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第190話 妖刀みつごろし

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地下十五階層。

真っ白い体毛を生やしたイエティが口から吹雪を吐いてくる。

俺は腕を前に出しつつ吹雪に逆らって進んでいく。

「さみ~っ……このやろっ」

ザシュッ。

イエティの首をはねてやった。
ごろんごろんと転がって消滅する。

「ふ~寒かった~……おい、ククリ。イエティがこんな特技を使うなんて聞いてなかったぞ」

通路の陰に隠れていたククリとスラがひょいと顔を出す。

「えへへ~、すいません。でもでもマツイさんは寒熱耐性のスキルがあるから寒いと感じるくらいで済んでいるじゃないですか。あの特技ほんとは相手を氷漬けにしちゃうんですよ」
とククリは言う。

「そうなのか? うーん、だったら寒熱耐性さまさまだな」
スキルの種を食べておいて正解だったということか。

「でしょう。私に土下座して感謝したくなったでしょう」
「いや、土下座はしないけどさ」
「むぅ……」
ほっぺたを膨らませるククリ。

『マツイさんさっきの特技が効かないならこの階層ちょー余裕じゃんっ』
「まあそうだな。じゃあさっさとアイテムみつけるか」
「はーい」
『オッケー』


イエティの吹雪攻撃を我慢しながら俺はイエティに近付いていき剣を振るう。

「未確認生物のくせにいっぱいいるなぁ」

後ろにいたもう一体も葬り去る。

「未確認生物研究家がいたら泣いて喜ぶだろうに」

横の通路から飛び出してきたイエティも一撃で返り討ちにした。

「あっ、マツイさん。宝箱ですよっ」
「あ、本当だ」

部屋に入ると奥の方に宝箱があるのが目に入った。
寄っていってこれに手を伸ばす。

『中身なーに?』
俺は透視をしながらスラに答える。
「武器みたいだ。多分刀だな」

宝箱を開けると、
「わあ、マツイさん。これは攻撃力+10の妖刀みつごろしという刀ですよっ」
ククリが嬉しそうに宙を舞った。

「妖刀ってことは何か特殊な効果があるんだよな?」
「はい。この刀でモンスターを倒すと三体分倒したことになるんです」
「ふんふん、つまり……」
「つまりこれでイエティを倒すとイエティ三体分の経験値がもらえるんですよ」
「おお、すごいじゃないか」

あれ? ってことはもしかして……。
「コレクターのスキルもこの刀を使えば早く取得できたりするのか?」
「はい。マツイさんの言う通りですっ」

マジかよ、おい。
ってことは三百三十四体倒せばいいってことじゃないか。
コレクター取得がずっと楽になるぞ。

『でもマツイさんは今黒極の剣を使ってるじゃん。どうすんの?』
スラが見上げてくる。

「そりゃあもちろん今手に入れたこっちを使うさ」

攻撃力は劣るがこの刀の効果は絶大だ。
俺は黒極の剣を異次元袋の中にしまうと妖刀みつごろしを右手に持ち直した。
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