2,013 / 2,090
蛇足編
闇魔導士の奇襲
しおりを挟む
「コトミン、治療してやって」
「むうっ……この人、私は嫌い」
「そういわずにさ……今日は美味しい魚を取ってくるから」
「……添い寝もしてくれるならいい」
「ず、図々しいわね……」
レナに頼まれて仕方なくコトミンはゴウカの元に近付き、彼の治療を行おうとした。だが、ゴウカは両膝を負傷しながらも戦うつもりなのか何とか立ち上がろうとした。
「ま、まだだ!!まだ勝負は終わっていない!!」
「大将軍、その身体でご無理をされるのは……」
「そうです!!これ以上は戦えません!!」
ゴウカを他の兵士が必死に引き留め、その様子を見てコトミンは困った表情を浮かべた。どうしたものかとレナは困っていると、不意に一人の兵士がゴウカの落とした日輪を拾い上げる。
「壊れたか……やはり、失敗作だったか」
「何だと!?」
「おい、何をしている貴様!?それは大将軍の……ぎゃああっ!?」
「な、何をするか!?」
日輪を勝手に拾い上げた兵士に他の者が注意しようとした瞬間、兵士は日輪を振りかざして斬りかかる。それを見てゴウカは驚き、一方でレナは駆け出していた。
『アイリス!!こいつの正体は!?』
『闇組織の一員です。どうやらゴウカの所有する日輪を狙って兵士に化けていたようですね』
『そういうことはもっと早く言ってよ!?』
『すいません、ちょっとエクササイズに嵌まってまして……』
『うぉいっ!!』
アイリスに文句を言いながらも遂に闇組織の潜伏者を発見したレナは退魔刀を振りかざす。だが、相手の兵士は懐から黒色の水晶玉を取り出す。それを地面に叩きつけた瞬間に黒霧が噴き出す。
「近づくと死ぬぞ!!」
「これは!?」
『それは闇属性の魔力です!!下手に近付いたら黒霧が纏わりついて体調が崩れますよ!!』
ダインの得意とする闇属性の魔力が込められた魔石を破壊して煙幕の代わりに利用し、不用意に近づけば闇属性の魔力を吸い込んで体調を崩す。闇属性の魔力は死霊魔術師か闇魔導士しか受け付けず、黒霧に入り込めばレナでも無事では済まない。
兵士は黒霧の中で着替えでも行っているのか兵士の鎧や服が放り込まれる。やがて黒霧から姿を現わしたのは巨人族でも何でもない普通の人間の男が現れた。
「まさかこんなところで正体を晒すことになるとはな……だが、巨人国の大将軍と噂に名高い破壊王子を仕留められるのなら都合がいい!!」
「お前……旧帝国の残党か!!」
「き、貴様……どうやって化けていた!?」
人間の男が巨人族の格好に化けるなど変装の技能を駆使しても不可能であり、いくら外見を真似ようと体格差に大きな違いがある。それに対して男は闇属性の魔石が取り付けられた杖を取り出し、日本語で「幻影」という文字が刻まれた腕輪を取り出す。
「冥途の土産に教えてやろう!!この俺が持つ神器は「ファントム」はあらゆる姿に変身できる!!そして俺の力は……これだ!!」
「うわっ!?」
「ティナ様、下がって!!」
「わわわっ!?」
「な、何だこれは!?」
男は杖を地面に突き刺した瞬間、男の陰が黒色の触手に変化してレナ達や兵士の元へ向かう。一目見ただけでレナや勘の鋭い者は男の魔法の正体に気が付く。
「これは……影魔法!?」
「こいつ、闇魔導士よ!!」
「闇魔導士だと!?ぬあっ!?」
ダインと同じく男の正体は闇魔導士だと発覚し、男は自分の影を触手に変更させて他の者を捕縛しようとした。対処に遅れたのは巨人族の兵士であり、彼等は魔法を不得手としているので影の触手の対抗手段を持ち合わせていない。
実体化した影の触手は腕力ではどうしようもできず、いくら屈強な巨人族でも振り払うことはできない。その一方でダインと付き合いのあるレナ達は影魔法の弱点を熟知しており、レナは掌を構えて光球の魔法を発動させた。
「消えろ!!」
「ちぃっ!?」
レナは光球の魔法でどうにか自分に近寄る影の触手を消し去るが、男は狙いを女性陣に切り替えた。シズネは雪月花を地面に突き刺して辺り一面を氷結させ、リンダはティナを守るために風の精霊の力を借りて掌底を放つ。
「邪魔よ!!」
「はああっ!!」
魔法に対抗するには魔法の力が一番であり、氷と風に阻まれた影の触手は男の元へ戻る。結局は巨人族の兵士だけを無効化することしかできず、男は悔し気な表情を浮かべた。
「おのれ貴様等……何故、影魔法の特性を知っている!?」
「何故と言われても……」
「貴方よりも凄腕の闇魔導士を知っているからよ……いえ、凄腕というのは言いすぎたかしらね」
「何言ってんの、世界一の闇魔導士だよ」
シズネの言葉にレナはすぐに訂正し、ダインと比べたら男の影魔法など子供同然だった。今のダインならば巨人族の兵士どころかレナ達でも簡単に対応できない影魔法を繰り出せる。本人の性格的に仲間に影魔法を繰り出すなど有り得ないが、とにかくダインの存在を知っているお陰でレナ達は対処できた。
※実力的にはダインは冗談抜きで世界で一、二を誇る闇魔導士です。まあ、闇魔導士は世界中探しても100人ぐらいしかいませんが……
「むうっ……この人、私は嫌い」
「そういわずにさ……今日は美味しい魚を取ってくるから」
「……添い寝もしてくれるならいい」
「ず、図々しいわね……」
レナに頼まれて仕方なくコトミンはゴウカの元に近付き、彼の治療を行おうとした。だが、ゴウカは両膝を負傷しながらも戦うつもりなのか何とか立ち上がろうとした。
「ま、まだだ!!まだ勝負は終わっていない!!」
「大将軍、その身体でご無理をされるのは……」
「そうです!!これ以上は戦えません!!」
ゴウカを他の兵士が必死に引き留め、その様子を見てコトミンは困った表情を浮かべた。どうしたものかとレナは困っていると、不意に一人の兵士がゴウカの落とした日輪を拾い上げる。
「壊れたか……やはり、失敗作だったか」
「何だと!?」
「おい、何をしている貴様!?それは大将軍の……ぎゃああっ!?」
「な、何をするか!?」
日輪を勝手に拾い上げた兵士に他の者が注意しようとした瞬間、兵士は日輪を振りかざして斬りかかる。それを見てゴウカは驚き、一方でレナは駆け出していた。
『アイリス!!こいつの正体は!?』
『闇組織の一員です。どうやらゴウカの所有する日輪を狙って兵士に化けていたようですね』
『そういうことはもっと早く言ってよ!?』
『すいません、ちょっとエクササイズに嵌まってまして……』
『うぉいっ!!』
アイリスに文句を言いながらも遂に闇組織の潜伏者を発見したレナは退魔刀を振りかざす。だが、相手の兵士は懐から黒色の水晶玉を取り出す。それを地面に叩きつけた瞬間に黒霧が噴き出す。
「近づくと死ぬぞ!!」
「これは!?」
『それは闇属性の魔力です!!下手に近付いたら黒霧が纏わりついて体調が崩れますよ!!』
ダインの得意とする闇属性の魔力が込められた魔石を破壊して煙幕の代わりに利用し、不用意に近づけば闇属性の魔力を吸い込んで体調を崩す。闇属性の魔力は死霊魔術師か闇魔導士しか受け付けず、黒霧に入り込めばレナでも無事では済まない。
兵士は黒霧の中で着替えでも行っているのか兵士の鎧や服が放り込まれる。やがて黒霧から姿を現わしたのは巨人族でも何でもない普通の人間の男が現れた。
「まさかこんなところで正体を晒すことになるとはな……だが、巨人国の大将軍と噂に名高い破壊王子を仕留められるのなら都合がいい!!」
「お前……旧帝国の残党か!!」
「き、貴様……どうやって化けていた!?」
人間の男が巨人族の格好に化けるなど変装の技能を駆使しても不可能であり、いくら外見を真似ようと体格差に大きな違いがある。それに対して男は闇属性の魔石が取り付けられた杖を取り出し、日本語で「幻影」という文字が刻まれた腕輪を取り出す。
「冥途の土産に教えてやろう!!この俺が持つ神器は「ファントム」はあらゆる姿に変身できる!!そして俺の力は……これだ!!」
「うわっ!?」
「ティナ様、下がって!!」
「わわわっ!?」
「な、何だこれは!?」
男は杖を地面に突き刺した瞬間、男の陰が黒色の触手に変化してレナ達や兵士の元へ向かう。一目見ただけでレナや勘の鋭い者は男の魔法の正体に気が付く。
「これは……影魔法!?」
「こいつ、闇魔導士よ!!」
「闇魔導士だと!?ぬあっ!?」
ダインと同じく男の正体は闇魔導士だと発覚し、男は自分の影を触手に変更させて他の者を捕縛しようとした。対処に遅れたのは巨人族の兵士であり、彼等は魔法を不得手としているので影の触手の対抗手段を持ち合わせていない。
実体化した影の触手は腕力ではどうしようもできず、いくら屈強な巨人族でも振り払うことはできない。その一方でダインと付き合いのあるレナ達は影魔法の弱点を熟知しており、レナは掌を構えて光球の魔法を発動させた。
「消えろ!!」
「ちぃっ!?」
レナは光球の魔法でどうにか自分に近寄る影の触手を消し去るが、男は狙いを女性陣に切り替えた。シズネは雪月花を地面に突き刺して辺り一面を氷結させ、リンダはティナを守るために風の精霊の力を借りて掌底を放つ。
「邪魔よ!!」
「はああっ!!」
魔法に対抗するには魔法の力が一番であり、氷と風に阻まれた影の触手は男の元へ戻る。結局は巨人族の兵士だけを無効化することしかできず、男は悔し気な表情を浮かべた。
「おのれ貴様等……何故、影魔法の特性を知っている!?」
「何故と言われても……」
「貴方よりも凄腕の闇魔導士を知っているからよ……いえ、凄腕というのは言いすぎたかしらね」
「何言ってんの、世界一の闇魔導士だよ」
シズネの言葉にレナはすぐに訂正し、ダインと比べたら男の影魔法など子供同然だった。今のダインならば巨人族の兵士どころかレナ達でも簡単に対応できない影魔法を繰り出せる。本人の性格的に仲間に影魔法を繰り出すなど有り得ないが、とにかくダインの存在を知っているお陰でレナ達は対処できた。
※実力的にはダインは冗談抜きで世界で一、二を誇る闇魔導士です。まあ、闇魔導士は世界中探しても100人ぐらいしかいませんが……
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。