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放浪編
看守長の実力
「嘘でしょっ!?ここまで追いかけてくんなっ!!」
「それを返せぇええっ!!」
レナよりも身軽に素早く氷の円盤を駆け抜けて追跡してくる看守長は必死の表情を浮かべて手を伸ばし、紅蓮ではなく仮面の方を取り返そうとする。しかし、咄嗟にレナは仮面を持つ手を上げて看守長が足場にしていた氷塊を消失させた。
「落ちろ!!」
「っ!?」
足場にしていた氷塊が消え去った事で体勢を崩した看守長は地面に墜落してしまい、その間にレナは金網を飛び越えて遂に女囚館の敷地外から抜け出す。レナはここまで移動すれば逃げ切れると思った矢先、背後から轟音が響き渡り、振り返ると土煙を舞い上げながら金網を自力で飛び越える看守長の姿が存在した。
「うおおおっ!!」
「マジで!?」
金網の前には大きな堀が存在するにも関わらず、殆ど助走も無しに飛び越えてきた看守長の身体能力にレナは驚き、その一瞬の隙をついて看守長は仮面を奪い取る。
「ふんっ!!」
「うわっ!?」
仮面を取り返した看守長は急いで自分の顔に取り付けると、暫くの間は黙り込み、やがて冷静さを取り戻したように汗をぬぐいながらレナに振り返った。
「ふうっ……少々取り乱したようだね。それで、君は何者だ?」
「いや、今更誤魔化してもさっきのあんたの行動はなかった事に出来ないから」
「やれやれ、話を聞かない子供を相手にするのは面倒だね」
仮面を取り付けた瞬間に余裕を取り戻したのか最初の口調と冷静な態度に戻った看守長だが、先ほどまでの取り乱し様と仮面に対する異常なまでの執着心を抱えた行動は取り消す事は出来ず、レナはある意味ではゲインよりも危ない性格の吸血鬼に相対した気分に陥る。
(ゲインもキラウも相当にやばい奴だけど、こいつもかなり危ないな……吸血鬼にまともな人間はいないのか)
これまでにレナが遭遇したゲインもキラウも精神面に大きな問題を抱えていたが、看守長に関しても他の二人と普通の人間(吸血鬼だが)とは言い切れず、咄嗟に奪い取った紅蓮を構える。そんなレナの姿を見て看守長は何かに気づいたように感心した表情を浮かべた。
「ほうっ……随分と若いのに相当な修羅場を潜り抜けているようだね。隙が全く無い良い構えだ」
「……どうも」
「だが、僕の敵じゃな……い?」
剣の構えを見ただけでレナが素人ではないと見抜いた看守長は笑みを浮かべ、ゆっくりと自分の腰に手を伸ばす。その行動にレナは疑問を抱くが、看守長は伸ばした腕が空を切ると自分の腰に視線を向け、再びレナに顔を向ける。そして自分が装着していた「紅蓮」がレナの手元に存在する事に気づき、口元に笑みを浮かべる。
「ふっ……そういう事か。あの、僕の刀を返してくれないかな?」
「元々お前の物でもねえよっ!!」
仮面を奪われて取り乱していたせいか刀を奪われた事にも気づいていなかった看守長は態度を改めて刀の返却を願うが、当然だがそのような願いを聞き入れられるはずがなく、レナは紅蓮を構えた状態で看守長に向かう。
「兜砕き!!」
「うわっ!?ちょ、待ってくれ!!まずは話し合おうじゃないか!?」
正面から振り落とされた紅蓮の刃に対して看守長は慌てて右に避けて回避するが、続けてレナは横凪に刀を振り払う。
「旋風撃!!」
「おっと、話し合うつもりがないのなら……うわっ!?」
横に振り払われた刃に対して看守長は上半身を逸らして回避すると、降りぬかれた刃に手を伸ばす。恐らくは刀を奪い取ろうとしたのだろうが、紅蓮の特徴は刃に衝撃を受けた瞬間に爆炎を生み出すという能力を持っており、看守長が指先で触れた瞬間に小規模の爆発が生じて指を弾く。吸血鬼でなければ間違いなく指が吹き飛んでいてもおかしくはなく、火傷した指を抑えながら看守長は後方に下がる。
「くっ……そういえばその刀は妖刀だったね。仕方ない、今回の所は退かせてもらうよ」
「あ、待て!?」
無手で勝てる相手ではないと判断したのか看守長は指を抑えながらその場を跳躍し、宿舎の屋上に降り立つ。レナも追いかけようとした時には既に看守長も姿を消してしまう。
(逃げられたか……いや、俺もここを離れないと不味い。兵士が来たら面倒な事になる)
追跡を断念してレナは空間魔法を発動させて取り返した紅蓮を異空間に収めると、騒ぎを聞きつけて兵士達が訪れる前に宿舎内に逃げ込む。まずは女装を辞める必要があり、ゴンゾウとネズミと合流する事を優先した。
(それにしてもあの男の顔……仮面で顔を隠していのはあれが原因なのか?)
逃走の最中、レナは看守長の顔を見てある事に気づき、彼が必死になって仮面を取り戻そうとした理由を悟る。仮面で隠されていた右側の顔の部分には人には見せられない重大な理由があるのかもしれず、レナはこの情報を情報屋のネズミが知っているのか少し気になった――
「それを返せぇええっ!!」
レナよりも身軽に素早く氷の円盤を駆け抜けて追跡してくる看守長は必死の表情を浮かべて手を伸ばし、紅蓮ではなく仮面の方を取り返そうとする。しかし、咄嗟にレナは仮面を持つ手を上げて看守長が足場にしていた氷塊を消失させた。
「落ちろ!!」
「っ!?」
足場にしていた氷塊が消え去った事で体勢を崩した看守長は地面に墜落してしまい、その間にレナは金網を飛び越えて遂に女囚館の敷地外から抜け出す。レナはここまで移動すれば逃げ切れると思った矢先、背後から轟音が響き渡り、振り返ると土煙を舞い上げながら金網を自力で飛び越える看守長の姿が存在した。
「うおおおっ!!」
「マジで!?」
金網の前には大きな堀が存在するにも関わらず、殆ど助走も無しに飛び越えてきた看守長の身体能力にレナは驚き、その一瞬の隙をついて看守長は仮面を奪い取る。
「ふんっ!!」
「うわっ!?」
仮面を取り返した看守長は急いで自分の顔に取り付けると、暫くの間は黙り込み、やがて冷静さを取り戻したように汗をぬぐいながらレナに振り返った。
「ふうっ……少々取り乱したようだね。それで、君は何者だ?」
「いや、今更誤魔化してもさっきのあんたの行動はなかった事に出来ないから」
「やれやれ、話を聞かない子供を相手にするのは面倒だね」
仮面を取り付けた瞬間に余裕を取り戻したのか最初の口調と冷静な態度に戻った看守長だが、先ほどまでの取り乱し様と仮面に対する異常なまでの執着心を抱えた行動は取り消す事は出来ず、レナはある意味ではゲインよりも危ない性格の吸血鬼に相対した気分に陥る。
(ゲインもキラウも相当にやばい奴だけど、こいつもかなり危ないな……吸血鬼にまともな人間はいないのか)
これまでにレナが遭遇したゲインもキラウも精神面に大きな問題を抱えていたが、看守長に関しても他の二人と普通の人間(吸血鬼だが)とは言い切れず、咄嗟に奪い取った紅蓮を構える。そんなレナの姿を見て看守長は何かに気づいたように感心した表情を浮かべた。
「ほうっ……随分と若いのに相当な修羅場を潜り抜けているようだね。隙が全く無い良い構えだ」
「……どうも」
「だが、僕の敵じゃな……い?」
剣の構えを見ただけでレナが素人ではないと見抜いた看守長は笑みを浮かべ、ゆっくりと自分の腰に手を伸ばす。その行動にレナは疑問を抱くが、看守長は伸ばした腕が空を切ると自分の腰に視線を向け、再びレナに顔を向ける。そして自分が装着していた「紅蓮」がレナの手元に存在する事に気づき、口元に笑みを浮かべる。
「ふっ……そういう事か。あの、僕の刀を返してくれないかな?」
「元々お前の物でもねえよっ!!」
仮面を奪われて取り乱していたせいか刀を奪われた事にも気づいていなかった看守長は態度を改めて刀の返却を願うが、当然だがそのような願いを聞き入れられるはずがなく、レナは紅蓮を構えた状態で看守長に向かう。
「兜砕き!!」
「うわっ!?ちょ、待ってくれ!!まずは話し合おうじゃないか!?」
正面から振り落とされた紅蓮の刃に対して看守長は慌てて右に避けて回避するが、続けてレナは横凪に刀を振り払う。
「旋風撃!!」
「おっと、話し合うつもりがないのなら……うわっ!?」
横に振り払われた刃に対して看守長は上半身を逸らして回避すると、降りぬかれた刃に手を伸ばす。恐らくは刀を奪い取ろうとしたのだろうが、紅蓮の特徴は刃に衝撃を受けた瞬間に爆炎を生み出すという能力を持っており、看守長が指先で触れた瞬間に小規模の爆発が生じて指を弾く。吸血鬼でなければ間違いなく指が吹き飛んでいてもおかしくはなく、火傷した指を抑えながら看守長は後方に下がる。
「くっ……そういえばその刀は妖刀だったね。仕方ない、今回の所は退かせてもらうよ」
「あ、待て!?」
無手で勝てる相手ではないと判断したのか看守長は指を抑えながらその場を跳躍し、宿舎の屋上に降り立つ。レナも追いかけようとした時には既に看守長も姿を消してしまう。
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