不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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剣鬼 闘技祭準備編

王妃

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『挨拶か……わざわざそこまで気を遣わんでもいいぞ』
『いえいえ、ヨツバ王国の方々には色々とお世話になっていますから』
『ほら、お前達もちゃんと挨拶しなさい』
『シオンと申します……です』
『り、リアナです……』
『すまないなデブリ国王、ナオと違ってこの二人はどうにも人見知りで……』
『ははは、気にするな。子供に手を焼かされるのも親の務めだ』


精霊から聞こえてくる声の中にはレナの義理の姉に当たる二人の女性の声が聞こえ、年齢的には彼よりも年上のはずだが、幼さを感じ取れる声音だった。


『久しぶりだねシオンちゃん!!リアナちゃん!!私の事を覚えてる?』
『覚えています……です』
『てぃ、ティナ姫様もお久しぶりです』
『もう~ティナでいいよ』
『こら、ティナ。父上が大事な話をしているだろう?』
『あ、ごめんなさいっ!!』
『ははは、気にしないで下され。ほら、お前達も久しぶりにティナ王女と話したいだろう?デブリ国王よ、この際に子供達は別の部屋に移動させてはどうだ?その方が娘達も安心するだろう』
『むっ……まあ、別に構わんが』


ヨツバ王国の姫であるティナはナオ以外の王女とも面識があるらしく、バルトロス国王は自分の子供達を別室に移動させる事を提案する。デブリ国王は一瞬だけ悩んだようだが、彼の提案を受け入れて子供達を部屋の外へ退室させた。


『……さて、これで子供達に話が聞こえる事はない。そろそろ本題に入ろうではないか』
『本題?』
『惚けるな、今回の訪問の理由を教えろ。わざわざ挨拶だけのためにお主等が訪れるはずがあるまい』
『うふふっ……察しが良いですね』


デブリ国王の言葉に王妃が返事をすると、レナは彼女の声音が変化した事に気付き、無意識に冷や汗を流す。声を耳にしているだけで不安を煽り、精霊越しに聞こえてくるデブリ国王の声も緊張感が滲む。


『話をする前にお願いがあるのですが、周囲に取り囲んでいる騎士の方々も退室を願えないでしょうか?』
『我々が邪魔だと?』
『そういう訳ではありませんが、夫以外の男性の方にそこまで熱心に視線を向けられると照れてしまいます』
『……これは失礼』


不機嫌そうなアカイの言葉が響き渡り、デブリ国王も流石に王妃の申し出は受け入れられない。得体の知れない相手を前にして自分を護衛する立場の人間を退室させるはずがなく、王妃もそれは理解していたのかあっさりと折れる。


『仕方ありませんね。それではこのまま話を進めましょう。よろしいですね貴方?』
『うむ……』
『……それで儂に何の用事かな?』


王妃の言葉にバルトロス国王は覇気のない声で返事を行い、その光景に恐らくは内心呆れているはずのデブリ国王が再度尋ねる。恐らくはあまりにも情けないバルトロス国王の姿に色々と思う所はあるのだろうが、王妃の話が重要だと判断し、話を伺う。


『では国王様にお尋ねしたいことがあります』
『わ、私の事か?』
『貴方は黙っていてください。そういう冗談は嫌いですよ?』
『す、すまぬ……』
『……尻に敷かれておるようじゃな』


国王という言葉にバルトロスが慌てて反応するが、それを冷めた声で王妃が注意すると、彼は落ち込んだように謝罪する。その後にデブリ国王の呆れを通りこして憐れみを抱いた声が掛けられるが、王妃は気にせずに話を続ける。


『ヨツバ王国の方々にお尋ねしたいことがあります』
『訪ねたいこと……それは?』
『実は先ほど、奇妙な噂を耳にしたのです。それは貴方の所にナオ王女がついさっき訪れたとの事ですが……本当ですか?』
『何?ナオが……?』


ナオの単語が出てきたことにレナとエリナは顔を見合わせ、まさかこれほど早い段階にナオが宿屋に訪れたことが気付かれたのかと焦り、危うく声を上げそうになった。しかし、重要な会話なので聞き漏らさないようにレナは口を抑え、耳を澄ませる。


『はて……確かにナオ王女がこの宿屋に訪れたのは間違いない。彼女はこの都市に在中しているようだからな、只の挨拶に訪れただけじゃよ』
『おお、そういう事か』
『静かに……私に二度も同じことを言わせないで下さい』
『…………』


デブリ国王の適当な言い訳に国王は納得しかけたが、即座に王妃が黙らせる。それだけで二人の力関係がよく伺え、レナは父親の情けなさに無意識に頭を抑えた。


(こんな人が父親なのか……俺、この人に本当に殺されそうになったんだよな?)


今まで自分が抱いていた父親像と掛け離れた人物だった事にレナは溜息を吐き出し、ここまで王妃の言いなりになっているとは思わなかった。


(だけどこの王妃も大胆な奴だな。普通、別の国の王様相手に自分の夫をここまで蔑ろに扱うなんて……それほど自分の権力を誇示しているのか?)


だが、王妃の行動にもレナは疑問を抱き、彼女の行動自体が実は考えられていて他国の人間に自分が国王よりも権力を持っている事を知らしめているのではないかと考える。



※今日は作者の誕生日です!!確か今年で62才だったかのう……(´ω`)なのでここから先はキャラの小ネタ集です。


カタナヅキ「誕生日だぁああああっ(*´ω`*)イヤッフウウウウ(狂喜乱舞)」
レナ(本作の主人公)「おめでとう」
ルノ(最弱職の主人公)「おめでとうございます」
レア(文字変換の主人公)「おめでとさん」
アイリス(ナビゲーター天使)「()の説明文が多くありません?」

カタナヅキ「まあ、本当は誕生日企画として各主人公の話を描くつもりでしたが、年を取るとどうしても腰が痛くてのう……(ノД`)スイマセン」
レナ「まだ20代だろお前」
ルノ「マッサージしてあげますよ(レベル90越えの身体能力で指圧)」
カタナヅキ「ぎゃああああっ!?( ゚Д゚)ホネガアアアアッ!!」

アイリス「ほら、回復させてあげますから起きなさい」
カタナヅキ「危うく死にかけた……ルノ君は手加減を覚えた方が良いよ」
ルノ「(´ω`)ゴメンナサイ」
カタナヅキ「さて、それでは少し真面目な話をします」



――ネタを挟みましたが、ここから各物語の展開を話します。最も特筆すべきなのは不遇職ぐらいですが……まずは文字変換の物語は偶数日更新に切り替わります。2の数字で割り切れる日が投稿日となります。最弱職は今まで通りに毎日投稿します。不遇職の方も同じように投稿します。


文字変換の物語のリメイクでは付与魔法の設定を無くし、能力の制限をなくしました。こちらの方が面白いと判断しました。最弱職はルノ無双を維持しています。もう作者でも彼が苦戦する相手を描けるのか分かりません(ルノ君が強すぎる……(;´・ω・)ムテキ?)。不遇職も大分物語が進み、遂に王妃も出てきました。ここからは闘技祭を中心に主人公側と王妃の勢力が争います。


最後に「最強の職業は付与魔術師かもしれない」に関してです。申し訳ありませんが、第二部の投稿は不可能です。流石に4つの作品の同時投稿は出来ませんし、もう付与魔術師の物語の主要キャラクターも他作品に出現させています(スライムとか骨とか……)。ですが、付与魔法の新しい戦法なども考えています。なのでリメイクや続編を描くのではなく、現在投稿している作品のどれかに付与魔法の設定を組み込みたいと考えています(第一部の終了後、第二部から主人公の能力を付与魔法に変更するような感じです)。



カタナヅキ「真面目な話は終わりです。ここで特別ゲストの種族統合の主人公のレノ君です」
レノ「どうも。久しぶりの登場です」
レナ「あ、先輩だ!!」
レア「先輩!!肩を揉みましょうか!?」
ルノ「レから始まる名前ばっかりで誰が誰だが分かりにくい……」
アイリス「貴方もラ行の主人公ですけどね」


カタナヅキ「種族統合の物語は作者が最初に描いたファンタジーです。本当は最もリメイクしたい作品なんですが、時間がない……(ノД`)・゜・。」
レノ「何気に全ての物語の中で完結している作品です」
レナ「俺とレア君の名前はレノさんを意識して名付けられてます」
レア「そのせいで混乱する方もいるかもしれませんが、申し訳ない」
ルノ「誰が誰だか分からない!!」


ナオ「どうも、貧弱職のナオで~す」
カタナヅキ「なんか出てきた」
ルノ「ちなみに四作品の主人公は全員が従弟です。兄弟ではないです」
アイリス「ちなみに私と似たような性格のイリスさんとリーリスさんは先祖と子孫です。時系列的にイリスさんが先祖になります」
イリス「マジですか」
リーリス「驚愕の新事実」


カタナヅキ「ちなみにレナ、ルノ、レア、ナオの四作品は同じ世界観ですが、時系列が違います。順番的には文字変換、最弱職(貧弱職)、不遇職の順番です。文字変換のレアは歴史上で2番目に召喚された勇者になります」
レナ「最強の職業は付与魔術師かも知れないは?」
カタナヅキ「あれは別の世界線という話でお願いします(・ω・)」


カタナヅキ「大分長くなりましたが、これで報告すべきことは全て書きました。これからもどうか各作品をお楽しみください  OTZ」
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