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放浪編
砂鮫
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『シャオオオッ!!』
「フカヒレにしてやる!!」
氷装剣を装備したレナは地面から飛び出してきた砂鮫に対して剣を振り払おうとしたが、寸前で危機を感じ取ったのか砂鮫は空中で身体を回転させて尻尾の部分を放つ。
『シャオオッ!!』
「兜くだ……うわっ!?」
放たれた尻尾に氷装剣が衝突した瞬間、金属音が響いて弾かれてしまう。砂鮫はそのまま地面に潜り込み、体勢を崩したレナは慌てて立ち上がるが、既に砂鮫は砂中の中に完全に隠れてしまう。
(しまった……久々に使ったから刀身に振動を送るのを忘れていた)
刀身に振動を加えた状態ならば尻尾に弾かれる事もなく切り裂けたかもしれないが、今更後悔しても遅く、砂鮫はレナを標的と定めたのか円を描くように移動を行う。その様子を囚人達は遠巻きに見つめ、次にレナがどのように行動するのかを見つめる。
(どうする?外見は生き物というよりはゴーレムやガーゴイルに近そうな魔物だな……となると火属性の魔法は相性が悪いかもしれない。外側の皮膚もかなり固いな……何の装備もない状態で戦うのはきつい相手だな)
退魔刀や反鏡剣、あるいは紅蓮が存在すればどうという事はない敵なのだが、弱音を吐いても仕方がないのでレナは今度は両手に氷装剣を発動させて長剣を生み出す。その様子を見ていた囚人は驚きの声を上げた。
「何だあいつ……どこからあんな武器を取り出したんだ?」
「おい、よく見ろ……あれは氷で出来ているんじゃないか?魔法剣という奴か?」
「馬鹿、魔法剣は剣に魔法の力を付与するだけだ……あんな魔法見たことないぞ」
「こいつは掘り出し物かもな……おい、あいつが生き残ったら俺の所に寄越せ!!」
観客席の方ではレナが魔法を使う姿を見て戸惑う者も多く、中にはレナを引き取ろうとする人間も存在した。そんな彼等の言葉を耳にしながらもレナは両手に剣を構えた状態で「心眼」を発動させ、砂中を潜る砂鮫の位置を把握する。
(……見つけた!!)
生物の放つ生命力を感知して相手の位置を捉える心眼を利用して砂の中に潜る砂鮫を発見し、次にどの角度から攻撃を仕掛けるのかを見抜く。砂鮫はレナの真下から大口を開いて飲み込もうとしており、事前に攻撃を察知したレナは長剣を掲げて上空へと跳躍した。
『シャオッ……!?』
「いらっしゃい!!」
事前に回避行動に移っていたレナは地中から姿を現した砂鮫の側面に移動し、両手の剣の刃を振動させながら砂鮫に切りつける。二つの剣が触れた瞬間、砂鮫の皮膚が切り裂かれて鮮血が舞う。
『オアアッ……!?』
「どうだ!?」
手応えを感じたレナは地面に墜落する砂鮫を見るが、背中を大きく切り裂かれた砂鮫は砂の上で暴れまわり、大口を開いて砂丘に飛び込む。今回は砂の中に潜り込むのではなく、砂丘を突き抜けて飛び出してきた砂鮫の背中にはレナが切り裂いたはずの傷口が塞がっており、どうやらゴーレムのように土砂を吸収する事で皮膚を再生させたらしい。
『オオオオッ……!!』
「なるほど、再生能力もあるのか……だけど、血が流れているなら中身は生身の生物なんだろ?」
ゴーレムの場合は体内の核を中心に土砂を固めて肉体を形成しているが、砂鮫の場合は血液が流れている以上は外貨うの中に生物としての肉体が存在すると考えたレナは氷装剣を解除させ、右手を構える。傷つけられて冷静さを失くしたのか砂の中に潜る事を忘れて地面の上を滑るように接近する砂鮫の大口に向けてレナは魔法を放つ。
「なら、内側は意外と脆いだろ……火炎弾!!」
『オアアアアッ!?』
敢えて攻撃範囲の広い「火炎刃」ではなく、砲弾のように衝突する事で爆発を引き起こす火炎弾が砂鮫の口の中に入り込み、内側を焼き尽くす。口内から黒煙を放ちながら白目を剥いた砂鮫が倒れこみ、やがて動かなくなる。
「えっ……た、倒したのか?」
「あんな化物を……」
「おい、どうなってんだ!?一体何が起きたんだ?」
囚人達は砂鮫が倒れた姿を見て唖然とした表情を浮かべるが、動かなくなった砂鮫を確認してレナは一息吐くと、両手の氷装剣を解除した。
「ふうっ……どうにかなったな」
いくら固い皮膚に包まれいようと内側は生身の肉体ならば口内からの攻撃に耐えきれるはずがなく、体内から焼き尽くされて生き残る生物はいない。仮にゴーレムのような存在ならば内側から破壊されても核が無事ならば復活を果たすが、砂鮫はあくまでも再生能力を持つ生物でしかなく、ゴーレムのように核が存在するわけではない。
「それにしてもこんな化物と戦わされる事になるとは……なんて所だ」
改めて自分がとんでもない場所に送り込まれた事を理解したレナは早々にこの場所を抜け出す事を決め、ある程度の情報を集めたら逃げ出すことを決意した。
「フカヒレにしてやる!!」
氷装剣を装備したレナは地面から飛び出してきた砂鮫に対して剣を振り払おうとしたが、寸前で危機を感じ取ったのか砂鮫は空中で身体を回転させて尻尾の部分を放つ。
『シャオオッ!!』
「兜くだ……うわっ!?」
放たれた尻尾に氷装剣が衝突した瞬間、金属音が響いて弾かれてしまう。砂鮫はそのまま地面に潜り込み、体勢を崩したレナは慌てて立ち上がるが、既に砂鮫は砂中の中に完全に隠れてしまう。
(しまった……久々に使ったから刀身に振動を送るのを忘れていた)
刀身に振動を加えた状態ならば尻尾に弾かれる事もなく切り裂けたかもしれないが、今更後悔しても遅く、砂鮫はレナを標的と定めたのか円を描くように移動を行う。その様子を囚人達は遠巻きに見つめ、次にレナがどのように行動するのかを見つめる。
(どうする?外見は生き物というよりはゴーレムやガーゴイルに近そうな魔物だな……となると火属性の魔法は相性が悪いかもしれない。外側の皮膚もかなり固いな……何の装備もない状態で戦うのはきつい相手だな)
退魔刀や反鏡剣、あるいは紅蓮が存在すればどうという事はない敵なのだが、弱音を吐いても仕方がないのでレナは今度は両手に氷装剣を発動させて長剣を生み出す。その様子を見ていた囚人は驚きの声を上げた。
「何だあいつ……どこからあんな武器を取り出したんだ?」
「おい、よく見ろ……あれは氷で出来ているんじゃないか?魔法剣という奴か?」
「馬鹿、魔法剣は剣に魔法の力を付与するだけだ……あんな魔法見たことないぞ」
「こいつは掘り出し物かもな……おい、あいつが生き残ったら俺の所に寄越せ!!」
観客席の方ではレナが魔法を使う姿を見て戸惑う者も多く、中にはレナを引き取ろうとする人間も存在した。そんな彼等の言葉を耳にしながらもレナは両手に剣を構えた状態で「心眼」を発動させ、砂中を潜る砂鮫の位置を把握する。
(……見つけた!!)
生物の放つ生命力を感知して相手の位置を捉える心眼を利用して砂の中に潜る砂鮫を発見し、次にどの角度から攻撃を仕掛けるのかを見抜く。砂鮫はレナの真下から大口を開いて飲み込もうとしており、事前に攻撃を察知したレナは長剣を掲げて上空へと跳躍した。
『シャオッ……!?』
「いらっしゃい!!」
事前に回避行動に移っていたレナは地中から姿を現した砂鮫の側面に移動し、両手の剣の刃を振動させながら砂鮫に切りつける。二つの剣が触れた瞬間、砂鮫の皮膚が切り裂かれて鮮血が舞う。
『オアアッ……!?』
「どうだ!?」
手応えを感じたレナは地面に墜落する砂鮫を見るが、背中を大きく切り裂かれた砂鮫は砂の上で暴れまわり、大口を開いて砂丘に飛び込む。今回は砂の中に潜り込むのではなく、砂丘を突き抜けて飛び出してきた砂鮫の背中にはレナが切り裂いたはずの傷口が塞がっており、どうやらゴーレムのように土砂を吸収する事で皮膚を再生させたらしい。
『オオオオッ……!!』
「なるほど、再生能力もあるのか……だけど、血が流れているなら中身は生身の生物なんだろ?」
ゴーレムの場合は体内の核を中心に土砂を固めて肉体を形成しているが、砂鮫の場合は血液が流れている以上は外貨うの中に生物としての肉体が存在すると考えたレナは氷装剣を解除させ、右手を構える。傷つけられて冷静さを失くしたのか砂の中に潜る事を忘れて地面の上を滑るように接近する砂鮫の大口に向けてレナは魔法を放つ。
「なら、内側は意外と脆いだろ……火炎弾!!」
『オアアアアッ!?』
敢えて攻撃範囲の広い「火炎刃」ではなく、砲弾のように衝突する事で爆発を引き起こす火炎弾が砂鮫の口の中に入り込み、内側を焼き尽くす。口内から黒煙を放ちながら白目を剥いた砂鮫が倒れこみ、やがて動かなくなる。
「えっ……た、倒したのか?」
「あんな化物を……」
「おい、どうなってんだ!?一体何が起きたんだ?」
囚人達は砂鮫が倒れた姿を見て唖然とした表情を浮かべるが、動かなくなった砂鮫を確認してレナは一息吐くと、両手の氷装剣を解除した。
「ふうっ……どうにかなったな」
いくら固い皮膚に包まれいようと内側は生身の肉体ならば口内からの攻撃に耐えきれるはずがなく、体内から焼き尽くされて生き残る生物はいない。仮にゴーレムのような存在ならば内側から破壊されても核が無事ならば復活を果たすが、砂鮫はあくまでも再生能力を持つ生物でしかなく、ゴーレムのように核が存在するわけではない。
「それにしてもこんな化物と戦わされる事になるとは……なんて所だ」
改めて自分がとんでもない場所に送り込まれた事を理解したレナは早々にこの場所を抜け出す事を決め、ある程度の情報を集めたら逃げ出すことを決意した。
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