不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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剣鬼 闘技祭準備編

エリナの忠告

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「それはそうとエリナは俺に何の用があったの?」
「あ、そうでした!!大変な事になってるんですよ!!今、とんでもない人物がこの宿に訪れています!!」
「とんでもない人物?」


彼女の慌てようからレナは誰が訪れたのか不思議に思うが、最初に思いついたのはマリアである。レナ達を心配して彼女が訪れたのかと尋ねようとしたが、先にエリナが答えた。


「王様っす!!あの王様が来たんですよ!!」
「王様って……」
「兄貴のお父さんが来たんですよ!!」
「……嘘?」


エリナの言葉にレナは目を見開き、まさかバルトロス国王がこの宿に訪れたという言葉に動揺を隠せない。唐突に宿に訪れた国王は現在はデブリ国王と話し込んでいるらしく、レナが戻ってくる前にエリナ注意しに戻ってきたという。


「王女様もあのおっぱいの小さい護衛の人も今は別室で待機させているっす!!兄貴もしばらくはここに隠れて下さい!!」
「お前、シズネに殺されるぞ……でも、なんで親父がここに来たんだ?」
「王妃様も一緒らしいです。なんでも挨拶に訪れたとか……」
「闘技祭か」


闘技祭に王族が訪れる事は世間にも報告しており、どうやら大会前に訪れたヨツバ王国の一行の元に顔を出したらしい。しかし、ヨツバ王国が氷雨のギルドと協力し、ナオを王位を継承するための助力を約束した直後に国王と王妃が訪れた事になり、非常に怪しい。


「もしかして俺達の事もバレてるんじゃないの?」
「それは分からないですけど、別に会話自体は普通でしたよ。闘技祭の時は共に観戦しようと話し合っただけですから。あ、でも……二人の子供も来ていますよ」
「子供?もしかして第二王子!?」


子供という言葉に弟の第二王子も共に訪れたのかとレナは驚くが、エリナは首を振る。


「いえ、王子じゃなくて王女の二人です。ナオさんの双子の妹さんもきてますよ」
「王女!?あ、そういえば……」


ナオには二人の妹が居る事を思い出し、どちらもレナの義姉に当たる人物だが、レナは顔を合わせた事もない。だが、二人の妹はアイラを預かっている貴族が面倒を見ていると聞いていたが、どうしてこの場に居るのか疑問を抱く。


「その双子の様子はどうだった?」
「あんまり元気はなさそうでしたけど、別に変わったところはなかったですよ。それと大将軍の1人も訪れているようです」
「大将軍まで?」


王国に3人しか存在しない大将軍も訪れているという言葉にレナは疑問を抱き、王族の護衛のために連れてきたのかと考えるが、重要な役職を任されている大将軍をわざわざ護衛のためだけに連れてくる事に違和感を抱く。別にそれほどおかしな話ではないが、只の護衛ならば他にも幾らでもいるはずである。


「ちょっと気になるな……今は何の話をしている?」
「別に他愛のない話をしてますよ。兄貴も聞いてみますか?」
「え?どうやって?」
「ちょっと待ってくださいね……準備しますから」


エリナはそういうと窓の方向に向かい、レナを手招きする。まさか忍者のように壁を伝って聞き耳を立てるつもりなのかと思ったが、彼女は窓を開いて身体を乗り出し、国王達が会話している部屋を確認した。ちなみに現在二人が居る部屋は1階の右隅、国王達の部屋は3階の左隅に存在する。壁をよじ登れば会話を聞き出す事も出来るかも知れないが、流石に外の人間に気付かれるだろう。


「よし、窓は開いたままです。実はさっき、抜け出す時に窓の1つを開けておいていたんですよ」
「まさか窓から声を盗み聞きするの?いくら何でもそれは……」
「大丈夫ですよ。精霊さんに協力して貰って風の力で部屋の中を会話をここまで届けてもらうんです」


人間であるレナは聴力が特段に優れているわけではなく(一般人よりは優れてはいるが)、窓が開いているからと言っても階層も違う部屋の話を正確に聞き取る事が出来るはずがない。しかし、エリナが両手を差し出すと彼女の手元に先ほどの球体が近寄り、そのまま3階の部屋の窓まで移動する。そして球体が分離して二つに分かれると片方は国王の部屋の中に入り、もう片方はエリナの元に戻ってきた。


「これで大丈夫っす。ほら、聞こえてきました」
「あ、本当だ」
『それではバルトロス王よ。今日は本当に挨拶に来ただけなのか?』
『うむ……妻が久しぶりにお主の顔を見たいと言ってな』
『御迷惑でしたか?』


球体にエリナが耳をかざすと、確かに別室のデブリ国王達の声が聞こえ、精霊の力を借りて部屋の中の会話を聞き取る。レナは彼女の精霊魔法に感心しながらも、約十数年ぶりに聞こえてくる父親の声を聞いて不思議な感覚を味わう。


(これがこの世界の俺の父親か……なんか、変な気分だな)


父親に関してはレナは複雑な感情を抱いており、別に赤ん坊の自分を王家から追放された事に関して恨みを抱いているわけでもない。酷い父親とは思ってはいるが、アイリスの話では父親の判断は国王としては間違いとは言い切れず、仮にレナが王都に残り続けたとしたら厳しい人生を送っていただろう。

最も母親を追放し、自分を殺そうとした相手に愛情を抱けるはずがなく、レナにとってはこの世界の父親は別に敬愛の対象ではない事に変わりはない。憎んでいるわけでもないが尊敬できるわけもなく、強いて言えばもう二度と関わりたくはない人物である。
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