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屈辱だ。
この私がまさか妹に全てを奪われるなんて。
ダニエルとの浮気をした私は、ロイヤル王子と婚約破棄になり、国外追放に処された。
ダニエルの方は多額の慰謝料と子供を育てることで断罪とされたので、私よりは幾分罪が軽いようだ。
そのことも気に食わず、私は馬車の中で大きな舌打ちをする。
「くそっ……それに王子があのフィルのことなんて信じたのもおかしいわ。きっとあの子色目を使って、王子を誘惑したのね。じゃなきゃ王子があの子を信じるなんてことあるもんですか!」
私が一人でブツブツ言っていると、程なくして馬車が止まった。
どうやら追放先の隣国へと到着したらしい。
本当は森の中で私は追放される予定だったが、御者を誘惑して隣国まで連れてきてもらったのだ。
私が馬車から降りると、下心丸出しの御者が近づいてくる。
「へへっ……約束通り、ここまで連れてきてあげたんだ。今夜は一緒に愉しもうぜ」
「あんたみたいなゴミと寝るわけないでしょ」
私は吐き捨てるようにそう言うと、口に手を当てて、叫ぶ。
「きゃぁぁ!!! 誰か助けてぇ!!!」
「な、何を言って……!」
私の叫びに即座に貴族らしき男性が近づいてきた。
後ろには兵士を数人連れている。
「どうかなさいましたか?」
事態を察した御者は舌打ちをすると、逃げるように馬車に戻り走らせた。
馬車が見えなくなると、先ほど助けてくれた男性が私に言う。
「僕は第一王子のレオと申します。あの……失礼ですが、あなたのお名前を教えては頂けませんか?」
王子!?
私は内心驚きながらも、男性が好みそうな潤んだ目で答える。
「私はオレンダと申します。その……冤罪を着せられてこの国に……うっ……」
涙を浮かべると、王子は力強く私の肩に手を置いた。
「そんな! こんなに美しい女性に虚偽の罪を着せるとは!」
「いえ……私が悪いのです……でも、行くところもなくて……困っていて……」
「それなら王宮に来てください! 僕がしばらくの間……いや、人生をかけて面倒をみます!!!」
「いいのですか?」
「もちろんです。オレンダさん、どうか僕にあなたを守らせてください」
私は心の中だけでニヤリと微笑む。
国外追放になった時はどうしようかと思ったが、どうやら天は私に味方をしてくれているらしい。
王子は私を王宮に連れていくと、何から何まで面倒を見てくれた。
そして私に愛の告白をして、私はそれを受け入れた。
私は王妃になれる未来を垣間見て、この先に幸せがあるのを確信した。
しかしその幸せは突然に崩れ去った。
王子と外国へ旅行に行った帰りの馬車。
道の真ん中で突然に馬車が止まると、騒がしい人の声がした。
「王子。何かあったのでしょうか?」
王子は緊張した様子で頷くと、扉をゆっくりと開け、外に出て行く。
私も彼の後について外に出ると、そこにいたものに驚愕した。
そこには何体もの魔物がいて、馬車を取り囲んでいたのだ。
そして魔物の背後には、第二王子がいた。
「兄様! そして婚約者のオレンダよ! あなた方には今ここで死んでもらおう! 私が国王となるのだ!」
彼の叫びに反応して、魔物が私たちを襲ってくる。
どうやら私は王位継承権を巡る争いに巻き込まれたみたいだ。
護衛の兵士も倒され、魔物の牙が眼前に迫る。
「あ……死んだ……」
私の幸せは呆気なくそこで幕切れとなった。
この私がまさか妹に全てを奪われるなんて。
ダニエルとの浮気をした私は、ロイヤル王子と婚約破棄になり、国外追放に処された。
ダニエルの方は多額の慰謝料と子供を育てることで断罪とされたので、私よりは幾分罪が軽いようだ。
そのことも気に食わず、私は馬車の中で大きな舌打ちをする。
「くそっ……それに王子があのフィルのことなんて信じたのもおかしいわ。きっとあの子色目を使って、王子を誘惑したのね。じゃなきゃ王子があの子を信じるなんてことあるもんですか!」
私が一人でブツブツ言っていると、程なくして馬車が止まった。
どうやら追放先の隣国へと到着したらしい。
本当は森の中で私は追放される予定だったが、御者を誘惑して隣国まで連れてきてもらったのだ。
私が馬車から降りると、下心丸出しの御者が近づいてくる。
「へへっ……約束通り、ここまで連れてきてあげたんだ。今夜は一緒に愉しもうぜ」
「あんたみたいなゴミと寝るわけないでしょ」
私は吐き捨てるようにそう言うと、口に手を当てて、叫ぶ。
「きゃぁぁ!!! 誰か助けてぇ!!!」
「な、何を言って……!」
私の叫びに即座に貴族らしき男性が近づいてきた。
後ろには兵士を数人連れている。
「どうかなさいましたか?」
事態を察した御者は舌打ちをすると、逃げるように馬車に戻り走らせた。
馬車が見えなくなると、先ほど助けてくれた男性が私に言う。
「僕は第一王子のレオと申します。あの……失礼ですが、あなたのお名前を教えては頂けませんか?」
王子!?
私は内心驚きながらも、男性が好みそうな潤んだ目で答える。
「私はオレンダと申します。その……冤罪を着せられてこの国に……うっ……」
涙を浮かべると、王子は力強く私の肩に手を置いた。
「そんな! こんなに美しい女性に虚偽の罪を着せるとは!」
「いえ……私が悪いのです……でも、行くところもなくて……困っていて……」
「それなら王宮に来てください! 僕がしばらくの間……いや、人生をかけて面倒をみます!!!」
「いいのですか?」
「もちろんです。オレンダさん、どうか僕にあなたを守らせてください」
私は心の中だけでニヤリと微笑む。
国外追放になった時はどうしようかと思ったが、どうやら天は私に味方をしてくれているらしい。
王子は私を王宮に連れていくと、何から何まで面倒を見てくれた。
そして私に愛の告白をして、私はそれを受け入れた。
私は王妃になれる未来を垣間見て、この先に幸せがあるのを確信した。
しかしその幸せは突然に崩れ去った。
王子と外国へ旅行に行った帰りの馬車。
道の真ん中で突然に馬車が止まると、騒がしい人の声がした。
「王子。何かあったのでしょうか?」
王子は緊張した様子で頷くと、扉をゆっくりと開け、外に出て行く。
私も彼の後について外に出ると、そこにいたものに驚愕した。
そこには何体もの魔物がいて、馬車を取り囲んでいたのだ。
そして魔物の背後には、第二王子がいた。
「兄様! そして婚約者のオレンダよ! あなた方には今ここで死んでもらおう! 私が国王となるのだ!」
彼の叫びに反応して、魔物が私たちを襲ってくる。
どうやら私は王位継承権を巡る争いに巻き込まれたみたいだ。
護衛の兵士も倒され、魔物の牙が眼前に迫る。
「あ……死んだ……」
私の幸せは呆気なくそこで幕切れとなった。
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