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獣人国
閑話 〈その頃のリーリス達は……その2〉
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――帝国北部へ辿り着いてから2日が経過した頃、リーリス達は様々な街に忍び込み、ユニコーンの情報を探る。その結果、やはり王国に届いた情報は誤報である可能性が高い事が判明した。
「ユニコーン?伝説の獣の事か?そんな物がここら辺に現れたのかい?」
「あれだろ、森人族が飼ってる角の生えた馬の事だろ?そんなの見た事ないな……」
「そういえば何日か前にうちの婆さんが森の近くでっかい白馬を見かけたとか言ってたぜ。だけど、うちの婆さんかなりボケてるからな……見間違いの可能性は高いけど」
住民達の聞き込みの結果、誰もがユニコーンの存在を確かめた者はおらず、兵士達の動向を見てもユニコーンの捜索を行っている様子はない。王都のからの捜索命令はまだ届いていないとしてもユニコーンなどという希少な存在が姿を見せれば誰も注目しないのは考えにくく、予想はしていたがやはり魔王軍の策略の可能性が高かった。
「駄目ですね。折角ナオさんの能力で安全に街に忍び込む方法を思いつきましたけど、ユニコーンはやはり発見されてないようです」
「そうですか……残念です」
「じゃあ、やっぱり王都に届いた報告も魔王軍の仕業かな」
街の酒場で3人は食事を行い、庶民の食べ物など滅多に口にしないジャンヌは不思議そうに机の上に置かれた目玉焼きに視線を向け、どのように食べるのか不思議そうに眺める。その横でリーリスはウィンナーにかじりつき、これまでの聞き込みの調査の結果を伝える。
「ここまでに5つの街を回りましたけど、誰もユニコーンをはっきりと目撃したという人はいません。それどころかユニコーンが現れたという噂も広がっていませんね。という事は王都に届いた報告が虚言である可能性がありますが……」
「でも、王国に来た人は本当の兵士だったんじゃないんですか?」
「そうですね、確かに王都へ訪れた使者は本物です。鑑定の能力の人間が変装をした別人ではない事を確かめましたから……だけど、兵士が本物だとしてもその兵士が嘘を吐いていないのかは別の話しです」
「リーリスは彼等が嘘を吐いたというのですか?」
「その可能性もあるというだけです。兵士が魔王軍に寝返ったのか、あるいは洗脳系のスキルで兵士を操って偽りの情報をもたらしたのか……どちらにしろ現状では確かめる術はありませんね」
予想はしていたとはいえ、帝国北部にユニコーンが出現した様子はなく、3人は苦労してここまで移動したのにユニコーンが存在しないという事実に溜息を吐く。しかし、聞き込みの調査資料の中に一人だけ気になる証言を行う人間がいる事にナオは気付く。
「あれ……でもリーリスさん、この街の人の中で一人だけユニコーンを見たという人がいると書いてあるけど」
「本当ですか?」
「ああ、その人の証言は自分が実際に見たんじゃなく、半ばボケかけているお祖母さんから聞いた話らしいんですよ。だから信憑性は薄いので省きました。実際に私も話しましたが、相当にボケているのか私の事を女神様だと間違えてましたよ」
「女神様って……」
リーリスの言葉にナオは資料に記されている証言が当てにならない事を残念がるが、そのお婆さんがユニコーンを見かけたという森がそれほど離れていない場所に存在する事に気付く。念のためにナオは千里眼の能力を発動させて森の様子を探るだけでも試すべきか考えた。
「ここからそんなに遠くはないか……ちょっと千里眼を使ってみますね」
「あんまり期待しない方がいいと思いますけど……」
「勇者様、ご無理はなさらない方が良いのでは……」
「平気です。えっと、こっちの方角かな?」
証言の内容から森が存在する方角を確認するとナオは千里眼を発動させ、瞼を閉じた瞬間に人工衛星から地上の映像を確認するように街から離れた森の様子を伺う。千里眼の範囲は半径500キロのため、その気になれば空間魔法を使用して瞬間移動も行える。
情報を頼りに森の上空から様子を伺い、視点を変化させて森の至る場所を探す。あまりに距離が離れすぎるとナオに負担が掛かるが、どうせここまで来たのならば徹底的にユニコーンが存在するのか確かめるためにナオは森中を探す。
(それほど広い森じゃないな。これなら全体を探せそう……あれ、なんだこの森?)
森の全体図を確認すると中心部に大きな湖が存在する事に気付き、どういう訳なのか泉を取り囲むように樹木が広がっている事が判明する。まるでドーナツのように湖を中心に周囲に木々が広がる光景にナオは疑問を抱き、泉の様子を伺う。
(変わった森だな……待てよ、何か水面に浮かんでるぞ?)
湖の様子を探ろうとしたナオの視界に水面を動く物体を発見し、視点を変更させて正体を確かめた瞬間、ナオは驚きのあまりに目を見開いてしまう。
「ゆ、ユニコーンだ!!」
「ぶっ!?」
「きゃうっ!?」
唐突に大声を上げて立ち上がったナオにリーリスは飲み込もうとした水を噴き出し、その水がナイフとフォークで目玉焼きを切り分けようとしたジャンヌの顔に降りかかる。
※今回の投降の5秒前
リーリス「ふふふっ……アイリス様から以前に貰ったこのボタンを私が持っている事を作者は忘れていますね。ふんっ!!」
( ゚Д゚)ノ公開ボタン
カタナヅキ「な、なぜそれがここに!?(;´・ω・)」
「ユニコーン?伝説の獣の事か?そんな物がここら辺に現れたのかい?」
「あれだろ、森人族が飼ってる角の生えた馬の事だろ?そんなの見た事ないな……」
「そういえば何日か前にうちの婆さんが森の近くでっかい白馬を見かけたとか言ってたぜ。だけど、うちの婆さんかなりボケてるからな……見間違いの可能性は高いけど」
住民達の聞き込みの結果、誰もがユニコーンの存在を確かめた者はおらず、兵士達の動向を見てもユニコーンの捜索を行っている様子はない。王都のからの捜索命令はまだ届いていないとしてもユニコーンなどという希少な存在が姿を見せれば誰も注目しないのは考えにくく、予想はしていたがやはり魔王軍の策略の可能性が高かった。
「駄目ですね。折角ナオさんの能力で安全に街に忍び込む方法を思いつきましたけど、ユニコーンはやはり発見されてないようです」
「そうですか……残念です」
「じゃあ、やっぱり王都に届いた報告も魔王軍の仕業かな」
街の酒場で3人は食事を行い、庶民の食べ物など滅多に口にしないジャンヌは不思議そうに机の上に置かれた目玉焼きに視線を向け、どのように食べるのか不思議そうに眺める。その横でリーリスはウィンナーにかじりつき、これまでの聞き込みの調査の結果を伝える。
「ここまでに5つの街を回りましたけど、誰もユニコーンをはっきりと目撃したという人はいません。それどころかユニコーンが現れたという噂も広がっていませんね。という事は王都に届いた報告が虚言である可能性がありますが……」
「でも、王国に来た人は本当の兵士だったんじゃないんですか?」
「そうですね、確かに王都へ訪れた使者は本物です。鑑定の能力の人間が変装をした別人ではない事を確かめましたから……だけど、兵士が本物だとしてもその兵士が嘘を吐いていないのかは別の話しです」
「リーリスは彼等が嘘を吐いたというのですか?」
「その可能性もあるというだけです。兵士が魔王軍に寝返ったのか、あるいは洗脳系のスキルで兵士を操って偽りの情報をもたらしたのか……どちらにしろ現状では確かめる術はありませんね」
予想はしていたとはいえ、帝国北部にユニコーンが出現した様子はなく、3人は苦労してここまで移動したのにユニコーンが存在しないという事実に溜息を吐く。しかし、聞き込みの調査資料の中に一人だけ気になる証言を行う人間がいる事にナオは気付く。
「あれ……でもリーリスさん、この街の人の中で一人だけユニコーンを見たという人がいると書いてあるけど」
「本当ですか?」
「ああ、その人の証言は自分が実際に見たんじゃなく、半ばボケかけているお祖母さんから聞いた話らしいんですよ。だから信憑性は薄いので省きました。実際に私も話しましたが、相当にボケているのか私の事を女神様だと間違えてましたよ」
「女神様って……」
リーリスの言葉にナオは資料に記されている証言が当てにならない事を残念がるが、そのお婆さんがユニコーンを見かけたという森がそれほど離れていない場所に存在する事に気付く。念のためにナオは千里眼の能力を発動させて森の様子を探るだけでも試すべきか考えた。
「ここからそんなに遠くはないか……ちょっと千里眼を使ってみますね」
「あんまり期待しない方がいいと思いますけど……」
「勇者様、ご無理はなさらない方が良いのでは……」
「平気です。えっと、こっちの方角かな?」
証言の内容から森が存在する方角を確認するとナオは千里眼を発動させ、瞼を閉じた瞬間に人工衛星から地上の映像を確認するように街から離れた森の様子を伺う。千里眼の範囲は半径500キロのため、その気になれば空間魔法を使用して瞬間移動も行える。
情報を頼りに森の上空から様子を伺い、視点を変化させて森の至る場所を探す。あまりに距離が離れすぎるとナオに負担が掛かるが、どうせここまで来たのならば徹底的にユニコーンが存在するのか確かめるためにナオは森中を探す。
(それほど広い森じゃないな。これなら全体を探せそう……あれ、なんだこの森?)
森の全体図を確認すると中心部に大きな湖が存在する事に気付き、どういう訳なのか泉を取り囲むように樹木が広がっている事が判明する。まるでドーナツのように湖を中心に周囲に木々が広がる光景にナオは疑問を抱き、泉の様子を伺う。
(変わった森だな……待てよ、何か水面に浮かんでるぞ?)
湖の様子を探ろうとしたナオの視界に水面を動く物体を発見し、視点を変更させて正体を確かめた瞬間、ナオは驚きのあまりに目を見開いてしまう。
「ゆ、ユニコーンだ!!」
「ぶっ!?」
「きゃうっ!?」
唐突に大声を上げて立ち上がったナオにリーリスは飲み込もうとした水を噴き出し、その水がナイフとフォークで目玉焼きを切り分けようとしたジャンヌの顔に降りかかる。
※今回の投降の5秒前
リーリス「ふふふっ……アイリス様から以前に貰ったこのボタンを私が持っている事を作者は忘れていますね。ふんっ!!」
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カタナヅキ「な、なぜそれがここに!?(;´・ω・)」
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