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第186話 メドゥーサコレクター

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適当な場所に陣取ると俺はにおい袋の口を開く。

「スラ、メドゥーサがたくさんやってくるからな。絶対に目を見るなよ」
『言われなくてもわかってるってば、心配性だなマツイさんは』

スラに念を押してから俺は正面を向いた。
正面の通路からメドューサがわんさと押し寄せてくる。

俺もメドゥーサと目を合わせないように足元に視線を落とすとメドゥーサの群れを迎え撃った。


『シャー!』
『シャー!』
『シャー!』

向かってくるメドゥーサたちの胴体を剣を振り抜き切断していく。


一時間が経ち、二時間が経つもにおい袋から出るにおいにつられてメドゥーサたちはひっきりなしに現れる。

とその時ククリが大声を上げた。

「あっ、マツイさんっ、スラさんが石になってますっ!」
「なにっ!?」

俺はメドゥーサの相手をしつつ後ろを振り向いた。
するとスラが目と口を開いたまま石化していた。

「何やってんだよスラの奴っ」
「多分好奇心をおさえられずにメドゥーサの目を見ちゃったんでしょうね」
とククリ。

「まったく……いっそのこと石のままにしておこうか。そうすりゃ腹が減ったとか言わないだろうし」
「でも石のまま万が一壊れちゃったら死んじゃいますからね」
「うーん、仕方ないなもう……ハイキュア!」

俺はスラに向かって手を下ろし状態異常回復魔法を唱えた。
消費魔力40とかなり魔力を消耗するがミラクルアーマーのおかげで消費魔力は20と半分で済む。

ピンク色の光に包まれるスラ。
そして次の瞬間、
『うわヤッバ、マツイさんマジごめんっ。ついメドゥーサの目見ちゃったよ』
スラの石化が解けた。

「気をつけろって言ったろ」
言いながらメドゥーサを一刀両断。

『ちょっとちらっと見るつもりだっただけだし。そしたら運悪く向こうもちょうどこっち見てたんだってば』
「俺もう魔力7しか残ってないからな。次石化してもほっとくぞ」
メドゥーサを斬りつける。

『はーい。もう見ないよー』

ククリに持たせているカエルの涙は万が一の時のために取っておきたいんだ。



それから何時間、いや何十時間が経っただろうか――

ザシュッ。

メドゥーサの首をはね飛ばした時だった。

【メドゥーサコレクターを取得しました】

俺はメドゥーサを千体倒しきった。
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