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外伝 ~ヨツバ王国編~
戦の終わり
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「や、やった……倒した!!遂にクレナイを倒したんだ!!」
「し、信じられない……」
「あのクレナイ将軍が……!?」
ゴンゾウによって樹皮にめり込まれたクレナイの姿を見た東聖将軍の兵士達は歓声を上げ、守備将軍の兵士達は自分達の将軍が敗れたという事実に膝を崩す。すぐにシズネ達は倒れたゴンゾウの元へ向かい、容体を調べる。
「ゴンゾウ!!おい、大丈夫なのか!?」
「動かさないで!!コトミン、すぐに治療を……」
「……駄目、スラミンが水分を出し尽くして回復魔法が使えない」
「ぷるるっ……」
シズネはコトミンに治療を願うが、彼女が抱えているスラミンは戦闘の際に体内に保管していた水分をほぼ全て出し切り、水を吐き出せない。コトミンの回復魔法は水が必要不可欠のため、今の状況ではゴンゾウの回復は出来なかった。
「誰か!!誰か回復薬を持っていないの!?」
「すまん、戦闘中に全て使い切ってしまった」
「私もありません……」
「あ、僕が持ってるよ!!1本だけ、最後の奴が!!」
ミナが懐から回復薬を取り出し、ゴンゾウの口元へ飲み込ませる。回復薬を飲み込むとゴンゾウの顔色も良くなり、ある程度の傷の再生が始まった。だが、量と品質の問題で完治とまではいかず、早急に東壁街へ引き換えして治癒魔導士に回復してもらう必要がある。
ゴンゾウを仲間たちが運び込む間、ギンタロウは立ち尽くした状態で気絶したクレナイの元へ近づき、彼の様子を伺う。未だに意識は戻る様子はなく、そんな彼に対してギンタロウは鉞を握り締めると、守備将軍の兵士達が必死に止めようとした。
「や、止めろ!!勝負はもう着いた!!」
「我々の負けだ!!もう将軍を傷つけるのは止めてくれ!!」
「降参する!!敗北を認める!!だから……将軍を殺さないでくれ!!」
「……ならば武器を手放せ!!そうすればお前たちの将に手出しはしない!!」
守備将軍の兵士の言葉にギンタロウは武装解除を命じると、兵士達は即座に自分が所持していた武器を地面に突き刺し、その場に跪く。その光景を見てクレナイが配下にどれほど慕われているのか理解したギンタロウは鉞を下ろす。
「良い部下に恵まれたな、クレナイ」
「……馬鹿者、共が……」
「何だ!?目を覚ましていたのか!?」
ギンタロウの呟きに何時の間にか意識を取り戻していたクレナイが返事を行い、彼はその場に膝を崩す。慌ててギンタロウはクレナイの肩を貸そうとするが、それを拒んでクレナイはギンタロウに投降を申し出る。
「ギンタロウ、お前の勝利だ……我の首をやる、だから部下たちだけは見逃してくれ」
「勘違いするなクレナイ、俺も彼等もお前の首などいらん!!俺たちの目的はこの国を乗っ取ろうとしているカレハ王女から王国の実権を取り戻す事だ!!」
「……この期に及んで、まだそのような世迷言を」
「世迷言ではない!!ともかく、まずはお前が拘束した3人の冒険者の解放を要求する!!彼等は無事なのか?」
クレナイの肩を貸しながらギンタロウは守備将軍に拘束されたカゲマル、ハンゾウ、アヤメの3人の解放を望むと、守備将軍の兵士の中から返事が来る。
「我等ならばここにいるぞ」
「何!?」
「その声は……まさか、カゲマルか!?」
「拙者もアヤメもいるでござる!!」
守備将軍の兵士に化けていたカゲマル、ハンゾウ、アヤメが姿を現すと両陣営が驚愕の表情を浮かべ、どうやら3人ともすでに拘束から抜け出していたらしく、兵士に紛れて戦場で戦っていたらしい。
「貴様等……どうやって抜け出してきた?」
「ふっ……我等にとってあのような拘束を脱出するなど容易い事だ」
「まさか植物型の魔物の蔓に拘束されるとは思わなかったでござるが……」
「白くてぬめぬめした粘液を引っ掛けられた時は焦ったでござるん」
「ど、どんな拘束をされていたんだ君たちは……」
3人が拘束を抜けていた事にクレナイは驚き、氷雨の冒険者は彼等が無事であったことを喜ぶ。同時にこれで人質にされかねない3人の無事を確保した以上、もう守備将軍は東聖将軍へ対抗する術はなくなった。
「クレナイよ、お前は我々に敗北したのだ。ならば黙って我々に従ってもらうぞ」
「……どうするつもりだ?」
「別にお前達を殺すつもりはない。だが、これ以上に我々の邪魔をするというのであれば容赦はしない!!だが、一先ずは東壁街へ引き返すぞ!!まずは怪我の治療からだ!!」
「我々も、治療する気か……?」
「当然だ!!戦が終わった以上、もうお前達は敵ではない!!同じ国家、同じ主人に忠誠を誓う仲間だ!!誰一人として見捨てないぞ!!」
ギンタロウの言葉に守備将軍の兵士達は戸惑い、クレナイの方も彼の言葉に呆れた表情を浮かべるが、このような男だからこそヨツバ王国のデブリ国王は彼に六聖将の位を授けた事を思い出す。クレナイは素直に敗北を認め、ギンタロウはの指示に従う。
「し、信じられない……」
「あのクレナイ将軍が……!?」
ゴンゾウによって樹皮にめり込まれたクレナイの姿を見た東聖将軍の兵士達は歓声を上げ、守備将軍の兵士達は自分達の将軍が敗れたという事実に膝を崩す。すぐにシズネ達は倒れたゴンゾウの元へ向かい、容体を調べる。
「ゴンゾウ!!おい、大丈夫なのか!?」
「動かさないで!!コトミン、すぐに治療を……」
「……駄目、スラミンが水分を出し尽くして回復魔法が使えない」
「ぷるるっ……」
シズネはコトミンに治療を願うが、彼女が抱えているスラミンは戦闘の際に体内に保管していた水分をほぼ全て出し切り、水を吐き出せない。コトミンの回復魔法は水が必要不可欠のため、今の状況ではゴンゾウの回復は出来なかった。
「誰か!!誰か回復薬を持っていないの!?」
「すまん、戦闘中に全て使い切ってしまった」
「私もありません……」
「あ、僕が持ってるよ!!1本だけ、最後の奴が!!」
ミナが懐から回復薬を取り出し、ゴンゾウの口元へ飲み込ませる。回復薬を飲み込むとゴンゾウの顔色も良くなり、ある程度の傷の再生が始まった。だが、量と品質の問題で完治とまではいかず、早急に東壁街へ引き換えして治癒魔導士に回復してもらう必要がある。
ゴンゾウを仲間たちが運び込む間、ギンタロウは立ち尽くした状態で気絶したクレナイの元へ近づき、彼の様子を伺う。未だに意識は戻る様子はなく、そんな彼に対してギンタロウは鉞を握り締めると、守備将軍の兵士達が必死に止めようとした。
「や、止めろ!!勝負はもう着いた!!」
「我々の負けだ!!もう将軍を傷つけるのは止めてくれ!!」
「降参する!!敗北を認める!!だから……将軍を殺さないでくれ!!」
「……ならば武器を手放せ!!そうすればお前たちの将に手出しはしない!!」
守備将軍の兵士の言葉にギンタロウは武装解除を命じると、兵士達は即座に自分が所持していた武器を地面に突き刺し、その場に跪く。その光景を見てクレナイが配下にどれほど慕われているのか理解したギンタロウは鉞を下ろす。
「良い部下に恵まれたな、クレナイ」
「……馬鹿者、共が……」
「何だ!?目を覚ましていたのか!?」
ギンタロウの呟きに何時の間にか意識を取り戻していたクレナイが返事を行い、彼はその場に膝を崩す。慌ててギンタロウはクレナイの肩を貸そうとするが、それを拒んでクレナイはギンタロウに投降を申し出る。
「ギンタロウ、お前の勝利だ……我の首をやる、だから部下たちだけは見逃してくれ」
「勘違いするなクレナイ、俺も彼等もお前の首などいらん!!俺たちの目的はこの国を乗っ取ろうとしているカレハ王女から王国の実権を取り戻す事だ!!」
「……この期に及んで、まだそのような世迷言を」
「世迷言ではない!!ともかく、まずはお前が拘束した3人の冒険者の解放を要求する!!彼等は無事なのか?」
クレナイの肩を貸しながらギンタロウは守備将軍に拘束されたカゲマル、ハンゾウ、アヤメの3人の解放を望むと、守備将軍の兵士の中から返事が来る。
「我等ならばここにいるぞ」
「何!?」
「その声は……まさか、カゲマルか!?」
「拙者もアヤメもいるでござる!!」
守備将軍の兵士に化けていたカゲマル、ハンゾウ、アヤメが姿を現すと両陣営が驚愕の表情を浮かべ、どうやら3人ともすでに拘束から抜け出していたらしく、兵士に紛れて戦場で戦っていたらしい。
「貴様等……どうやって抜け出してきた?」
「ふっ……我等にとってあのような拘束を脱出するなど容易い事だ」
「まさか植物型の魔物の蔓に拘束されるとは思わなかったでござるが……」
「白くてぬめぬめした粘液を引っ掛けられた時は焦ったでござるん」
「ど、どんな拘束をされていたんだ君たちは……」
3人が拘束を抜けていた事にクレナイは驚き、氷雨の冒険者は彼等が無事であったことを喜ぶ。同時にこれで人質にされかねない3人の無事を確保した以上、もう守備将軍は東聖将軍へ対抗する術はなくなった。
「クレナイよ、お前は我々に敗北したのだ。ならば黙って我々に従ってもらうぞ」
「……どうするつもりだ?」
「別にお前達を殺すつもりはない。だが、これ以上に我々の邪魔をするというのであれば容赦はしない!!だが、一先ずは東壁街へ引き返すぞ!!まずは怪我の治療からだ!!」
「我々も、治療する気か……?」
「当然だ!!戦が終わった以上、もうお前達は敵ではない!!同じ国家、同じ主人に忠誠を誓う仲間だ!!誰一人として見捨てないぞ!!」
ギンタロウの言葉に守備将軍の兵士達は戸惑い、クレナイの方も彼の言葉に呆れた表情を浮かべるが、このような男だからこそヨツバ王国のデブリ国王は彼に六聖将の位を授けた事を思い出す。クレナイは素直に敗北を認め、ギンタロウはの指示に従う。
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