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勇者と冥王のママは暁を魔王様と
第五章・星屑を抱いて4
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「ゼロス、ご挨拶してください。精霊王フェルベオ様と、精霊王直属護衛長官のジェノキスです。あなたが赤ちゃんの頃にたくさんお世話になっているんですよ?」
「うーん、おぼえてない……」
首を傾げたゼロスに苦笑してしまう。
そうでしょうね、あなた、アベルやエルマリスのことも覚えていませんでしたから。でも赤ちゃんの頃だったので仕方ありませんね。
「覚えていなくても、ご挨拶はできますね?」
「う、うん」
足に抱きついているゼロスを促すと、おどおどした様子で前に出てきます。
「……こ、こんにちは、ゼロスです。めいおう、です」
「上手にご挨拶できましたね。偉かったですよ?」
褒めるとゼロスがパッと嬉しそうな顔をします。
誇らしげにしつつも私に向かって両手を差しだしました。
「うん、ぼくじょうず! ブレイラ、だっこして!」
「はいはい」
上手にご挨拶はできましたが、やっぱり抱っこが必要なようです。
私がゼロスを抱っこするとフェルベオが覗き込んできました。
「これが冥王か、随分大きくなったな。以前は喋れなかったというのに」
「まだ赤ん坊でしたから」
「ああ、懐かしい。このまま冥王との語らいを楽しみたいところだが」
フェルベオはそこで言葉を切ると、ベッドにいるイスラを見ました。
今日はイスラの見舞いで魔界を訪れたのです。でもそれだけではありませんよね、きっと精霊界でも何かが起きているのでしょう。精霊王がみずから動くほどの何かが。
「勇者殿、腕を診させてもらうぞ」
フェルベオがイスラの枕元に立って切断された左腕を見ました。
しばらく確認していましたが、「なるほど……」と頷いて顔をあげます。
「魔王から聞いていたとおり古い禁術の力を感じる。切断されたのに、奪われた腕に神経も力も繋がっているようだ……。精霊界の研究者にも調査させよう。この禁術のことが分かれば腕以外にも薬のことが分かるかもしれないからな」
「薬?」
疑問に思って聞くとフェルベオだけでなくハウストも厳しい顔になりました。
ハウストは深刻な様子で頷くと、今回の一件を話してくれます。
「ブレイラ、以前から魔界の市中に薬が出回っていることは話していただろう」
「……えっと、あの、合法とは聞いてますが、あの、……び、媚薬のことですよね」
媚薬。口にするのも躊躇われてしまいます。
しかし躊躇いと羞恥を感じたのは私だけで、ハウストもフェルベオもジェノキスも、イスラさえもまったく気にする様子はありません。深刻な様子のままです。
……コホンッ、と誤魔化しの咳払いを一つ。…………私だけ意識して、なんだか恥ずかしい。
「そうだ、だが調査を進めるとそれだけじゃなかった。この前、酒場で男が持っていた薬の出所も同じだったんだ。出所はナフカドレ教団。教団の信仰者が魔界や精霊界にも流出させていた」
「精霊界にまで……。エルマリスから教団に魔族や精霊族も増えていると聞きました。ピエトリノ遺跡にある神殿に行ったまま帰ってこなくなってしまう方もいるとか。もしかして、それで精霊王様やジェノキスもここに?」
ジェノキスを見ると、彼は重く頷いて説明してくれます。
ナフカドレ教団の問題はもはや人間界の問題だけではなくなっていたのです。
「ああ。精霊界でも薬が出回りだしたのと同時期に、精霊族が人間界で行方不明になる者が増えだした。そして今回、モルダニア大国に出現した怪物の中に行方不明になっていた精霊族が確認されたんだ」
「そうですか、教団の信仰がそこまで……。教団の目的はいったいなんなんでしょうか」
「調査によるとナフカドレ教団の目的は一つ、――――人間界の統一だ。教団は大司教の元で人間界の意志を一つにし、統一しようとしている」
人間界の統一。
息を飲みました。その絶望的な目的に唇を噛み締めます。
なんの目的で、どんな思いがあって統一を望むのかは知りません。でも人間界にはたくさんの国があって、そこには数えきれないほどの人々が生きているのです。
それなのに人間界の意志を一つにし、統一しようとする恐ろしさ。
「……おい、人間界は今どうなっている」
ふとイスラが口を開きました。
見ると、まるでここにはいない敵を睨むように目を据わらせています。
威迫を纏うイスラに、「落ち着けよ」とジェノキスが前置きして現在の状況を話しだします。
「今、人間界はひどい混乱状態だ。アベルからの報せによると、人間界の各国にいた信仰者たちが蜂起してピエトリノ遺跡の神殿に集まっている。特にモルダニア大国みたいに国王が信仰者だったところは悲惨だ、信仰者でない国民も国王命令で無理やり神殿に連行されている。街一つが空っぽになったところもあるくらいだ」
「街一つが……。そ、そんなことが可能なんですか?」
「本来なら不可能だが、それを可能にする力を教団は手に入れたんだ」
「まさか、その力はイスラの……」
「ああ、奪われた勇者の腕だ。禁術について謎は多いが、教団の権威を示す象徴として利用されている。モルダニア大国以外にも教団に国を譲渡する国が出てきているのは、おそらく教団が勇者の腕を手に入れたからだ」
「そんなっ……」
想像を絶する事態でした。
信仰者は分かっていただけで人間界全土に四百万人いると聞いています。
しかし実際にはそれ以上に信仰者がいて、現在そのすべてがピエトリノ遺跡の神殿に集まっているのです。街一つを空っぽにするほどのそれは、小国であれば国自体の根幹を揺るがすほど人々が移動しているということでした。
そして教団の目的は人間界の統一。イスラの力を利用し、信仰者を増やして人間界を一つにするつもりなのです。
――――ガタンッ!
「イスラ?!」
抱っこしていたゼロスを置いて、慌ててイスラに駆け寄りました。
イスラがベッドから転げ落ちたのです。
「危ないじゃないですか!」
「ブレイラ……」
「ベッドに戻りなさいっ」
焦りながらもイスラを支え起こしました。
イスラはベッドから起き上がろうとしたものの、左腕を失くしてバランスを取れなかったのです。
イスラをベッドに戻そうとしているとハウストが手伝ってくれます。
「貸せ」
「ありがとうございます」
私からイスラを引き取って、ハウストがベッドに戻してくれます。
でも。
「まだ動くのは早い。今は休め」
ハウストがイスラに言いました。
イスラは悔しそうに奥歯を噛み締めます。
ハウストの言葉とイスラの反応に、背筋にゾワリッと冷たいものが駆け上がる。
ここにいるのは王なのです。ハウストも、フェルベオも、ゼロスも、イスラもっ!
ハウストとイスラは親子ですが同格の王でもあるのです。王は、王に王であれと望みます。それはハウストだけでなくフェルベオも。他にもジェノキスやフェリクトール、それだけではありません、この四界に生きている全ての民が、王は王であれと!
「――――は、離れてください!!」
思わずハウストを押しのけていました。
ハウストを押しのけて、私がイスラを支えます。
でも、「ブレイラ?」と目を丸めたハウストと目が合って、はっと我に返りました。
「っ、すみませんっ……。無礼な真似をしました……」
我に返って自分のしてしまったことに青褪めました。
しかしイスラを離したくなくて、王たちの元に渡したくなくて、イスラを支える両腕に力を込める。
非力な私ではなんの支えにもならないけれど、今は離したくなかったのです。
「……気にしなくていい。ブレイラ」
改めて呼ばれ、ハウストに顔を向けます。
居た堪れなくて目を合わせ辛かったけれど、ハウストは少し困ったような顔で私を見ていました。
「お前も少し休め」
「…………疲れてません」
「駄目だ、休め。イスラは目を覚ました。一命も取りとめて容態が急変する危険も少ない。だから休め、いいな」
強めの口調で言われて何も言い返せずに黙り込んでしまいます。
ハウストは怒っている訳ではなく、私を心配してくれているだけなのです。
それは分かっています。分かっているけれど、ここにいる皆は王ではないですか。王は、イスラも王であることを求めるのでしょう。
私はイスラに強い王であることを望みますが、犠牲になれと望んだことは一度もありません。
「ブレイラ」
ふと呼ばれました。イスラです。
イスラは大丈夫だとでもいうように私に笑いかけてくれました。
「ブレイラ、俺も休んだ方がいいと思う。ずっと側にいてくれて嬉しかった」
「イスラ……」
「だから、ブレイラも休め」
「…………どこにも行きませんか?」
「行かない」
「さっきはベッドから勝手に降りたじゃないですか」
「さっきは驚いて、よく考えてなかっただけだ」
「……どこにも行きませんか?」
繰り返した私にイスラが苦笑しました。
「行かない。さすがにまだ体は動かさない」
「…………分かりました。今夜は休みます」
答えるとイスラが安心した顔になりました。
私はイスラがどこにも行かないのなら休みます。約束ですよ、本当はひと時も目を離したくないくらいなのですから。
「うーん、おぼえてない……」
首を傾げたゼロスに苦笑してしまう。
そうでしょうね、あなた、アベルやエルマリスのことも覚えていませんでしたから。でも赤ちゃんの頃だったので仕方ありませんね。
「覚えていなくても、ご挨拶はできますね?」
「う、うん」
足に抱きついているゼロスを促すと、おどおどした様子で前に出てきます。
「……こ、こんにちは、ゼロスです。めいおう、です」
「上手にご挨拶できましたね。偉かったですよ?」
褒めるとゼロスがパッと嬉しそうな顔をします。
誇らしげにしつつも私に向かって両手を差しだしました。
「うん、ぼくじょうず! ブレイラ、だっこして!」
「はいはい」
上手にご挨拶はできましたが、やっぱり抱っこが必要なようです。
私がゼロスを抱っこするとフェルベオが覗き込んできました。
「これが冥王か、随分大きくなったな。以前は喋れなかったというのに」
「まだ赤ん坊でしたから」
「ああ、懐かしい。このまま冥王との語らいを楽しみたいところだが」
フェルベオはそこで言葉を切ると、ベッドにいるイスラを見ました。
今日はイスラの見舞いで魔界を訪れたのです。でもそれだけではありませんよね、きっと精霊界でも何かが起きているのでしょう。精霊王がみずから動くほどの何かが。
「勇者殿、腕を診させてもらうぞ」
フェルベオがイスラの枕元に立って切断された左腕を見ました。
しばらく確認していましたが、「なるほど……」と頷いて顔をあげます。
「魔王から聞いていたとおり古い禁術の力を感じる。切断されたのに、奪われた腕に神経も力も繋がっているようだ……。精霊界の研究者にも調査させよう。この禁術のことが分かれば腕以外にも薬のことが分かるかもしれないからな」
「薬?」
疑問に思って聞くとフェルベオだけでなくハウストも厳しい顔になりました。
ハウストは深刻な様子で頷くと、今回の一件を話してくれます。
「ブレイラ、以前から魔界の市中に薬が出回っていることは話していただろう」
「……えっと、あの、合法とは聞いてますが、あの、……び、媚薬のことですよね」
媚薬。口にするのも躊躇われてしまいます。
しかし躊躇いと羞恥を感じたのは私だけで、ハウストもフェルベオもジェノキスも、イスラさえもまったく気にする様子はありません。深刻な様子のままです。
……コホンッ、と誤魔化しの咳払いを一つ。…………私だけ意識して、なんだか恥ずかしい。
「そうだ、だが調査を進めるとそれだけじゃなかった。この前、酒場で男が持っていた薬の出所も同じだったんだ。出所はナフカドレ教団。教団の信仰者が魔界や精霊界にも流出させていた」
「精霊界にまで……。エルマリスから教団に魔族や精霊族も増えていると聞きました。ピエトリノ遺跡にある神殿に行ったまま帰ってこなくなってしまう方もいるとか。もしかして、それで精霊王様やジェノキスもここに?」
ジェノキスを見ると、彼は重く頷いて説明してくれます。
ナフカドレ教団の問題はもはや人間界の問題だけではなくなっていたのです。
「ああ。精霊界でも薬が出回りだしたのと同時期に、精霊族が人間界で行方不明になる者が増えだした。そして今回、モルダニア大国に出現した怪物の中に行方不明になっていた精霊族が確認されたんだ」
「そうですか、教団の信仰がそこまで……。教団の目的はいったいなんなんでしょうか」
「調査によるとナフカドレ教団の目的は一つ、――――人間界の統一だ。教団は大司教の元で人間界の意志を一つにし、統一しようとしている」
人間界の統一。
息を飲みました。その絶望的な目的に唇を噛み締めます。
なんの目的で、どんな思いがあって統一を望むのかは知りません。でも人間界にはたくさんの国があって、そこには数えきれないほどの人々が生きているのです。
それなのに人間界の意志を一つにし、統一しようとする恐ろしさ。
「……おい、人間界は今どうなっている」
ふとイスラが口を開きました。
見ると、まるでここにはいない敵を睨むように目を据わらせています。
威迫を纏うイスラに、「落ち着けよ」とジェノキスが前置きして現在の状況を話しだします。
「今、人間界はひどい混乱状態だ。アベルからの報せによると、人間界の各国にいた信仰者たちが蜂起してピエトリノ遺跡の神殿に集まっている。特にモルダニア大国みたいに国王が信仰者だったところは悲惨だ、信仰者でない国民も国王命令で無理やり神殿に連行されている。街一つが空っぽになったところもあるくらいだ」
「街一つが……。そ、そんなことが可能なんですか?」
「本来なら不可能だが、それを可能にする力を教団は手に入れたんだ」
「まさか、その力はイスラの……」
「ああ、奪われた勇者の腕だ。禁術について謎は多いが、教団の権威を示す象徴として利用されている。モルダニア大国以外にも教団に国を譲渡する国が出てきているのは、おそらく教団が勇者の腕を手に入れたからだ」
「そんなっ……」
想像を絶する事態でした。
信仰者は分かっていただけで人間界全土に四百万人いると聞いています。
しかし実際にはそれ以上に信仰者がいて、現在そのすべてがピエトリノ遺跡の神殿に集まっているのです。街一つを空っぽにするほどのそれは、小国であれば国自体の根幹を揺るがすほど人々が移動しているということでした。
そして教団の目的は人間界の統一。イスラの力を利用し、信仰者を増やして人間界を一つにするつもりなのです。
――――ガタンッ!
「イスラ?!」
抱っこしていたゼロスを置いて、慌ててイスラに駆け寄りました。
イスラがベッドから転げ落ちたのです。
「危ないじゃないですか!」
「ブレイラ……」
「ベッドに戻りなさいっ」
焦りながらもイスラを支え起こしました。
イスラはベッドから起き上がろうとしたものの、左腕を失くしてバランスを取れなかったのです。
イスラをベッドに戻そうとしているとハウストが手伝ってくれます。
「貸せ」
「ありがとうございます」
私からイスラを引き取って、ハウストがベッドに戻してくれます。
でも。
「まだ動くのは早い。今は休め」
ハウストがイスラに言いました。
イスラは悔しそうに奥歯を噛み締めます。
ハウストの言葉とイスラの反応に、背筋にゾワリッと冷たいものが駆け上がる。
ここにいるのは王なのです。ハウストも、フェルベオも、ゼロスも、イスラもっ!
ハウストとイスラは親子ですが同格の王でもあるのです。王は、王に王であれと望みます。それはハウストだけでなくフェルベオも。他にもジェノキスやフェリクトール、それだけではありません、この四界に生きている全ての民が、王は王であれと!
「――――は、離れてください!!」
思わずハウストを押しのけていました。
ハウストを押しのけて、私がイスラを支えます。
でも、「ブレイラ?」と目を丸めたハウストと目が合って、はっと我に返りました。
「っ、すみませんっ……。無礼な真似をしました……」
我に返って自分のしてしまったことに青褪めました。
しかしイスラを離したくなくて、王たちの元に渡したくなくて、イスラを支える両腕に力を込める。
非力な私ではなんの支えにもならないけれど、今は離したくなかったのです。
「……気にしなくていい。ブレイラ」
改めて呼ばれ、ハウストに顔を向けます。
居た堪れなくて目を合わせ辛かったけれど、ハウストは少し困ったような顔で私を見ていました。
「お前も少し休め」
「…………疲れてません」
「駄目だ、休め。イスラは目を覚ました。一命も取りとめて容態が急変する危険も少ない。だから休め、いいな」
強めの口調で言われて何も言い返せずに黙り込んでしまいます。
ハウストは怒っている訳ではなく、私を心配してくれているだけなのです。
それは分かっています。分かっているけれど、ここにいる皆は王ではないですか。王は、イスラも王であることを求めるのでしょう。
私はイスラに強い王であることを望みますが、犠牲になれと望んだことは一度もありません。
「ブレイラ」
ふと呼ばれました。イスラです。
イスラは大丈夫だとでもいうように私に笑いかけてくれました。
「ブレイラ、俺も休んだ方がいいと思う。ずっと側にいてくれて嬉しかった」
「イスラ……」
「だから、ブレイラも休め」
「…………どこにも行きませんか?」
「行かない」
「さっきはベッドから勝手に降りたじゃないですか」
「さっきは驚いて、よく考えてなかっただけだ」
「……どこにも行きませんか?」
繰り返した私にイスラが苦笑しました。
「行かない。さすがにまだ体は動かさない」
「…………分かりました。今夜は休みます」
答えるとイスラが安心した顔になりました。
私はイスラがどこにも行かないのなら休みます。約束ですよ、本当はひと時も目を離したくないくらいなのですから。
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