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第129話 グリュプス
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地下十一階層。
階段を下りると早速グリュプスが待ち構えていた。
ククリの言う通りライオンの体にワシの頭と翼が生えたような凛々しい姿のそのモンスターは俺を見るなり、
『ケケーッ!』
と飛び掛かってきた。
速い!
だが俺はとっさに妖刀ししおどしでガードする。
グリュプスのかぎ爪を刀で防ぎながら力でこれを押し返すと同時に前足のそこの部分を斬りつけてやった。
『ケケーッ!』
妖刀ししおどしの効果で手足が麻痺して動けなくなったグリュプスだが翼だけを器用に動かしなおも向かってくる。
「ぐぁっ……」
俺はグリュプスの突進をもろにくらってしまった。
後ろにふっ飛ばされる。
手足が動かないことをものともせずグリュプスは体勢を崩している俺に追撃のタックルを浴びせようとしてきた。
目の前まで迫ってくるグリュプス。
避けられないっ。
その時だった。
『ピキー!』
俺がやられそうなのを見かねてかスラが横からグリュプスに体当たりをかました。
しかしスラの攻撃力ではたとえ不意打ちといえどグリュプスに決定的なダメージを与えることはかなわず、それどころか攻撃を仕掛けたスラの方がはね飛ばされてしまった。
一緒に俺もはね飛ばされる。
地面を転がるもすぐに立ち上がった俺は、
「スラっ、大丈夫かっ」
スラの行方を確認した。
『ピ、ピキー……』
声のした方を見るとスラがよろめいている。
すると不意打ちをくらい頭に来たのかグリュプスが攻撃対象をスラに変更した。
スラめがけて一直線に飛んでいくグリュプス。
まずいっ。
「バトルウインドっ!」
俺はすかさず手を前に出しグリュプスに向けて風の刃を放った。
ザシュッ。
スラに襲い掛かろうとしていたグリュプスがスラの目の前で真っ二つに割れた。
返り血が空中で霧散していく。
「ふぅ……間に合った」
「マツイさん、スラさんに回復魔法を早くっ」
「お、おうっ」
俺はスラに駆け寄ると「ハイヒール!」と唱えた。
これによりスラは生命力を全回復させたがその代わりに俺の魔力はきっかり0になってしまった。
「スラ、むちゃするなよな。ヒヤッとしたぞ」
「そうですよ。マツイさんのバトルウインドがもう少し遅かったら結構危なかったですよ」
『ピキー』
申し訳なさそうに上目遣いで俺を見てくるスラ。
「ククリ、なんだって?」
スラの言葉は理解できないので俺はククリにスラの通訳をしてもらう。
「マツイさんが危ないと思ったら体が動いていたそうです」
「まったく……その気持ちは嬉しいけどもう二度とするなよ、スラ。俺は自分の体よりお前の方が心配なんだからな」
俺とスラはレベルこそ同じだが強さが全然違う。
俺がかなわないような相手にはどのみちスラがかなうはずはない。
さっきのような場面でもしスラが死んでしまったらそれこそ犬死にになってしまう。
『ピキー!!』
だがそんなことおそらくわかっていないスラは何を思ったのか俺の頭に飛び乗るとぴょんぴょんと俺の頭の上で飛び跳ねだした。
「……おーい、何してるんだスラ?」
『ピキー! ピキー!』
「俺の頭はトランポリンじゃないぞ」
『ピキー!』
仕方がないのでククリに目を向けると、
「マツイさん、大好きー! って言ってますよ」
ククリはジェスチャー付きで体をくねらせながらスラの言葉を代弁してくれた。
「あー、そうなんだ。スラありがとうな、じゃあわかったからそろそろ下りてくれ」
『ピキー』
スラは俺の頭の上がえらく気に入ったようでなかなか下りてくれようとはせず結局最終的には俺が無理矢理引きはがした。
階段を下りると早速グリュプスが待ち構えていた。
ククリの言う通りライオンの体にワシの頭と翼が生えたような凛々しい姿のそのモンスターは俺を見るなり、
『ケケーッ!』
と飛び掛かってきた。
速い!
だが俺はとっさに妖刀ししおどしでガードする。
グリュプスのかぎ爪を刀で防ぎながら力でこれを押し返すと同時に前足のそこの部分を斬りつけてやった。
『ケケーッ!』
妖刀ししおどしの効果で手足が麻痺して動けなくなったグリュプスだが翼だけを器用に動かしなおも向かってくる。
「ぐぁっ……」
俺はグリュプスの突進をもろにくらってしまった。
後ろにふっ飛ばされる。
手足が動かないことをものともせずグリュプスは体勢を崩している俺に追撃のタックルを浴びせようとしてきた。
目の前まで迫ってくるグリュプス。
避けられないっ。
その時だった。
『ピキー!』
俺がやられそうなのを見かねてかスラが横からグリュプスに体当たりをかました。
しかしスラの攻撃力ではたとえ不意打ちといえどグリュプスに決定的なダメージを与えることはかなわず、それどころか攻撃を仕掛けたスラの方がはね飛ばされてしまった。
一緒に俺もはね飛ばされる。
地面を転がるもすぐに立ち上がった俺は、
「スラっ、大丈夫かっ」
スラの行方を確認した。
『ピ、ピキー……』
声のした方を見るとスラがよろめいている。
すると不意打ちをくらい頭に来たのかグリュプスが攻撃対象をスラに変更した。
スラめがけて一直線に飛んでいくグリュプス。
まずいっ。
「バトルウインドっ!」
俺はすかさず手を前に出しグリュプスに向けて風の刃を放った。
ザシュッ。
スラに襲い掛かろうとしていたグリュプスがスラの目の前で真っ二つに割れた。
返り血が空中で霧散していく。
「ふぅ……間に合った」
「マツイさん、スラさんに回復魔法を早くっ」
「お、おうっ」
俺はスラに駆け寄ると「ハイヒール!」と唱えた。
これによりスラは生命力を全回復させたがその代わりに俺の魔力はきっかり0になってしまった。
「スラ、むちゃするなよな。ヒヤッとしたぞ」
「そうですよ。マツイさんのバトルウインドがもう少し遅かったら結構危なかったですよ」
『ピキー』
申し訳なさそうに上目遣いで俺を見てくるスラ。
「ククリ、なんだって?」
スラの言葉は理解できないので俺はククリにスラの通訳をしてもらう。
「マツイさんが危ないと思ったら体が動いていたそうです」
「まったく……その気持ちは嬉しいけどもう二度とするなよ、スラ。俺は自分の体よりお前の方が心配なんだからな」
俺とスラはレベルこそ同じだが強さが全然違う。
俺がかなわないような相手にはどのみちスラがかなうはずはない。
さっきのような場面でもしスラが死んでしまったらそれこそ犬死にになってしまう。
『ピキー!!』
だがそんなことおそらくわかっていないスラは何を思ったのか俺の頭に飛び乗るとぴょんぴょんと俺の頭の上で飛び跳ねだした。
「……おーい、何してるんだスラ?」
『ピキー! ピキー!』
「俺の頭はトランポリンじゃないぞ」
『ピキー!』
仕方がないのでククリに目を向けると、
「マツイさん、大好きー! って言ってますよ」
ククリはジェスチャー付きで体をくねらせながらスラの言葉を代弁してくれた。
「あー、そうなんだ。スラありがとうな、じゃあわかったからそろそろ下りてくれ」
『ピキー』
スラは俺の頭の上がえらく気に入ったようでなかなか下りてくれようとはせず結局最終的には俺が無理矢理引きはがした。
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