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魔法学園編
第150話 魔力量に拘るな
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「先生!!どうにかならないのかい!?魔力量を伸ばす方法は本当にないのかい?」
「今の所、魔力量が伸びるのは魔物を倒す以外の方法は確立されていないわ。こればかりは私でもどうにもできないし、そもそもそんな方法を知っていれば貴女を退学に追い込むような真似はさせなかったわ」
「……くそっ、どうしてマオだけがこんな目に!!」
バルルはマリアの言葉を聞いて苛立ちを隠しきれずに机を叩き、彼女としてはマオがどれだけ一流の魔術師になるために努力してきたのかはよく知っていた。努力の結果、彼は同世代の魔術師とは比べ物にならない魔力操作の技術を身に着け、上級生にも引けを取らぬ実力を身に着けた。
マリアは魔力量が低い事が彼の才能だと言ったが、実際には彼の目指す一流の魔術師になるには魔力量が低いのは大きな足かせとなる。どうにかバルルはマオの魔力量を伸ばす方法がないのかと今日まで調べてきたが、結局のところは現状ではマオの魔力量を一気に伸ばす方法はない。
「こうなったら毎日外に出して魔物を倒し続けさせるしか……」
「止めなさい、魔物との戦闘がどれほど危険な行為なのかは貴方が一番理解しているでしょう?それに無差別に魔物を倒しても何の意味もないわ、あくまでも魔法耐性を持つ魔物を倒さないと意味はないのよ」
「でも、他に方法はないんだろう!?」
「諦めも肝心よ。マオ君の魔力量を伸ばす方法に拘るのは止めなさい」
「だけど先生!!それじゃあ、あいつの目指す夢は叶わないんだよ!!」
一流の魔術師となって両親に楽をさせたいと思っているマオに魔力量を伸ばす方法はないと告げるなど、あまりにも残酷な決断をバルルができるはずがなかった。しかし、そんな彼女にマリアは淡々と答えた。
「バルル、よく覚えておきなさい。無理な物は無理なのよ」
「くっ……もういい!!だったら他の方法を探すまでさ!!」
「落ち着きなさいと言っているでしょう!!」
「っ!?」
珍しくマリアが大声を上げるとバルルは驚いた表情を浮かべ、そんな彼女にマリアはため息を吐きながら座り直すように促す。二人は互いに向き合う形で座り込み、頭冷やして話し合いを再開する。
「いくら頑張ろうと現状ではマオ君の魔力量を伸ばす事はできない、それを踏まえた上で今から私の言う事をよく考えなさい」
「考えろって……何をだい?」
「いいから黙って聞きなさい。私の言いたい事は魔力量を伸ばす事に拘る事を辞めなさい。それだけの話よ」
「ど、どういう意味だい?」
「考えろと言ったはずよ。あの子の師匠は貴女なんでしょう?だったら自分で考えてみなさい」
「何だよもう……」
親に叱られた子供のようにバルルは縮こまると、そんな彼女にマリアは笑みを浮かべて新しい紅茶を注ぐ。この時にバルルはマリアが淹れてくれた紅茶のカップが自分の物ではなく、マオの使っていたカップだと気付く。
「先生、それはあたしのじゃ……!?」
「……どうかしたのかしら?」
「待てよ、これってもしかして!!」
マリアに指摘しようとした瞬間、バルルは何かに気付いたかのようにマオのカップとマリアの持っているティーポットに視線を向けた。先ほどマリアはカップを魔術師の器、紅茶を魔力に例えた。
魔法を使うという行為はカップの中に入っている紅茶(魔力)を消費する事に等しく、この紅茶が空になった時は魔力切れ(死)を意味する。しかし、カップが空にならないように定期的に新しい紅茶を注げば問題はない。
「そ、そうか……そう言う事かい!!」
「どうやら思いついたようね」
「ああ、やっと分かったよ!!先生、あんたは最初から気付いていたんだね!?」
「さあ、私には何も分からないわ。それで何を思いついたのかしら?」
「はっ、よく言うよ!!」
答えに気付いたバルルは嬉しそうに立ち上がり、彼女がマオにするべき事は彼の魔力量を伸ばす事ではなく、彼の長所を伸ばす方法だと悟る。
「今のあいつがするべき事は魔力を伸ばす事じゃない、そうだろう先生!?」
「……それが貴女の思いついた答えかしら?」
「ああ、そうさ!!ようやく分かったよ……あいつが目指すべき方向を!!」
自信に満ちた表情で答えるバルルにマリアは少し疲れた表情を浮かべ、やっと彼女が自分で考えて答えに辿り着いた事に安堵する。マオの魔力量は現状では伸ばす方法はないが、魔力量を伸ばすのではなく、別の観点で彼の魔力を生かす方法がある事をバルルは見出す――
※その頃のマオ君
ミイナ「(・ω・)ノ耳かき」
マオ「(´Д`)ハウッ」
珍しくヒロインといちゃついているのに描写されない(笑)
「今の所、魔力量が伸びるのは魔物を倒す以外の方法は確立されていないわ。こればかりは私でもどうにもできないし、そもそもそんな方法を知っていれば貴女を退学に追い込むような真似はさせなかったわ」
「……くそっ、どうしてマオだけがこんな目に!!」
バルルはマリアの言葉を聞いて苛立ちを隠しきれずに机を叩き、彼女としてはマオがどれだけ一流の魔術師になるために努力してきたのかはよく知っていた。努力の結果、彼は同世代の魔術師とは比べ物にならない魔力操作の技術を身に着け、上級生にも引けを取らぬ実力を身に着けた。
マリアは魔力量が低い事が彼の才能だと言ったが、実際には彼の目指す一流の魔術師になるには魔力量が低いのは大きな足かせとなる。どうにかバルルはマオの魔力量を伸ばす方法がないのかと今日まで調べてきたが、結局のところは現状ではマオの魔力量を一気に伸ばす方法はない。
「こうなったら毎日外に出して魔物を倒し続けさせるしか……」
「止めなさい、魔物との戦闘がどれほど危険な行為なのかは貴方が一番理解しているでしょう?それに無差別に魔物を倒しても何の意味もないわ、あくまでも魔法耐性を持つ魔物を倒さないと意味はないのよ」
「でも、他に方法はないんだろう!?」
「諦めも肝心よ。マオ君の魔力量を伸ばす方法に拘るのは止めなさい」
「だけど先生!!それじゃあ、あいつの目指す夢は叶わないんだよ!!」
一流の魔術師となって両親に楽をさせたいと思っているマオに魔力量を伸ばす方法はないと告げるなど、あまりにも残酷な決断をバルルができるはずがなかった。しかし、そんな彼女にマリアは淡々と答えた。
「バルル、よく覚えておきなさい。無理な物は無理なのよ」
「くっ……もういい!!だったら他の方法を探すまでさ!!」
「落ち着きなさいと言っているでしょう!!」
「っ!?」
珍しくマリアが大声を上げるとバルルは驚いた表情を浮かべ、そんな彼女にマリアはため息を吐きながら座り直すように促す。二人は互いに向き合う形で座り込み、頭冷やして話し合いを再開する。
「いくら頑張ろうと現状ではマオ君の魔力量を伸ばす事はできない、それを踏まえた上で今から私の言う事をよく考えなさい」
「考えろって……何をだい?」
「いいから黙って聞きなさい。私の言いたい事は魔力量を伸ばす事に拘る事を辞めなさい。それだけの話よ」
「ど、どういう意味だい?」
「考えろと言ったはずよ。あの子の師匠は貴女なんでしょう?だったら自分で考えてみなさい」
「何だよもう……」
親に叱られた子供のようにバルルは縮こまると、そんな彼女にマリアは笑みを浮かべて新しい紅茶を注ぐ。この時にバルルはマリアが淹れてくれた紅茶のカップが自分の物ではなく、マオの使っていたカップだと気付く。
「先生、それはあたしのじゃ……!?」
「……どうかしたのかしら?」
「待てよ、これってもしかして!!」
マリアに指摘しようとした瞬間、バルルは何かに気付いたかのようにマオのカップとマリアの持っているティーポットに視線を向けた。先ほどマリアはカップを魔術師の器、紅茶を魔力に例えた。
魔法を使うという行為はカップの中に入っている紅茶(魔力)を消費する事に等しく、この紅茶が空になった時は魔力切れ(死)を意味する。しかし、カップが空にならないように定期的に新しい紅茶を注げば問題はない。
「そ、そうか……そう言う事かい!!」
「どうやら思いついたようね」
「ああ、やっと分かったよ!!先生、あんたは最初から気付いていたんだね!?」
「さあ、私には何も分からないわ。それで何を思いついたのかしら?」
「はっ、よく言うよ!!」
答えに気付いたバルルは嬉しそうに立ち上がり、彼女がマオにするべき事は彼の魔力量を伸ばす事ではなく、彼の長所を伸ばす方法だと悟る。
「今のあいつがするべき事は魔力を伸ばす事じゃない、そうだろう先生!?」
「……それが貴女の思いついた答えかしら?」
「ああ、そうさ!!ようやく分かったよ……あいつが目指すべき方向を!!」
自信に満ちた表情で答えるバルルにマリアは少し疲れた表情を浮かべ、やっと彼女が自分で考えて答えに辿り着いた事に安堵する。マオの魔力量は現状では伸ばす方法はないが、魔力量を伸ばすのではなく、別の観点で彼の魔力を生かす方法がある事をバルルは見出す――
※その頃のマオ君
ミイナ「(・ω・)ノ耳かき」
マオ「(´Д`)ハウッ」
珍しくヒロインといちゃついているのに描写されない(笑)
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