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王都編
第30話 魔法学園の生徒
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――魔法学園の学園長に頼まれて噂の少年が宿泊している宿屋に訪れたリンダは、魔法学園に通う生徒でもある。年齢は15才で学年は3年生であり、学園長のマリアとは叔母と姪の関係だった。
リンダはマリアに頼まれて噂の少年が魔法学園に迎えに来たのだが、まさか宿屋の玄関で遭遇するとは思わずに驚いてしまう。事前に情報集めて少年の特徴は知っていたため、リンダは目の前の子供が例の通り魔事件を解決した「マオ」という名前の少年だと見抜く。
(本当に子供だったんですね……)
マオの年齢は12才だと聞いているが、実年齢よりも少し幼く見えてしまう。しかし、彼が危険な殺人鬼を単独で捕まえる程の腕前の魔法使いなのは間違いなく、改めてリンダは彼に話しかけようとした。
「私は……」
「ご、ごめんなさい!!急いでいるので!!」
「えっ、ちょっ……」
自分を見て固まっていたリンダに対してマオは頭を下げると、駆け足で宿屋の外へ飛び出そうとした。今の彼は一刻も早く魔法学園に赴き、入学手続きを行わなければならなかった。
事情を知らないマオはリンダがまさか自分が入学を望む魔法学園の学園長が送り込んだ人物だとは気づかず、そのまま彼女を置いて魔法学園に向かおうとした。しかし、リンダは宿屋から出て行こうとするマオを見て咄嗟に足元に力を込める。
「待ちなさいっ!!」
「わあっ!?」
リンダは足元に力を込めた瞬間、彼女の両足に風が渦巻き、衝撃波のような風圧が発生した。後ろから発生した風圧にマオは危うく吹き飛ばされそうになるが、その風圧を利用してリンダは彼の先回りを行う。
「おっと……すいません」
「うぷっ!?」
マオの先回りをしたリンダは再び彼を抱き留め、転びそうになるのを抑え込む。またもやリンダの胸に顔を埋める事になったマオだが、今回は照れる余裕はなく、リンダが何をしたのか理解できずに戸惑う。
(何だ今の……まさか、魔法!?)
後方から物凄い音と風圧を感じ取ったマオはリンダが魔法を使った事を悟り、慌てて彼女から離れると身構えてしまう。リンダはマオの様子を見て慌てて落ち着かせる。
「す、すいません。驚かせてしまいましたね……私は貴方に危害を加えるつもりはありません。だから落ち着いて聞いて下さい」
「……な、何ですか?」
「私は決して怪しい者ではありません。実は……」
「あんたら、何を騒いでんだい!!」
リンダがマオを落ち着かせて自己紹介を行おうとした時、騒ぎを聞きつけたバルルが宿の外に飛び出す。彼女はマオと向かい合うリンダの姿を見て驚き、すぐに彼女が身に着けている服に気付く。
「あんた……その格好を見るところ、魔法学園の生徒だね?」
「はい、店の前でお騒がせてしまってすいません」
「えっ!?魔法学園の……!?」
魔法学園の生徒が着込む制服をリンダは身に着けており、その話を聞いたマオは驚く。一方でバルルの方は状況がよく分からずに首を傾げ、リンダはひとまずは彼女も交えて事情説明を行う――
――その後、リンダは自分が魔法学園の学園長の姪である事、叔母のマリアに頼まれて通り魔事件で一躍噂になった少年を迎えに来た事を話す。
マオとしては自分が知らない間に有名人として扱われていた事に驚き、しかも学園長が自分と会って話がしたいと言われて緊張してしまう。学園の入学手続きも兼ねてマオはリンダと共に魔法学園へ訪れる。
魔法学園の門の前に辿り着くと、大勢の子供達が登校していた。この学園に通えるのは国中から集められた魔術師の素質を持つ子供だけであり、彼等全員が魔法使いという事になる。
「うわぁっ……どれくらいの生徒がいるんですか?」
「そうですね、確か今年の入学者は10名ほどです。全校生徒の数は……100人ぐらいですね」
「100人もいるんですか!?」
魔法学園に通う生徒は100名程度であり、今年の入学者はマオを含めても11名しかいない。彼等全員が魔法を扱う資質を持ち合わせて生まれた存在であり、魔法の技術を磨くため、それと同時に魔法の力に驕らない人物に育て上げる教育を施すために国中から集められた子供達でもある。
学園には12才から入学し、卒業する時は18才を迎える。つまり、学年は1~6まで存在し、最高学年は6年生という事になる。ちなみに魔法学園といっても魔法の技術だけを磨くだけではなく、身体を鍛えたり、家庭の事情で文字の読み書きを学ぶ事ができなかった生徒のために勉強も教えている事をリンダからマオは説明を受けた。
「マオさんは文字の読み書きや数字の計算はできますか?」
「あ、はい……村の大人に教わりました」
「そうですか、なら良かったです」
マオの返事を聞いてリンダは彼の手を掴み、早速だが学園長室に向かおうとした。しかし、二人の後ろには何故か一緒に付いて来たバルルの姿があった。
リンダはマリアに頼まれて噂の少年が魔法学園に迎えに来たのだが、まさか宿屋の玄関で遭遇するとは思わずに驚いてしまう。事前に情報集めて少年の特徴は知っていたため、リンダは目の前の子供が例の通り魔事件を解決した「マオ」という名前の少年だと見抜く。
(本当に子供だったんですね……)
マオの年齢は12才だと聞いているが、実年齢よりも少し幼く見えてしまう。しかし、彼が危険な殺人鬼を単独で捕まえる程の腕前の魔法使いなのは間違いなく、改めてリンダは彼に話しかけようとした。
「私は……」
「ご、ごめんなさい!!急いでいるので!!」
「えっ、ちょっ……」
自分を見て固まっていたリンダに対してマオは頭を下げると、駆け足で宿屋の外へ飛び出そうとした。今の彼は一刻も早く魔法学園に赴き、入学手続きを行わなければならなかった。
事情を知らないマオはリンダがまさか自分が入学を望む魔法学園の学園長が送り込んだ人物だとは気づかず、そのまま彼女を置いて魔法学園に向かおうとした。しかし、リンダは宿屋から出て行こうとするマオを見て咄嗟に足元に力を込める。
「待ちなさいっ!!」
「わあっ!?」
リンダは足元に力を込めた瞬間、彼女の両足に風が渦巻き、衝撃波のような風圧が発生した。後ろから発生した風圧にマオは危うく吹き飛ばされそうになるが、その風圧を利用してリンダは彼の先回りを行う。
「おっと……すいません」
「うぷっ!?」
マオの先回りをしたリンダは再び彼を抱き留め、転びそうになるのを抑え込む。またもやリンダの胸に顔を埋める事になったマオだが、今回は照れる余裕はなく、リンダが何をしたのか理解できずに戸惑う。
(何だ今の……まさか、魔法!?)
後方から物凄い音と風圧を感じ取ったマオはリンダが魔法を使った事を悟り、慌てて彼女から離れると身構えてしまう。リンダはマオの様子を見て慌てて落ち着かせる。
「す、すいません。驚かせてしまいましたね……私は貴方に危害を加えるつもりはありません。だから落ち着いて聞いて下さい」
「……な、何ですか?」
「私は決して怪しい者ではありません。実は……」
「あんたら、何を騒いでんだい!!」
リンダがマオを落ち着かせて自己紹介を行おうとした時、騒ぎを聞きつけたバルルが宿の外に飛び出す。彼女はマオと向かい合うリンダの姿を見て驚き、すぐに彼女が身に着けている服に気付く。
「あんた……その格好を見るところ、魔法学園の生徒だね?」
「はい、店の前でお騒がせてしまってすいません」
「えっ!?魔法学園の……!?」
魔法学園の生徒が着込む制服をリンダは身に着けており、その話を聞いたマオは驚く。一方でバルルの方は状況がよく分からずに首を傾げ、リンダはひとまずは彼女も交えて事情説明を行う――
――その後、リンダは自分が魔法学園の学園長の姪である事、叔母のマリアに頼まれて通り魔事件で一躍噂になった少年を迎えに来た事を話す。
マオとしては自分が知らない間に有名人として扱われていた事に驚き、しかも学園長が自分と会って話がしたいと言われて緊張してしまう。学園の入学手続きも兼ねてマオはリンダと共に魔法学園へ訪れる。
魔法学園の門の前に辿り着くと、大勢の子供達が登校していた。この学園に通えるのは国中から集められた魔術師の素質を持つ子供だけであり、彼等全員が魔法使いという事になる。
「うわぁっ……どれくらいの生徒がいるんですか?」
「そうですね、確か今年の入学者は10名ほどです。全校生徒の数は……100人ぐらいですね」
「100人もいるんですか!?」
魔法学園に通う生徒は100名程度であり、今年の入学者はマオを含めても11名しかいない。彼等全員が魔法を扱う資質を持ち合わせて生まれた存在であり、魔法の技術を磨くため、それと同時に魔法の力に驕らない人物に育て上げる教育を施すために国中から集められた子供達でもある。
学園には12才から入学し、卒業する時は18才を迎える。つまり、学年は1~6まで存在し、最高学年は6年生という事になる。ちなみに魔法学園といっても魔法の技術だけを磨くだけではなく、身体を鍛えたり、家庭の事情で文字の読み書きを学ぶ事ができなかった生徒のために勉強も教えている事をリンダからマオは説明を受けた。
「マオさんは文字の読み書きや数字の計算はできますか?」
「あ、はい……村の大人に教わりました」
「そうですか、なら良かったです」
マオの返事を聞いてリンダは彼の手を掴み、早速だが学園長室に向かおうとした。しかし、二人の後ろには何故か一緒に付いて来たバルルの姿があった。
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