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第141話 トロール
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地下十二階層に下り立った俺が目にしたものは丸々と太った不細工なモンスターだった。
布切れを身に纏い手には金属で出来たこんぼうのようなハンマーのような武器を持っている。
体重はかなりありそうで、どすんどすんと地面を揺らしながら俺の方に向かってくる。
「ククリ、こいつ敵だよな?」
モンスターに目を向けながらククリに訊ねると、
「はい、トロールといいます。素早さは全然ですけど攻撃力はかなりあるので攻撃は受けないようにしてください」
ククリの声が頭の後ろから返ってきた。
トロールがこんぼうを振り上げた。
俺はさっと横にかわす。
がトロールは構わずそのまま石畳に向かってこんぼうを振り下ろした。
ドガッ!
石畳が粉々に砕ける。
「なるほど、確かにパワーはありそうだな」
言うなり俺は横からトロールの腹を斬りつけた。
分厚い脂肪で守られていて致命傷には至らなかったが妖刀ししおどしの効果で手足の動きを封じることに成功する。
俺は今度は背後に回り込むとトロールの心臓付近を狙って刀を突き刺した。
『グゲッ……!』
これが決定打となり刀が刺さったままトロールは泡状になって消滅した。
「ふぅ……なんか地下十二階層の割にはあまり強いモンスターじゃなかったな」
「いえ、そんなことはないですよ。トロールの攻撃力は150でこれまでのどのモンスターよりも強いはずですから。ただマツイさんはそれ以上に強くなっているということですよ」
「へー、俺ってそんなに強くなっているのか」
まあ、斬りつけただけで相手の四肢を麻痺させる妖刀ししおどしを持っているということもかなり有利に働いているのだろうが。
『ピキー』
足元にやってきたスラが俺を見上げる。
「ん、アイテムだったな。わかってるよ」
スラが空腹のようなので俺はさっさと宝箱を探すことにした。
宝箱を探しながらフロアを歩き回る俺たち。
時折りトロールと対面したがトロールは俺の敵ではなかった。
相手の攻撃を完璧に避けつつ危なげなく勝つことが出来た。
不意打ちや囲まれたりしない限りはトロールにダメージを与えられる心配はなさそうだ。
「あっ、宝箱ですっ」
ククリが声を上げる。
だが、見ると宝箱の前にはトロールがまるで宝箱を守るようにして四体もいる。
「一対四か……」
俺はトロールたちに近付くと一体ずつ誘い出そうとするがトロールたちはこんぼうを構えたまま目線だけは俺を追うものの一切動こうとはしない。
なんだ?
本当に宝箱を守っているんじゃないだろうな。
いくら動きがのろいとはいっても一対四では戦いたくない。
とはいえみすみす宝箱を見逃すのも惜しい。
どうするかな?
俺は少し考えてから皮の袋の中に手を突っ込み黒曜の玉を取り出した。
黒曜の玉は投げ当てると相手を混乱させることが出来るアイテムだ。
俺は確実に当たる距離まで近寄ると一体のトロールに黒曜の玉を投げつけた。
ぼふん。
黒曜の玉が割れた衝撃で中から黒い煙が出てきてトロールを包み込む。
そして煙が晴れると混乱したトロールが近くにいた別のトロールの頭にこんぼうを振り下ろした。
『グゲッ!?』
『グゲ!?』
仲間のトロールに脳天を打ち抜かれ倒れ込むトロールを見て面食らっているほかの二体のトロールたち。
混乱したトロールはなおもふらふらっと仲間のトロールに向けてこんぼうを振り回す。
俺は足並みの乱れたトロールたちの後ろに回るとトロールたちの首の高さで横に刀を振り抜いた。
ザシュ、ザシュッ!
トロール二体を始末すると混乱してよろめいている最後の一体にとどめの一太刀を浴びせる。
大の字になり後ろに倒れ込むトロール。
どすーんと大きく地面が揺れる。
四体のトロールはすべて消滅して消え去った。
布切れを身に纏い手には金属で出来たこんぼうのようなハンマーのような武器を持っている。
体重はかなりありそうで、どすんどすんと地面を揺らしながら俺の方に向かってくる。
「ククリ、こいつ敵だよな?」
モンスターに目を向けながらククリに訊ねると、
「はい、トロールといいます。素早さは全然ですけど攻撃力はかなりあるので攻撃は受けないようにしてください」
ククリの声が頭の後ろから返ってきた。
トロールがこんぼうを振り上げた。
俺はさっと横にかわす。
がトロールは構わずそのまま石畳に向かってこんぼうを振り下ろした。
ドガッ!
石畳が粉々に砕ける。
「なるほど、確かにパワーはありそうだな」
言うなり俺は横からトロールの腹を斬りつけた。
分厚い脂肪で守られていて致命傷には至らなかったが妖刀ししおどしの効果で手足の動きを封じることに成功する。
俺は今度は背後に回り込むとトロールの心臓付近を狙って刀を突き刺した。
『グゲッ……!』
これが決定打となり刀が刺さったままトロールは泡状になって消滅した。
「ふぅ……なんか地下十二階層の割にはあまり強いモンスターじゃなかったな」
「いえ、そんなことはないですよ。トロールの攻撃力は150でこれまでのどのモンスターよりも強いはずですから。ただマツイさんはそれ以上に強くなっているということですよ」
「へー、俺ってそんなに強くなっているのか」
まあ、斬りつけただけで相手の四肢を麻痺させる妖刀ししおどしを持っているということもかなり有利に働いているのだろうが。
『ピキー』
足元にやってきたスラが俺を見上げる。
「ん、アイテムだったな。わかってるよ」
スラが空腹のようなので俺はさっさと宝箱を探すことにした。
宝箱を探しながらフロアを歩き回る俺たち。
時折りトロールと対面したがトロールは俺の敵ではなかった。
相手の攻撃を完璧に避けつつ危なげなく勝つことが出来た。
不意打ちや囲まれたりしない限りはトロールにダメージを与えられる心配はなさそうだ。
「あっ、宝箱ですっ」
ククリが声を上げる。
だが、見ると宝箱の前にはトロールがまるで宝箱を守るようにして四体もいる。
「一対四か……」
俺はトロールたちに近付くと一体ずつ誘い出そうとするがトロールたちはこんぼうを構えたまま目線だけは俺を追うものの一切動こうとはしない。
なんだ?
本当に宝箱を守っているんじゃないだろうな。
いくら動きがのろいとはいっても一対四では戦いたくない。
とはいえみすみす宝箱を見逃すのも惜しい。
どうするかな?
俺は少し考えてから皮の袋の中に手を突っ込み黒曜の玉を取り出した。
黒曜の玉は投げ当てると相手を混乱させることが出来るアイテムだ。
俺は確実に当たる距離まで近寄ると一体のトロールに黒曜の玉を投げつけた。
ぼふん。
黒曜の玉が割れた衝撃で中から黒い煙が出てきてトロールを包み込む。
そして煙が晴れると混乱したトロールが近くにいた別のトロールの頭にこんぼうを振り下ろした。
『グゲッ!?』
『グゲ!?』
仲間のトロールに脳天を打ち抜かれ倒れ込むトロールを見て面食らっているほかの二体のトロールたち。
混乱したトロールはなおもふらふらっと仲間のトロールに向けてこんぼうを振り回す。
俺は足並みの乱れたトロールたちの後ろに回るとトロールたちの首の高さで横に刀を振り抜いた。
ザシュ、ザシュッ!
トロール二体を始末すると混乱してよろめいている最後の一体にとどめの一太刀を浴びせる。
大の字になり後ろに倒れ込むトロール。
どすーんと大きく地面が揺れる。
四体のトロールはすべて消滅して消え去った。
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