っていたスラにアイテムを変換できる能力があったのだから。
スラの最大魔力は30だから万全の状態ならば三回もその特技が使えるというわけだ。
「でもでもお腹が減ったらスラさんはどうするんですか? せっかく食べた薬草も魔力草も別のものに変えちゃうんですよね」
「それは大丈夫だよ。今のひのきの棒を見ればわかるだろ」
魔力が足りなければ物質変換することが出来ないのは今ので確認できた。
「もし今薬草があれば普通に食べられるはずさ」
残念ながらもう薬草も魔力草もないのであげることは出来ないが。
「そうですか。よかったですねスラさんっ」
『ピキー!』
こうして俺はスラのおかげで薬草と魔力草の代わりに金塊とひのきの棒を手に入れたのだった。
「ん~、だと思いますけど」
俺とククリはスラが吐き出したものを見て目を丸くしていた。
今しがたスラに薬草を食べさせたはずが代わりにスラは俺たちの目の前で金塊を吐き出したのだ。
「スラ、これどういうことだ?」
妙にスッキリとした顔のスラに訊いてみる。
『ピキー?』
スラはぐにゅっと首らしき部分をひねった。
「自分でもよくわからないそうです」
スラの言葉を理解しているというククリが代弁する。
「いや、わからないって……自分で吐き出したのに?」
『ピキー』
「マツイさんマツイさん、もしかしてスラさんの新しい特技なんじゃないですかねぇ」
とんとんとククリが俺の肩を叩きながら言った。
「特技?」
「はい。スラさんのステータスをもう一度見てください」
「あ、ああ」
俺はククリに言われるがまま左目の下を軽く押してスラのステータス画面を目の前に浮かび上がらせる。
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スラ:レベル94
生命力:41/53
魔力:16/30
攻撃力:30
防御力:42
素早さ:78
特技:飲み込む、吐き出す、自爆
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「うーんと……飲み込む、吐き出すって特技があるけど」
「それですよ。スラさんは多分飲み込んだものを別の物質にして吐き出すことが出来るんじゃないでしょうか」
「マジか!?……どうなんだスラ?」
『ピキー?』
スラはよくわかっていないようだった。
「さっき薬草をあげましたよね。生命力は回復してますか?」
「……いや、回復してない。さっきと同じだ……ってあれ? スラの魔力がさっきより減ってる気がする」
確かさっきは残り魔力が26だったような……。
「あっ! わかりましたよマツイさん! スラさんは魔力を使って飲み込んだものを別のものに変えて吐き出せるんですよきっと!」
「そ、そうなのかスラ?」
俺とククリの視線を受け、
『ピ、ピキー?』
戸惑うスラ。
「でしたら今度は魔力草をあげてみてくださいよ、そうすればはっきりしますから。いいですかスラさん?」
『ピキー』
「やってみてって言ってます」
ククリとスラの間で話が進む。
「さあ、マツイさん」
『ピキー』
ふたりの熱視線を浴びつつ俺は魔力草をスラの口へと運んでいく。
大きく口を開けたスラに「じゃあ、いくぞ」と魔力草を与えてみた。
するとスラはごくんとそれを飲み込むともごもご口を動かしてから、
『……ピキー!』
と今度はひのきの棒を吐き出した。
カランカランと石畳の上に落ちて転がる。
「わあ! やっぱり別のものにして吐き出しましたよ。スラさんすごいです!」
『ピキー』
スラはむふーんと自慢げな顔をしてみせた。
「マツイさん、スラさんの魔力はどうなっていますか?」
確認するとスラの魔力は残り6になっていた。
「さっきより10減ってる」
「じゃあこの特技を使うには魔力を10消費するってことですね」
「そう……なるな」
まだよくわからないがおそらくはそれで合っているだろう。
「ってことはもう使えないってことか」
俺が言うと、
『ピキー』
スラはさっき吐き出したひのきの棒をばくっと口に含んだ。
もごもごさせてからペッと吐き出す。
カランカランとひのきの棒が石畳の上に落ちた。
「うん。やっぱり魔力が足りないと今の特技は使えないらしいな」
「そうみたいですね」
「それにしてもすごいぞスラ」
俺はスラを持ち上げた。
「こんなすごい特技が使えるようになるなんて偉いな~、お前は」
『ピキー!』
目を輝かせて喜ぶスラ。
だがスラ以上に俺の方が喜んでいるかもしれない。
なにせまったく役にたたず、なんなら足手まといくらいに思っていたスラにアイテムを変換できる能力があったのだから。
スラの最大魔力は30だから万全の状態ならば三回もその特技が使えるというわけだ。
「でもでもお腹が減ったらスラさんはどうするんですか? せっかく食べた薬草も魔力草も別のものに変えちゃうんですよね」
「それは大丈夫だよ。今のひのきの棒を見ればわかるだろ」
魔力が足りなければ物質変換することが出来ないのは今ので確認できた。
「もし今薬草があれば普通に食べられるはずさ」
残念ながらもう薬草も魔力草もないのであげることは出来ないが。
「そうですか。よかったですねスラさんっ」
『ピキー!』
こうして俺はスラのおかげで薬草と魔力草の代わりに金塊とひのきの棒を手に入れたのだった。
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