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野獣と化した金髪
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同時期、ドイツ第三帝国 帝都ベルリン
総統官邸大ホール。
「ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ親衛隊大将。
対ソ連赤軍、および占領地全般における目覚ましき大功を賞し、ここにドイツ勲章を送るものである。」
ドイツ総統アドルフ・ヒトラー自らに、帝国最高位の勲章を授与される、191センチの長身の美丈夫。
漆黒のSS…親衛隊制服がこれ程似合う男も居まい。
「光栄であります。ハイル・ヒトラー!」
そのハイドリヒの肩を、ヒトラーはポンポンと叩く。
「ふふふ、貴君が編み出した『奴隷兵士制度』により、我が方のソ連攻略における兵力問題は一気に解決した。
ソ連制圧後も、それ以降の版図拡大も、これは極めて有効なものとなりうる。
流石としか言いようがない。
副総統の地位も近いかの。」
「は、いえ、とんでも御座いません。
私はあくまでマインフューラーの剣として…」
俺はツイているな。
今の状況がではない。
去る6月4日、彼が事実上の総督を務めるベーメン・メーレン保護領。
その領内を車で移動中、抵抗勢力…パルチザンの群れに襲撃されたのである。
よく単独とは言わないにせよ、皆無に等しい警備で気ままに行動するのを好むハイドリヒに対し、上官たるヒムラー親衛隊長官が普段から口うるさく忠告して来ていたのを、その日は何故か素直に受け入れる気になり、SSの精鋭10数名に自らを警護させた。
それ故に、怪我ひとつなく生き延び、ここに居られる。
むろんその後の「復讐」も徹底的に行った。
パルチザンの生き残りに吐かせた情報を元に、最終的には1000名近い領民を殺害することとなる。
そしてその後、ハイドリヒは今回の勲功の対象となる、悪魔の挙に出る。
まずは見せしめに、無作為に選んだ町や村を襲撃、女子供含め皆殺しにする。
その恐怖を衆目に刷り込み、更にはご丁寧にフィルムに一連の過程や結果を映し、それを後送されてきたソ連軍捕虜に見せる訳である。
そして、「我がドイツ軍の先鋒となって戦わねば、貴様らの家族もこうなる。」と脅迫し、瞬く間に10万強の「奴隷兵軍団」を誕生させたのである。
この手法にはヒムラーも感嘆し、ほぼ全ての前線のSSがそれに倣うこととなった。
(大隊長クラス以上の要職には親衛隊員を配置していた。)
因みに実際に奴隷兵達の家族は即席の収容所で拘束していた為、彼ら元ソ連兵達に残された道は、狂戦士と化してかつての同志同胞と殺し合う他は無かった。
その反面ハイドリヒは、家族との文通は許可し、また一定以上の武勲を立てた者には家族と2日程度共に過ごす時間を与える…などと言う『飴』もきちんと使い分けた為、大した反抗もサボタージュも起きていない。
いずれ抹殺するにしても、とことん役立ててから。
まさにナチス…もといNSDAPの精神をこれ程体現した男もおるまい。
その理想的アーリア人そのものの美貌も…。
ハイドリヒやヒムラーがホールを出た後、総統ヒトラーは秘書兼副官格のマルティン・ボルマンにひそかに耳打ちする。
「引き続き、奴から目を離すな。」
広大なソ連領は今や国土の55%をドイツに制圧され、ロシア時代も通して最大の危地に晒されていた。
総統官邸大ホール。
「ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ親衛隊大将。
対ソ連赤軍、および占領地全般における目覚ましき大功を賞し、ここにドイツ勲章を送るものである。」
ドイツ総統アドルフ・ヒトラー自らに、帝国最高位の勲章を授与される、191センチの長身の美丈夫。
漆黒のSS…親衛隊制服がこれ程似合う男も居まい。
「光栄であります。ハイル・ヒトラー!」
そのハイドリヒの肩を、ヒトラーはポンポンと叩く。
「ふふふ、貴君が編み出した『奴隷兵士制度』により、我が方のソ連攻略における兵力問題は一気に解決した。
ソ連制圧後も、それ以降の版図拡大も、これは極めて有効なものとなりうる。
流石としか言いようがない。
副総統の地位も近いかの。」
「は、いえ、とんでも御座いません。
私はあくまでマインフューラーの剣として…」
俺はツイているな。
今の状況がではない。
去る6月4日、彼が事実上の総督を務めるベーメン・メーレン保護領。
その領内を車で移動中、抵抗勢力…パルチザンの群れに襲撃されたのである。
よく単独とは言わないにせよ、皆無に等しい警備で気ままに行動するのを好むハイドリヒに対し、上官たるヒムラー親衛隊長官が普段から口うるさく忠告して来ていたのを、その日は何故か素直に受け入れる気になり、SSの精鋭10数名に自らを警護させた。
それ故に、怪我ひとつなく生き延び、ここに居られる。
むろんその後の「復讐」も徹底的に行った。
パルチザンの生き残りに吐かせた情報を元に、最終的には1000名近い領民を殺害することとなる。
そしてその後、ハイドリヒは今回の勲功の対象となる、悪魔の挙に出る。
まずは見せしめに、無作為に選んだ町や村を襲撃、女子供含め皆殺しにする。
その恐怖を衆目に刷り込み、更にはご丁寧にフィルムに一連の過程や結果を映し、それを後送されてきたソ連軍捕虜に見せる訳である。
そして、「我がドイツ軍の先鋒となって戦わねば、貴様らの家族もこうなる。」と脅迫し、瞬く間に10万強の「奴隷兵軍団」を誕生させたのである。
この手法にはヒムラーも感嘆し、ほぼ全ての前線のSSがそれに倣うこととなった。
(大隊長クラス以上の要職には親衛隊員を配置していた。)
因みに実際に奴隷兵達の家族は即席の収容所で拘束していた為、彼ら元ソ連兵達に残された道は、狂戦士と化してかつての同志同胞と殺し合う他は無かった。
その反面ハイドリヒは、家族との文通は許可し、また一定以上の武勲を立てた者には家族と2日程度共に過ごす時間を与える…などと言う『飴』もきちんと使い分けた為、大した反抗もサボタージュも起きていない。
いずれ抹殺するにしても、とことん役立ててから。
まさにナチス…もといNSDAPの精神をこれ程体現した男もおるまい。
その理想的アーリア人そのものの美貌も…。
ハイドリヒやヒムラーがホールを出た後、総統ヒトラーは秘書兼副官格のマルティン・ボルマンにひそかに耳打ちする。
「引き続き、奴から目を離すな。」
広大なソ連領は今や国土の55%をドイツに制圧され、ロシア時代も通して最大の危地に晒されていた。
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