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出来る事を2
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荷物をそっと地面に降ろし、それに続くように俺達も降り立つ。
涼ちゃん自身に体調面に不具合がないか一応確認してみたが、本人はケロッとしており特に問題は無いらしい。彼女いわく元の世界では学校の友達と絶叫マシーンをよく乗っていたみたいで、この手の者はお手の元らしい。なんて逞しい子なのだろう。
「それにしても…凄く大きいお家。おうちと言うか、最早お屋敷だけど。」
「本当にな、上から見たら屋根しか見えなかったからここまで大きとは思わなかったなぁ。」
「二人とも、ずっとお屋敷を見てるのも不審だからさっさと届けちゃいなよ。」
「た、確かにそうだね。えーっと、お荷物お荷物は…アレみたいだよ。」
彼女が伝えてきた荷物。
何やら全体的に長細い…二メートル近い何かだ。まぁ、俺達が荷解きをして中身を確認する訳にはいかないので、そのまま渡すしかないんだが。
等と考えながら俺がその荷物を抱え、涼ちゃんには扉をノックしてもらった。
「ごめんくださーい!フェリシアさんいらっしゃいますか?」
「…はい。」
扉の幅が厚いのだろうか、それとも年季が入ってるのだろうか…キキィーーッという音を鳴らしながらゆっくりとそれは開き、中からは色白く、耳の長い…所謂エルフの少女が出てきた。
絹のような金の髪を靡かせ、深い翡翠色の瞳をこちらに不安げに揺らしながら見つめられた。とても魅力的な…色香がワッと拡がっているきがする…。
流石の涼ちゃんも半歩後ろに下がってしまい、俺の胸元に背を預けてしまっていた。彼女とは同性?だろうが、余りにも浮世離れした見た目をしているのだ飲まれてしまいそうなのも分かる。
「そ、その。郵便局の者です!!フェリシアさんにお届け物をお持ちしました。」
「…あぁ、アレね。」
「こちらの書類にサインをお願いします!!」
「……はい。」
サラサラと達筆なサインを書類に頂き、長細い荷物を細腕のフェリシアさんに渡そうと棒先を彼女に向けた。
「所で、どうして貴方達は昏睡状態にならないのかしら?」
「「え?」」
「あそこの男性二人は今にも倒れそうなのに、貴方たち問題なく元気だわ。秘密でもあるのかしら…それとも、貴方達には効かない不備があったのかしら…?」
「えっと…?お兄ちゃん?」
「…わ、わかんないな。…ヨハ、ン?!?!アルフレッド?!?!」
何言ってんだこの人…と思い、どう対処していいのか分からなくて班長であるヨハンに意見を聞こうと振り返ってみたら…近くの樹木に手を付き今にも倒れそうな二人がそこにいた。
フェリシアさんが先程言っていた通りだ。二人に駆け寄りヨハンの肩を揺さぶる。
「お、おい?!大丈夫?!」
「余り…揺らすな。…今すぐここから離れろ。奏多の底上げ力のおかげで意識を保ってられてるけど…これ以上ここにいると流石に無理だ。」
「………涼ちゃん!!」
声を荒らげ、義妹を呼ぶ。
早足で枯葉を踏む音が近づき、傍に来たことを確認した。
「な、なに?」
「フェリシアさんに荷物は渡した?」
「うん、終わったよ。」
「それじゃぁ…今から荷台に二人を載せるから。ちょっと二人とも体調を崩しちゃったみたいなんだ。一旦郵便局に戻ろう。」
「え?!そ、そうなの。私にも手伝えることある?」
「…ボードを三つ分飛ばすことかな。」
無理なのは分かっているんだが…今はこれしかないんだ。
フェリシアさんの方を見てみると…。
「あ、あれ?」
先程まで扉の所にいたエルフの女性がいなかった。扉は開いたままで、お屋敷内に入ったわけでもなさそう。
では、何処に?
幾ら周辺に家が見当たらないとは言え、施錠せずに立ち去ることは無いと思うのだが…。
そうグルグル考えていた。
その時。
「離れて!!!!!!!」
「…っ?!」
キィィィィィィン
耳元で高く金属音が擦れる音が辺り一面に響き渡ったと思ったら、白く陽光の様な光が視界を占拠した。すると、自分の周りの地面に覆い尽くす枯葉が宙を舞い、地響きが起こっているのか地震のように足元が激しく揺さぶられる。それによってヨハンもアルフレッドも立っていられず腰から転げてしまっていた。
涼ちゃんが、何やらフェリシアさんに光魔法の攻撃を放っていたらしい。
「な、なんだ!?」
「あははっ!!!なぁるほど。わかりました!!」
「っ近付かないでって言ってるでしょ!!!」
「確かに、あなた方に私の魔法が通じないのが理解出来ました。そりゃぁ無理ですよね……【聖女様】ならば。」
「…私達が聖女様だとして、何で攻撃をするの!!」
「私達エルフは縄張りを大切にする生き物ですからね。そこに邪魔者がくれば当然排除しますわ。」
「俺たちは配達人だ!!」
「それは理解してます。…当然無差別に攻撃することはしませんが…運が悪かったんですね。」
「…どういう事?」
「たまたま、ここ最近私は魔力が減少してしまいまして。それを補充する宛が欲しかったんです。」
「…それで、ここに来る者の魔力を吸おうと……?」
あんなにも綺麗だと思っていた彼女の瞳が、今は…吸い込まれそうなどす黒い奈落のような瞳で。
満月から緩りと三日月形に変わって、それはそれは楽しそうにうっとりと微笑んでいた。
「ご名答。」
涼ちゃん自身に体調面に不具合がないか一応確認してみたが、本人はケロッとしており特に問題は無いらしい。彼女いわく元の世界では学校の友達と絶叫マシーンをよく乗っていたみたいで、この手の者はお手の元らしい。なんて逞しい子なのだろう。
「それにしても…凄く大きいお家。おうちと言うか、最早お屋敷だけど。」
「本当にな、上から見たら屋根しか見えなかったからここまで大きとは思わなかったなぁ。」
「二人とも、ずっとお屋敷を見てるのも不審だからさっさと届けちゃいなよ。」
「た、確かにそうだね。えーっと、お荷物お荷物は…アレみたいだよ。」
彼女が伝えてきた荷物。
何やら全体的に長細い…二メートル近い何かだ。まぁ、俺達が荷解きをして中身を確認する訳にはいかないので、そのまま渡すしかないんだが。
等と考えながら俺がその荷物を抱え、涼ちゃんには扉をノックしてもらった。
「ごめんくださーい!フェリシアさんいらっしゃいますか?」
「…はい。」
扉の幅が厚いのだろうか、それとも年季が入ってるのだろうか…キキィーーッという音を鳴らしながらゆっくりとそれは開き、中からは色白く、耳の長い…所謂エルフの少女が出てきた。
絹のような金の髪を靡かせ、深い翡翠色の瞳をこちらに不安げに揺らしながら見つめられた。とても魅力的な…色香がワッと拡がっているきがする…。
流石の涼ちゃんも半歩後ろに下がってしまい、俺の胸元に背を預けてしまっていた。彼女とは同性?だろうが、余りにも浮世離れした見た目をしているのだ飲まれてしまいそうなのも分かる。
「そ、その。郵便局の者です!!フェリシアさんにお届け物をお持ちしました。」
「…あぁ、アレね。」
「こちらの書類にサインをお願いします!!」
「……はい。」
サラサラと達筆なサインを書類に頂き、長細い荷物を細腕のフェリシアさんに渡そうと棒先を彼女に向けた。
「所で、どうして貴方達は昏睡状態にならないのかしら?」
「「え?」」
「あそこの男性二人は今にも倒れそうなのに、貴方たち問題なく元気だわ。秘密でもあるのかしら…それとも、貴方達には効かない不備があったのかしら…?」
「えっと…?お兄ちゃん?」
「…わ、わかんないな。…ヨハ、ン?!?!アルフレッド?!?!」
何言ってんだこの人…と思い、どう対処していいのか分からなくて班長であるヨハンに意見を聞こうと振り返ってみたら…近くの樹木に手を付き今にも倒れそうな二人がそこにいた。
フェリシアさんが先程言っていた通りだ。二人に駆け寄りヨハンの肩を揺さぶる。
「お、おい?!大丈夫?!」
「余り…揺らすな。…今すぐここから離れろ。奏多の底上げ力のおかげで意識を保ってられてるけど…これ以上ここにいると流石に無理だ。」
「………涼ちゃん!!」
声を荒らげ、義妹を呼ぶ。
早足で枯葉を踏む音が近づき、傍に来たことを確認した。
「な、なに?」
「フェリシアさんに荷物は渡した?」
「うん、終わったよ。」
「それじゃぁ…今から荷台に二人を載せるから。ちょっと二人とも体調を崩しちゃったみたいなんだ。一旦郵便局に戻ろう。」
「え?!そ、そうなの。私にも手伝えることある?」
「…ボードを三つ分飛ばすことかな。」
無理なのは分かっているんだが…今はこれしかないんだ。
フェリシアさんの方を見てみると…。
「あ、あれ?」
先程まで扉の所にいたエルフの女性がいなかった。扉は開いたままで、お屋敷内に入ったわけでもなさそう。
では、何処に?
幾ら周辺に家が見当たらないとは言え、施錠せずに立ち去ることは無いと思うのだが…。
そうグルグル考えていた。
その時。
「離れて!!!!!!!」
「…っ?!」
キィィィィィィン
耳元で高く金属音が擦れる音が辺り一面に響き渡ったと思ったら、白く陽光の様な光が視界を占拠した。すると、自分の周りの地面に覆い尽くす枯葉が宙を舞い、地響きが起こっているのか地震のように足元が激しく揺さぶられる。それによってヨハンもアルフレッドも立っていられず腰から転げてしまっていた。
涼ちゃんが、何やらフェリシアさんに光魔法の攻撃を放っていたらしい。
「な、なんだ!?」
「あははっ!!!なぁるほど。わかりました!!」
「っ近付かないでって言ってるでしょ!!!」
「確かに、あなた方に私の魔法が通じないのが理解出来ました。そりゃぁ無理ですよね……【聖女様】ならば。」
「…私達が聖女様だとして、何で攻撃をするの!!」
「私達エルフは縄張りを大切にする生き物ですからね。そこに邪魔者がくれば当然排除しますわ。」
「俺たちは配達人だ!!」
「それは理解してます。…当然無差別に攻撃することはしませんが…運が悪かったんですね。」
「…どういう事?」
「たまたま、ここ最近私は魔力が減少してしまいまして。それを補充する宛が欲しかったんです。」
「…それで、ここに来る者の魔力を吸おうと……?」
あんなにも綺麗だと思っていた彼女の瞳が、今は…吸い込まれそうなどす黒い奈落のような瞳で。
満月から緩りと三日月形に変わって、それはそれは楽しそうにうっとりと微笑んでいた。
「ご名答。」
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