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王都編
第18話 魔法の練習
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結局はマオは魔法学園には辿り着けず、今日は色々とあって疲れたので明日に魔法学園に行く事にした。通り魔の一件もあるため迂闊に外に出る事はできず、部屋に戻ったマオは食事の時間が訪れるまで休む事にした。
「ふうっ……」
椅子ではなく、ベッドの上に座り込むとマオは通り魔の事を思い出す。通り魔は逃げる際にマオを殺すと宣言し、その言葉を思い出すだけでマオは身体が震える。
もしも通り魔がマオの居場所を突き止めて襲い掛かってきた場合、マオは今度こそ殺されるかもしれない。昼間の時はたまたま魔法が相手の顔面に当たった事で退ける事に成功したが、仮に人気のない場所だったらマオは殺されていた。
(運が良かった……運?)
マオは自分が助かったのは幸運だったと考えるが、本当に運が良かっただけで命が助かったのかと不思議に思う。通り魔を撃退する事ができたのは自分が反撃したからであり、相手の顔面に魔法を当てたのは間違いなくマオ自身である。
(そうだ、あれは運なんかじゃない。僕があいつに逆らったから生き延びれたんだ)
役に立たないと思われていたマオの魔法だったが、使い方によっては相手を怯ませる事はできた。マオは今一度身体を起き上げ、小杖を取り出す。
「よし……アイス!!」
マオは魔法を唱えると杖先が青く光り輝き、そして2、3センチほどの氷の塊を生み出す。やはり最初に生み出した時と比べると小さな氷しか生み出せないが、この時にマオは杖の先端に浮かんだ氷を見てある事に気付く。
「あれ?」
今まで魔法を発動した時は勝手に氷の塊が杖の差した方向に向けて飛んで行ったが、今回は杖の先端部から離れようとしない。但し、杖に氷がくっついているというわけでもなく、杖の先端部から数せんちほど離れた位置に浮かんでいる。
試しにマオが杖を動かすと氷の欠片も勝手に動く。少し面白く思ったマオは思いっきり杖を振ると、氷の欠片は離れずに付いてくる。
「へえ、ぴったりと付いてくる。でも、なんでだろう?」
今まで魔法を発動した時は勝手に飛んでいった氷の欠片が杖の先端から離れない事にマオは疑問を抱き、これまで魔法を使用した時の事を思い出す。その結果、マオはこれまで魔法を発動した時と条件が異なる事を思い出す。
――最初にマオが魔法を発動した時、リオンから上空へ目掛けて魔法を放つように指示された。その後の宿屋でリオンに魔法を撃った時は彼は自分に向けて撃つように指示を出し、そして通り魔の時はマオが狙って魔法を撃った。
これらの経緯からマオは魔法を発動させる際、事前に「標的」を定めた状態で魔法を発動させていた。最初の時はリオンの指示通りに「上空」次は「リオン」その次は「通り魔」という標的を定めた状態でマオは魔法を発動させた。
しかし、今回の場合はマオは深く考えずに何となくで魔法を発動させた。標的がいない状態で発動した結果、氷の欠片は杖から離れずに浮かび続けたまま離れない。
「……これ、動かす事ができるのかな?」
マオは氷の欠片に視線を向け、この状態で標的を定めれば狙い撃ちできるのかを試す。部屋の中を見渡したマオは机の上に置かれている自分の荷物を発見し、その中から木彫りの熊の人形を取り出す。
この木彫りの人形はマオが旅の途中で立ち寄った街で販売していた土産物であり、熊の形をした人形が少し格好良いと思ったので購入した。しかし、こんな物を持っていても仕方がないのでマオは標的として定める。
「これぐらいの距離でいいかな……よし、行くぞ」
部屋の隅に移動したマオは机の上に置いた人形に狙いを定め、杖を構えると氷の欠片が人形に目掛けて飛ぶように念じる。
「行け!!」
マオの掛け声に反応したかのように氷の欠片が放たれ、真っ直ぐに木彫りの人形へ的中した。但し、欠片は当たった瞬間に砕けてしまい、人形を壊す事はできなかった。
「……あ、当たった」
人形を壊す事はできなかったが、氷の欠片を操作する事に成功したマオは驚きを隠せない。この時にマオは机の上を確認すると、砕けた氷は自然に解けて消えてしまう。氷が消えた場所には水滴すら残らず、どうやら魔法で生み出した氷は水分すら残さずに消えてしまうらしい。
机の上の人形を手にしたマオは改めて小杖を確認し、先ほどの事を思い出す。氷の欠片はマオの意思に従うように人形に目掛けて移動した。しかし、いくら当てる事に成功しても木彫りの人形を壊せないような威力では頼りにはできない。しかし、昼間の時のように相手の目などの「急所」を狙って攻撃すれば十分に役には立つ。
(この魔法、もう少し練習しようかな……)
魔法学園に入る前に魔法の練習をしておく事は悪い事ではないと考え、間もなく食事の時間なので練習は一旦中断する。食事を終えた後はマオは木彫りの人形以外を標的にした魔法の練習を行う事にした――
「ふうっ……」
椅子ではなく、ベッドの上に座り込むとマオは通り魔の事を思い出す。通り魔は逃げる際にマオを殺すと宣言し、その言葉を思い出すだけでマオは身体が震える。
もしも通り魔がマオの居場所を突き止めて襲い掛かってきた場合、マオは今度こそ殺されるかもしれない。昼間の時はたまたま魔法が相手の顔面に当たった事で退ける事に成功したが、仮に人気のない場所だったらマオは殺されていた。
(運が良かった……運?)
マオは自分が助かったのは幸運だったと考えるが、本当に運が良かっただけで命が助かったのかと不思議に思う。通り魔を撃退する事ができたのは自分が反撃したからであり、相手の顔面に魔法を当てたのは間違いなくマオ自身である。
(そうだ、あれは運なんかじゃない。僕があいつに逆らったから生き延びれたんだ)
役に立たないと思われていたマオの魔法だったが、使い方によっては相手を怯ませる事はできた。マオは今一度身体を起き上げ、小杖を取り出す。
「よし……アイス!!」
マオは魔法を唱えると杖先が青く光り輝き、そして2、3センチほどの氷の塊を生み出す。やはり最初に生み出した時と比べると小さな氷しか生み出せないが、この時にマオは杖の先端に浮かんだ氷を見てある事に気付く。
「あれ?」
今まで魔法を発動した時は勝手に氷の塊が杖の差した方向に向けて飛んで行ったが、今回は杖の先端部から離れようとしない。但し、杖に氷がくっついているというわけでもなく、杖の先端部から数せんちほど離れた位置に浮かんでいる。
試しにマオが杖を動かすと氷の欠片も勝手に動く。少し面白く思ったマオは思いっきり杖を振ると、氷の欠片は離れずに付いてくる。
「へえ、ぴったりと付いてくる。でも、なんでだろう?」
今まで魔法を発動した時は勝手に飛んでいった氷の欠片が杖の先端から離れない事にマオは疑問を抱き、これまで魔法を使用した時の事を思い出す。その結果、マオはこれまで魔法を発動した時と条件が異なる事を思い出す。
――最初にマオが魔法を発動した時、リオンから上空へ目掛けて魔法を放つように指示された。その後の宿屋でリオンに魔法を撃った時は彼は自分に向けて撃つように指示を出し、そして通り魔の時はマオが狙って魔法を撃った。
これらの経緯からマオは魔法を発動させる際、事前に「標的」を定めた状態で魔法を発動させていた。最初の時はリオンの指示通りに「上空」次は「リオン」その次は「通り魔」という標的を定めた状態でマオは魔法を発動させた。
しかし、今回の場合はマオは深く考えずに何となくで魔法を発動させた。標的がいない状態で発動した結果、氷の欠片は杖から離れずに浮かび続けたまま離れない。
「……これ、動かす事ができるのかな?」
マオは氷の欠片に視線を向け、この状態で標的を定めれば狙い撃ちできるのかを試す。部屋の中を見渡したマオは机の上に置かれている自分の荷物を発見し、その中から木彫りの熊の人形を取り出す。
この木彫りの人形はマオが旅の途中で立ち寄った街で販売していた土産物であり、熊の形をした人形が少し格好良いと思ったので購入した。しかし、こんな物を持っていても仕方がないのでマオは標的として定める。
「これぐらいの距離でいいかな……よし、行くぞ」
部屋の隅に移動したマオは机の上に置いた人形に狙いを定め、杖を構えると氷の欠片が人形に目掛けて飛ぶように念じる。
「行け!!」
マオの掛け声に反応したかのように氷の欠片が放たれ、真っ直ぐに木彫りの人形へ的中した。但し、欠片は当たった瞬間に砕けてしまい、人形を壊す事はできなかった。
「……あ、当たった」
人形を壊す事はできなかったが、氷の欠片を操作する事に成功したマオは驚きを隠せない。この時にマオは机の上を確認すると、砕けた氷は自然に解けて消えてしまう。氷が消えた場所には水滴すら残らず、どうやら魔法で生み出した氷は水分すら残さずに消えてしまうらしい。
机の上の人形を手にしたマオは改めて小杖を確認し、先ほどの事を思い出す。氷の欠片はマオの意思に従うように人形に目掛けて移動した。しかし、いくら当てる事に成功しても木彫りの人形を壊せないような威力では頼りにはできない。しかし、昼間の時のように相手の目などの「急所」を狙って攻撃すれば十分に役には立つ。
(この魔法、もう少し練習しようかな……)
魔法学園に入る前に魔法の練習をしておく事は悪い事ではないと考え、間もなく食事の時間なので練習は一旦中断する。食事を終えた後はマオは木彫りの人形以外を標的にした魔法の練習を行う事にした――
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