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エルフ王国 決戦編
まさかの合流 〈なんか下の方が騒がしい気がするbyルノ〉
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「リン将軍、王族の方々は国王様の指示で転移しました」
「国王様が?一体どうして……」
「実はこの場に訪れた王族の方々には知らせていないのですが、世界樹の方で再び昆虫種の襲撃を受けました。しかも今回の侵入した昆虫種の数は計り知れず、現在は残った兵士が対応していますがこのままでは危うい状態だと……」
「そんな……!?」
世界樹の方にも万が一の場合に備えて兵士の大半は待機させていたが、エルフ王国の半数の森人族が送り込まれた時点で昆虫種の襲撃が激化し、世界樹の樹皮を食い破って至る場所から侵入してきた。国王は速やかに自分の子供達を転移させ、現在は昆虫種から民衆を守りながらも転移を続けているという。
兵士の半数は既に送り込まれ、更に戦力となる魔術師の兵士は転移結晶の使用のために魔力の殆どを吸収されて使い物にならず、現在は昆虫種の防衛は1000名足らずの兵士達で対応しているらしい。昆虫種も世界樹内の異変を悟ったかのように最終攻撃を開始したかのように退かずに襲撃を仕掛けていた。
「あとどれくらいで全員の避難が終了するのですか!?」
「既に避難から1日近くの時間が経過していますが、まだ世界樹内には多くの兵士と民衆が残っているはずです。全員が避難するには最低でもあと1時間近くはかかるかと……」
「1時間も……!?」
昆虫種の戦闘力を知っているリンは愕然とした表情を浮かべ、国王が自分の子供達を先に避難させた理由を悟る。彼はこのままでは全員が避難する前に昆虫種に殺されると悟り、ならば子供達だけでも生き延びさせようと彼等を送り込んだのだ。
現在も転移は続いており、次々と民衆が送り込まれてくる事から国王は最後まで自分が残って転移結晶を使用するつもりらしく、一国の王として一人でも多くの森人族を生き延びさせようとしている事は伺えた。だが、数が多すぎて全員を避難させる余裕はなく、しかも転移結晶に利用する魔石の数から考えても全員を避難させる事は出来ないだろう。
「リン将軍、国王様は限界まで国民を送り込んだ後、世界樹を爆破する事を決めました。魔王軍の策を利用し、出来る限りの昆虫種を道連れにして自害なさるおつもりです」
「そんな……どういう事です!?」
「王子たちには先に避難しているように指示されましたが、国王様は既に魔王軍から回収した爆発物を利用して世界樹を完全に爆破させるおつもりです。将軍には伝えたい言葉があるといっていました……今まで世話になった、と」
「国王様……!!」
自分の命を犠牲にしてでも民衆を救い、昆虫種を道連れにして世界樹と共に心中を考えている国王に対してリンは膝を崩し、彼女にとっても父親代わりだった国王がもうすぐ死ぬ事を告げられて冷静でいられるはずがない。しかし、既に転移を完了したリンに世界樹に戻る術はなく、嘆く事しか出来ない。
「どうしてこんな事に……魔王軍め、何故我々ばかりを狙う!?」
「将軍、落ち着いて下さい!!他の者に動揺を悟られては……?」
取り乱したリンは何度も地面に向けて拳を叩きつけ、無力な自分を呪う。そんな彼女を兵士は止めようとした時、不意に周囲の森人族の様子がおかしい事に気付く。
「おい、あれを見ろ……」
「な、何だあれ!?」
「でっかい……氷の船!?」
帝都が存在する方角から巨大な「氷の船」が空中を移動する光景に森人族達は唖然とした表情を浮かべ、その光景を見たリン達はすぐにこのような真似ができる魔術師に覚えがあり、驚愕の声を上げてしまう。
「あの氷の魔法は……まさか!?」
「る、ルノだ!!帝国の英雄、ルノが現れたぞ!!」
「あ、有り得ない……なんだあのバカでかい氷の船は!?前に見た竜よりも大きいではないか!?」
「信じられませんわ……」
氷の船の中には大勢の兵士と物資が詰め込まれており、エルフ王国の方角へ向けて進行していた。その様子を確認したリン達は慌てて上空の船に両手を振って自分達の存在を明かす。
「る、ルノ様!!こちらです!!我等はここにいます!!」
「おい、誰か狼煙を上げろ!!」
「いや、待て……誰かが飛び降りたぞ!?」
氷の船に合図を送る前に地上の様子に気付いたのか船の甲板から小さな影が飛び出すと、全身に風を纏わせて白原に降り立つ。その様子を見た兵士達が警戒心を露わにして武器を構えるが、降り立った人間を見てイヤンとリンが同時に駆けつけてきた。
「おおっ!!間違いない、やはりルノではないか!?」
「ルノ様……!!」
「……え、誰?そっちのお姉さんは見覚えがあるんだけど……」
飛翔術を利用して大地に降り立ったルノにデブリとリンは歓喜の表情を浮かべるが、ルノとしては以前と様変わりしてしまったデブリの姿に戸惑う。一体どうしてここに帝国軍が救援に向かったはずのエルフ王国の住民がここにいるのか疑問を抱いたルノは事情を尋ねる。
※酔っ払いに絡まれて今日は疲れました……申し訳ありませんが1話投稿です(; ̄д ̄)ハアッ
「国王様が?一体どうして……」
「実はこの場に訪れた王族の方々には知らせていないのですが、世界樹の方で再び昆虫種の襲撃を受けました。しかも今回の侵入した昆虫種の数は計り知れず、現在は残った兵士が対応していますがこのままでは危うい状態だと……」
「そんな……!?」
世界樹の方にも万が一の場合に備えて兵士の大半は待機させていたが、エルフ王国の半数の森人族が送り込まれた時点で昆虫種の襲撃が激化し、世界樹の樹皮を食い破って至る場所から侵入してきた。国王は速やかに自分の子供達を転移させ、現在は昆虫種から民衆を守りながらも転移を続けているという。
兵士の半数は既に送り込まれ、更に戦力となる魔術師の兵士は転移結晶の使用のために魔力の殆どを吸収されて使い物にならず、現在は昆虫種の防衛は1000名足らずの兵士達で対応しているらしい。昆虫種も世界樹内の異変を悟ったかのように最終攻撃を開始したかのように退かずに襲撃を仕掛けていた。
「あとどれくらいで全員の避難が終了するのですか!?」
「既に避難から1日近くの時間が経過していますが、まだ世界樹内には多くの兵士と民衆が残っているはずです。全員が避難するには最低でもあと1時間近くはかかるかと……」
「1時間も……!?」
昆虫種の戦闘力を知っているリンは愕然とした表情を浮かべ、国王が自分の子供達を先に避難させた理由を悟る。彼はこのままでは全員が避難する前に昆虫種に殺されると悟り、ならば子供達だけでも生き延びさせようと彼等を送り込んだのだ。
現在も転移は続いており、次々と民衆が送り込まれてくる事から国王は最後まで自分が残って転移結晶を使用するつもりらしく、一国の王として一人でも多くの森人族を生き延びさせようとしている事は伺えた。だが、数が多すぎて全員を避難させる余裕はなく、しかも転移結晶に利用する魔石の数から考えても全員を避難させる事は出来ないだろう。
「リン将軍、国王様は限界まで国民を送り込んだ後、世界樹を爆破する事を決めました。魔王軍の策を利用し、出来る限りの昆虫種を道連れにして自害なさるおつもりです」
「そんな……どういう事です!?」
「王子たちには先に避難しているように指示されましたが、国王様は既に魔王軍から回収した爆発物を利用して世界樹を完全に爆破させるおつもりです。将軍には伝えたい言葉があるといっていました……今まで世話になった、と」
「国王様……!!」
自分の命を犠牲にしてでも民衆を救い、昆虫種を道連れにして世界樹と共に心中を考えている国王に対してリンは膝を崩し、彼女にとっても父親代わりだった国王がもうすぐ死ぬ事を告げられて冷静でいられるはずがない。しかし、既に転移を完了したリンに世界樹に戻る術はなく、嘆く事しか出来ない。
「どうしてこんな事に……魔王軍め、何故我々ばかりを狙う!?」
「将軍、落ち着いて下さい!!他の者に動揺を悟られては……?」
取り乱したリンは何度も地面に向けて拳を叩きつけ、無力な自分を呪う。そんな彼女を兵士は止めようとした時、不意に周囲の森人族の様子がおかしい事に気付く。
「おい、あれを見ろ……」
「な、何だあれ!?」
「でっかい……氷の船!?」
帝都が存在する方角から巨大な「氷の船」が空中を移動する光景に森人族達は唖然とした表情を浮かべ、その光景を見たリン達はすぐにこのような真似ができる魔術師に覚えがあり、驚愕の声を上げてしまう。
「あの氷の魔法は……まさか!?」
「る、ルノだ!!帝国の英雄、ルノが現れたぞ!!」
「あ、有り得ない……なんだあのバカでかい氷の船は!?前に見た竜よりも大きいではないか!?」
「信じられませんわ……」
氷の船の中には大勢の兵士と物資が詰め込まれており、エルフ王国の方角へ向けて進行していた。その様子を確認したリン達は慌てて上空の船に両手を振って自分達の存在を明かす。
「る、ルノ様!!こちらです!!我等はここにいます!!」
「おい、誰か狼煙を上げろ!!」
「いや、待て……誰かが飛び降りたぞ!?」
氷の船に合図を送る前に地上の様子に気付いたのか船の甲板から小さな影が飛び出すと、全身に風を纏わせて白原に降り立つ。その様子を見た兵士達が警戒心を露わにして武器を構えるが、降り立った人間を見てイヤンとリンが同時に駆けつけてきた。
「おおっ!!間違いない、やはりルノではないか!?」
「ルノ様……!!」
「……え、誰?そっちのお姉さんは見覚えがあるんだけど……」
飛翔術を利用して大地に降り立ったルノにデブリとリンは歓喜の表情を浮かべるが、ルノとしては以前と様変わりしてしまったデブリの姿に戸惑う。一体どうしてここに帝国軍が救援に向かったはずのエルフ王国の住民がここにいるのか疑問を抱いたルノは事情を尋ねる。
※酔っ払いに絡まれて今日は疲れました……申し訳ありませんが1話投稿です(; ̄д ̄)ハアッ
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