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放浪編
ゴンゾウとネズミ
――時刻はレナが女囚館に向かう前まで遡り、教室からレナを見送ったゴンゾウとネズミは黙り込み、やがてゴンゾウの方からネズミに話しかける。
「ネズミ、どうしてお前は俺達に協力する?」
「え?何ですか急に?」
「先に俺の質問に答えてくれ、どうして俺達のために色々と手伝ってくれる?」
ゴンゾウはネズミが自分達に協力的な事に疑問を抱き、彼は元々はレナの調査と暗殺を依頼された立場の人間だった。だからレナがネズミの依頼を放棄させるために大量の銀貨を渡した事は事実だが、銀貨を受け取った後にどうしてネズミが自分達から離れない理由をゴンゾウは気になっていた。
「勘違いしないでほしいが、俺はネズミのお陰で色々と助けられていると思っている。俺達の知らない情報を色々教えてくれたり、色々と手伝ってくれるからな」
「いえいえ、お気になさらずに」
「……だが、だからこそ気になったのはどうして俺達のためにそこまでしてくれるんだ?レナがお前に銀貨を渡したのは依頼を放棄させるためだ。なのにお前は銀貨を受け取った後も俺達から離れようとしない。どうしてだ?」
「……意外と鋭い方ですね」
ネズミはため息を吐きながらレナから受け取った銀貨の小袋を掌の上で放り投げ、ゴンゾウと向かい合う。正面から見つめてくる彼の顔を見て下手な嘘は通じないと判断したのか、自分の隠していた秘密を明かす。
「実を言うとですね、僕はレナさんと出会ったのは今日が初めて……という訳じゃないんですよ」
「何?どういう事だ?レナとは知り合いだったのか?」
「いえ、レナさんは僕と最初に会った時の事を覚えてはいないと思いますよ。何しろ、僕と会った時は意識を失ってましたからね……お話ししましょう。僕がどうしてレナさんに協力するのかを――」
――ネズミが最初にレナと出会ったのは昨日の昼まで時刻が遡り、彼は囚人の仕事として看守と共に監獄都市の外に出向いていた。通常、囚人が監獄都市を出る事は許されないが、看守の監視付きという条件ならば外出が許される。ネズミが引き受けた仕事は食用の魔獣を狩猟だった。
基本的には監獄都市は自給自足で生活を保っており、農作業以外にも食料を確保するために定期的に看守が兵士を引き連れて外部の魔物を狩猟していた。しかし、数千人の囚人の食料を集めるとなるとそれなりの数の魔物を捕まえる必要があるため、レベルの高い囚人達にも仕事として狩猟を手伝わせる事も多い。
狩猟の仕事は囚人の仕事の中でも最も過酷で危険度も高く、実際に数百人の囚人が仕事を引き受けては帰ってくる度に十数人の犠牲者が生まれていた。それでも危険性が高いだけあって報酬も高く、更に食事や怪我の治療も保証されている。
ネズミがどうして狩猟の仕事に参加していたかというと、彼の職業は「暗殺者」と「魔物使い」だった。狩猟の際に魔物の偵察を行う時には暗殺者以上の適任はおらず、更に捕まえた魔物も暴れないように従えさせられることが出来る魔物使いの職業は重宝された。
昨日もネズミは狩猟の際に偵察班として魔物が生息する地域に足を運び、調査を行っていた。彼がネズミと呼ばれる所以は「ラット」と呼ばれる小さな鼠型の魔獣を従えさせているため、このラットを利用して普通の人間ならば近づけない危険な場所も調べさせ、情報を入手させていた。昨日はネズミは数匹のラットを従えて行動していた時、ある現場を目撃した。
『これは……人間?』
調査の最中、ネズミは岩陰に背もたれて気絶する少年を発見し、様子を伺う。何処から来たのか分からないが囚人ではない事は間違いなく、身に着けている衣服や装備品を見てネズミは外部から訪れた人間だと悟る。
『気絶しているみたいですけど、どうやら頭をかなり強く打っているようですね』
少年の頭には大きな瘤が存在し、勢い余って岩に頭を強打したのか気絶したようだった。不思議に思いながらもネズミは少年の身に着けている装備品が一級品だと知り、悩んだ末に彼の存在を兵士に話す事にした。
『こ、こいつは……信じられねえ、どうしてこんなガキがこんな名刀を持っているんだ!?』
『お、おい!!これほどの上物なんて滅多に手に入らねえぞ!!』
『だが、こいつは囚人じゃないぞ?何処から来たんだ?』
『何処だっていいんだよ!!どうせここに居る時点で碌な奴じゃねえ……看守長に渡せばきっと高く買い取ってくれるぞ!!』
しかし、少年を発見した兵士達は彼の装備品をこぞって奪い合い、自分の物にするために争い合う。その様子を見ていたネズミは呆れた表情を浮かべるが、自分には関わりない事だと判断して仕事に戻る。この後に何が起きたのかはネズミは知らないが、装備品を剥ぎ取られたレナは囚人が移送される車の中に紛れ込み、翌日の朝まで意識が目覚めなかった事になる――
「ネズミ、どうしてお前は俺達に協力する?」
「え?何ですか急に?」
「先に俺の質問に答えてくれ、どうして俺達のために色々と手伝ってくれる?」
ゴンゾウはネズミが自分達に協力的な事に疑問を抱き、彼は元々はレナの調査と暗殺を依頼された立場の人間だった。だからレナがネズミの依頼を放棄させるために大量の銀貨を渡した事は事実だが、銀貨を受け取った後にどうしてネズミが自分達から離れない理由をゴンゾウは気になっていた。
「勘違いしないでほしいが、俺はネズミのお陰で色々と助けられていると思っている。俺達の知らない情報を色々教えてくれたり、色々と手伝ってくれるからな」
「いえいえ、お気になさらずに」
「……だが、だからこそ気になったのはどうして俺達のためにそこまでしてくれるんだ?レナがお前に銀貨を渡したのは依頼を放棄させるためだ。なのにお前は銀貨を受け取った後も俺達から離れようとしない。どうしてだ?」
「……意外と鋭い方ですね」
ネズミはため息を吐きながらレナから受け取った銀貨の小袋を掌の上で放り投げ、ゴンゾウと向かい合う。正面から見つめてくる彼の顔を見て下手な嘘は通じないと判断したのか、自分の隠していた秘密を明かす。
「実を言うとですね、僕はレナさんと出会ったのは今日が初めて……という訳じゃないんですよ」
「何?どういう事だ?レナとは知り合いだったのか?」
「いえ、レナさんは僕と最初に会った時の事を覚えてはいないと思いますよ。何しろ、僕と会った時は意識を失ってましたからね……お話ししましょう。僕がどうしてレナさんに協力するのかを――」
――ネズミが最初にレナと出会ったのは昨日の昼まで時刻が遡り、彼は囚人の仕事として看守と共に監獄都市の外に出向いていた。通常、囚人が監獄都市を出る事は許されないが、看守の監視付きという条件ならば外出が許される。ネズミが引き受けた仕事は食用の魔獣を狩猟だった。
基本的には監獄都市は自給自足で生活を保っており、農作業以外にも食料を確保するために定期的に看守が兵士を引き連れて外部の魔物を狩猟していた。しかし、数千人の囚人の食料を集めるとなるとそれなりの数の魔物を捕まえる必要があるため、レベルの高い囚人達にも仕事として狩猟を手伝わせる事も多い。
狩猟の仕事は囚人の仕事の中でも最も過酷で危険度も高く、実際に数百人の囚人が仕事を引き受けては帰ってくる度に十数人の犠牲者が生まれていた。それでも危険性が高いだけあって報酬も高く、更に食事や怪我の治療も保証されている。
ネズミがどうして狩猟の仕事に参加していたかというと、彼の職業は「暗殺者」と「魔物使い」だった。狩猟の際に魔物の偵察を行う時には暗殺者以上の適任はおらず、更に捕まえた魔物も暴れないように従えさせられることが出来る魔物使いの職業は重宝された。
昨日もネズミは狩猟の際に偵察班として魔物が生息する地域に足を運び、調査を行っていた。彼がネズミと呼ばれる所以は「ラット」と呼ばれる小さな鼠型の魔獣を従えさせているため、このラットを利用して普通の人間ならば近づけない危険な場所も調べさせ、情報を入手させていた。昨日はネズミは数匹のラットを従えて行動していた時、ある現場を目撃した。
『これは……人間?』
調査の最中、ネズミは岩陰に背もたれて気絶する少年を発見し、様子を伺う。何処から来たのか分からないが囚人ではない事は間違いなく、身に着けている衣服や装備品を見てネズミは外部から訪れた人間だと悟る。
『気絶しているみたいですけど、どうやら頭をかなり強く打っているようですね』
少年の頭には大きな瘤が存在し、勢い余って岩に頭を強打したのか気絶したようだった。不思議に思いながらもネズミは少年の身に着けている装備品が一級品だと知り、悩んだ末に彼の存在を兵士に話す事にした。
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『お、おい!!これほどの上物なんて滅多に手に入らねえぞ!!』
『だが、こいつは囚人じゃないぞ?何処から来たんだ?』
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しかし、少年を発見した兵士達は彼の装備品をこぞって奪い合い、自分の物にするために争い合う。その様子を見ていたネズミは呆れた表情を浮かべるが、自分には関わりない事だと判断して仕事に戻る。この後に何が起きたのかはネズミは知らないが、装備品を剥ぎ取られたレナは囚人が移送される車の中に紛れ込み、翌日の朝まで意識が目覚めなかった事になる――
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