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魔法学園編
第50話 新しい攻撃手段
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――学生寮に戻って荷物を取ってきたマオは教卓の上に的当て人形代わりの置物を置く。これまでの旅路で手に入った代物をいくつか置き、その中で一番目立つのは熊の置物だった。
「うん、やっぱりこれがいいな」
熊の置物は最初に魔法を覚えたばかりの頃も的当てに利用し、これならば壊れても簡単に処分できる。改めてマオは置物に視線を向けると、小杖を構えて魔法の準備を行う。
意識を集中してマオは無詠唱で下級魔法を発動させると、杖の先端に氷塊が誕生する。氷塊を作り出したマオは置物に狙いを定め、この時にリオンの魔法を思い出す。
(リオンのスラッシュは……こんな感じかな?)
リオンが魔法を放った姿を思い返し、試しにマオは氷塊の形を変形させる。リオンのスラッシュは風の魔力を「三日月」のような形に変えて放ち、試しにマオは氷の形状を三日月へと変化させた。
「こんな感じかな?よし、行け!!」
氷塊を変形させるとマオは教卓の上に置いた置物に向けて氷塊を射出した。その結果、氷塊は見事に置物に衝突させる事に成功したが、置物は吹き飛んだだけで壊れる事はなかった。
「ありゃっ……勢いが弱かったかな?それとも切れ味が足りなかった?」
室内なのでマオは氷塊が壁にぶつからないように速度を落としたせいか、置物は吹っ飛んだだけで壊れはしなかった。マオは置物を拾い上げて調べると多少の凹みはあったが、切断はされていない。
「これじゃあ、ただぶつけただけだな……もっと切れ味を鋭くさせないといけないか?」
マオは小杖から離れた氷塊を引き寄せると、氷塊の形を確認する。三日月のような形に変化した氷の塊を観察し、より刃物のように鋭く研ぎ澄ませる事はできないのかを試す。
「よし、これならどうかな……」
先ほどよりも形を鋭くさせる事に成功したマオは置物を教卓に置き、もう一度だけ試してみる事にした。マオは小杖を構えて熊の置物に目掛けて氷塊を放つ。
氷塊は先ほどと同じ速度で突っ込むと、今度は置物を吹っ飛ばさずに衝突し、刃の部分が置物に食い込む。だが、破壊までには至らずに置物が食い込んだ状態で床に転げ落ちる。
「あっ……切れ味がまだ足りなかったかな?」
熊の木彫りの頭の部分に食い込んだ氷塊を見てマオは頬を掻き、先ほどよりも切れ味は鋭くなったがやはり勢いが足りずに完全には切断できない。木造製の人形を切れないようでは魔物との戦闘でも役に立つとは思えず、仕方なく攻撃手段を変えてみる。
(やっぱり部屋の中だと思いっきり魔法を飛ばせないからな……でも、あと少しで何か掴めそうな気がする)
木彫りの人形を破壊する事はできなかったが、傷つけただけでも一歩前進したと思い直したマオは考え込む。リオンの真似事をしていてもこれ以上はどうしようもなく、彼は他の攻撃手段を考える事にした。
――この時にマオの頭に思い浮かんだのは三年生のバルトが扱っていた「スライサー」という風属性の魔法だった。スライサーは風の魔力を円盤状に変化させ、その状態から渦巻を作り出す。リオンのスラッシュと同じように相手を切り裂く魔法だが、スラッシュと違う点はスライサーの場合は相手を切り刻む。
スライサーの威力は恐らくはスラッシュをも上回ると思われ、マオは試しに氷塊を円盤状へと変化を行う。この状態で周端を鋭く尖らせ、更に回転を加える事で威力を上昇させる。
「う、くっ……これ、結構難しいな」
氷塊の形状を変化させるところまでは問題はなかったが、回転を加える場合は回す事に集中し過ぎて上手く氷塊を飛ばす事ができない。それでもマオはゆっくりとだが教卓の上に木彫りの人形を置いて魔法を放つ。
「よし……やるぞ!!」
教卓の上に置かれた木彫りの人形に目掛けてマオは高速回転を加えた円盤型の氷塊を放つ。先ほどと比べると移動速度は格段に落ちたが、それでもゆっくりと標的へ接近する。
木彫りの人形に氷塊が触れる瞬間、マオは冷や汗を流す。そして遂に木彫りの人形に高速回転した円盤型の氷塊が衝突した途端、今度は首の部分を真っ二つに切り裂く事に成功した。
「やった!?」
マオは慌てて魔法を中断して木彫りの人形を確認すると、見事に真っ二つに切り裂かれていた。自分の魔法で人形を切り裂いた事にマオは驚きよりも嬉しさが増し、初めて高い攻撃性能を誇る魔法を編み出す事ができた。
「……よしっ!!」
自分の魔法で遂に木彫りの人形を破壊できた事にマオは嬉しく思い、後は練習を繰り返して技術を磨き、氷塊を高速回転させた状態でも高速移動できるようにならなければならない。
初めて攻撃性能が高い魔法を身に着けたマオは嬉しさのあまりに名前を付ける事にした。色々と考えた末にマオは今回の氷塊の攻撃手段の事を「氷刃《ブレイド》」と呼ぶ事にした。
「うん、やっぱりこれがいいな」
熊の置物は最初に魔法を覚えたばかりの頃も的当てに利用し、これならば壊れても簡単に処分できる。改めてマオは置物に視線を向けると、小杖を構えて魔法の準備を行う。
意識を集中してマオは無詠唱で下級魔法を発動させると、杖の先端に氷塊が誕生する。氷塊を作り出したマオは置物に狙いを定め、この時にリオンの魔法を思い出す。
(リオンのスラッシュは……こんな感じかな?)
リオンが魔法を放った姿を思い返し、試しにマオは氷塊の形を変形させる。リオンのスラッシュは風の魔力を「三日月」のような形に変えて放ち、試しにマオは氷の形状を三日月へと変化させた。
「こんな感じかな?よし、行け!!」
氷塊を変形させるとマオは教卓の上に置いた置物に向けて氷塊を射出した。その結果、氷塊は見事に置物に衝突させる事に成功したが、置物は吹き飛んだだけで壊れる事はなかった。
「ありゃっ……勢いが弱かったかな?それとも切れ味が足りなかった?」
室内なのでマオは氷塊が壁にぶつからないように速度を落としたせいか、置物は吹っ飛んだだけで壊れはしなかった。マオは置物を拾い上げて調べると多少の凹みはあったが、切断はされていない。
「これじゃあ、ただぶつけただけだな……もっと切れ味を鋭くさせないといけないか?」
マオは小杖から離れた氷塊を引き寄せると、氷塊の形を確認する。三日月のような形に変化した氷の塊を観察し、より刃物のように鋭く研ぎ澄ませる事はできないのかを試す。
「よし、これならどうかな……」
先ほどよりも形を鋭くさせる事に成功したマオは置物を教卓に置き、もう一度だけ試してみる事にした。マオは小杖を構えて熊の置物に目掛けて氷塊を放つ。
氷塊は先ほどと同じ速度で突っ込むと、今度は置物を吹っ飛ばさずに衝突し、刃の部分が置物に食い込む。だが、破壊までには至らずに置物が食い込んだ状態で床に転げ落ちる。
「あっ……切れ味がまだ足りなかったかな?」
熊の木彫りの頭の部分に食い込んだ氷塊を見てマオは頬を掻き、先ほどよりも切れ味は鋭くなったがやはり勢いが足りずに完全には切断できない。木造製の人形を切れないようでは魔物との戦闘でも役に立つとは思えず、仕方なく攻撃手段を変えてみる。
(やっぱり部屋の中だと思いっきり魔法を飛ばせないからな……でも、あと少しで何か掴めそうな気がする)
木彫りの人形を破壊する事はできなかったが、傷つけただけでも一歩前進したと思い直したマオは考え込む。リオンの真似事をしていてもこれ以上はどうしようもなく、彼は他の攻撃手段を考える事にした。
――この時にマオの頭に思い浮かんだのは三年生のバルトが扱っていた「スライサー」という風属性の魔法だった。スライサーは風の魔力を円盤状に変化させ、その状態から渦巻を作り出す。リオンのスラッシュと同じように相手を切り裂く魔法だが、スラッシュと違う点はスライサーの場合は相手を切り刻む。
スライサーの威力は恐らくはスラッシュをも上回ると思われ、マオは試しに氷塊を円盤状へと変化を行う。この状態で周端を鋭く尖らせ、更に回転を加える事で威力を上昇させる。
「う、くっ……これ、結構難しいな」
氷塊の形状を変化させるところまでは問題はなかったが、回転を加える場合は回す事に集中し過ぎて上手く氷塊を飛ばす事ができない。それでもマオはゆっくりとだが教卓の上に木彫りの人形を置いて魔法を放つ。
「よし……やるぞ!!」
教卓の上に置かれた木彫りの人形に目掛けてマオは高速回転を加えた円盤型の氷塊を放つ。先ほどと比べると移動速度は格段に落ちたが、それでもゆっくりと標的へ接近する。
木彫りの人形に氷塊が触れる瞬間、マオは冷や汗を流す。そして遂に木彫りの人形に高速回転した円盤型の氷塊が衝突した途端、今度は首の部分を真っ二つに切り裂く事に成功した。
「やった!?」
マオは慌てて魔法を中断して木彫りの人形を確認すると、見事に真っ二つに切り裂かれていた。自分の魔法で人形を切り裂いた事にマオは驚きよりも嬉しさが増し、初めて高い攻撃性能を誇る魔法を編み出す事ができた。
「……よしっ!!」
自分の魔法で遂に木彫りの人形を破壊できた事にマオは嬉しく思い、後は練習を繰り返して技術を磨き、氷塊を高速回転させた状態でも高速移動できるようにならなければならない。
初めて攻撃性能が高い魔法を身に着けたマオは嬉しさのあまりに名前を付ける事にした。色々と考えた末にマオは今回の氷塊の攻撃手段の事を「氷刃《ブレイド》」と呼ぶ事にした。
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