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16歳の俺
第4王子16歳 1
いや、まて、これは先ほどの延長戦でもしかしたら、またさっくり殺されたり、俺の関係者が死んでしまうかもしれん!ええい、どうやったらこの悪夢は終わるんだ!あの水たまり!今度会ったら火あぶりにして蒸発させて、小さくしてやるぅ!
うがああっと頭をかき混ぜてぴたりっと動きを止める。よくよく見れば部屋自体広くて綺麗で、ここ絶対孤児院じゃない。
立ち上がろうとしてぐらりっと体が傾いた。慌てて何かに掴まろうとして机の上の水瓶ひっくり返した。しかも派手な音立てて壊してしまった。
「うっわ、やっべぇ!」
慌てて壊していない状態まで戻し、ほっと息を吐く。そして何事もなかったようにそれを机に戻して、ゆっくりと立ち上がる。くらっと一瞬眩暈がしたが大したものではない。ふるふると頭を振って、一歩踏み出して、急速に息が上がるのを感じた。体が重く、ぜーぜーっと少し歩いただけで疲れる。なんだこれ、もうすでに盛られてる?
ふーっと息を吐いて落ち着かせているとばたばたと足音が聞こえた。しかもそれが近づいてくるので慌てて扉の死角に入る。
ばんっと勢いよく扉が開き、かつかつっと足音を鳴らしてベッドに茶髪の男が向かった。後頭部しか見えないが、男だ。というか、なんだろ、空気がピリピリしてる。怖い。
そこまで認識した後にそっと出ていこうと相手を見つめながらそろそろと足を運ぶとぐるんっとその首が動いた。
ぎらっとその緑色の瞳が光り、ひっと俺は悲鳴を上げた。
「ご、ごめんなさい!」
よく顔見れなかったけど、やばそう!逃げるが勝ちだ!うん!
こけそうになりながら慌ててよく動かない足を動かし廊下を走る。後ろから徐々に足音が近づいてくるのを聞きながら、角を曲がって、あっと声をあげる。
そこには俺と同じような落ち着いた赤色の髪の男がいて、俺は慌てて身を引くがずるっと足が滑り後方に体が傾いていく。
「ちょっ!?」
「―――っ!」
衝撃に目をつぶるが、ぐいっと腕を掴まれて引っ張られた。それからぽすんっと抱きしめられて俺は、恐る恐る目を開けると正面からぶつかりそうになったあの男がはあっと息を吐いた。
「大丈夫?足捻ってない?」
「え、あ、はい。すみませんでした」
「いいよ。お前は俺の……だし」
ん?ちょっと聞き取れなかったんだけど。いや、いい!聞き返すなよ俺!こういうパターンは良くないこと起きるから!
一瞬芽生えた疑問を口にしようとしてぐっと押える。危ない。
「殿下!」
「……っ!?」
その声にばっと振り向けばあの茶髪の男がいた。それから、その男が発した言葉を反芻させる。
殿下って言わなかった?この男、王族……?
ひくっと頬をひきつらせてそっと手をあげた。
「も、申し訳あ……」
「殿下っ!先ほど起きられたばかりでそのように走り回ってはいけません!どうか、お部屋にお戻りください」
「え……?」
あれ、俺のこと言ってる君?いや、殿下って、いやいやいや。もしやこれあの悪夢の延長?俺、そろそろ殺される?死んじゃう?
そんな事を考えていたらそっとその茶髪の男が手を出してきたので思わずびくっと体を震わせてしまう。
さっきの顔怖かったからつい……。
とはいえ、怪しまれないためにもここは手を取って帰った方がいいんだろう。
そっと手を出そうとしたら、その前にばしんっと彼の手ははたかれた。
「ちょっと、どの面下げてこの子をエスコートしようって?怖がってるのわかんないの?」
「……殿下は目覚めたばかりで混乱しているだけですよ」
「それだけ?この子は基本的に物怖じしない子だよ。君が何かしたんじゃないの?」
「していません」
「……あっそ、でも怖がってるからこの子は俺が連れていく。いいね」
「しかしユアン殿下は公務でお忙しいでしょう?」
「俺のお、お……。兎に角!ただ連れて行くだけで時間はかからないから!」
すると、ひょいっと彼は俺の体を抱えた。ぎょっとして思わず首元にしがみつく。というか、こいつユアン殿下って言われてなかった?
ま、待て、待って!こ、この人よく見れば前世の俺の一番上のお兄様じゃないか!?こ、この距離感は何っ!?お、俺嫌われてるんじゃ……!?
「ですが……」
「くどい。それとも王族に名を連ねる俺に何か言いたいことでもあるの?」
「……失礼いたしました」
ふんっと鼻を鳴らして、その前世の一番目お兄様は俺を抱えて歩いていく。俺はえ、えっと戸惑いながらお兄様と先ほどの男を見てあれ?っと首を傾げた。なんか、さっきの男に知り合いの面影があるようなないような……。
そんな事を考えていると急速に眠気が襲ってきた。抱っこされててゆらゆらいい感じに揺れて温かくて……。
いつの間にか俺はまた眠っていた。
ーーーーー
ぱぱいやさん、感想ありがとうございました!!
また、たくさんのお気に入り登録ありがとうございます!
16歳編スタートします(笑)
うがああっと頭をかき混ぜてぴたりっと動きを止める。よくよく見れば部屋自体広くて綺麗で、ここ絶対孤児院じゃない。
立ち上がろうとしてぐらりっと体が傾いた。慌てて何かに掴まろうとして机の上の水瓶ひっくり返した。しかも派手な音立てて壊してしまった。
「うっわ、やっべぇ!」
慌てて壊していない状態まで戻し、ほっと息を吐く。そして何事もなかったようにそれを机に戻して、ゆっくりと立ち上がる。くらっと一瞬眩暈がしたが大したものではない。ふるふると頭を振って、一歩踏み出して、急速に息が上がるのを感じた。体が重く、ぜーぜーっと少し歩いただけで疲れる。なんだこれ、もうすでに盛られてる?
ふーっと息を吐いて落ち着かせているとばたばたと足音が聞こえた。しかもそれが近づいてくるので慌てて扉の死角に入る。
ばんっと勢いよく扉が開き、かつかつっと足音を鳴らしてベッドに茶髪の男が向かった。後頭部しか見えないが、男だ。というか、なんだろ、空気がピリピリしてる。怖い。
そこまで認識した後にそっと出ていこうと相手を見つめながらそろそろと足を運ぶとぐるんっとその首が動いた。
ぎらっとその緑色の瞳が光り、ひっと俺は悲鳴を上げた。
「ご、ごめんなさい!」
よく顔見れなかったけど、やばそう!逃げるが勝ちだ!うん!
こけそうになりながら慌ててよく動かない足を動かし廊下を走る。後ろから徐々に足音が近づいてくるのを聞きながら、角を曲がって、あっと声をあげる。
そこには俺と同じような落ち着いた赤色の髪の男がいて、俺は慌てて身を引くがずるっと足が滑り後方に体が傾いていく。
「ちょっ!?」
「―――っ!」
衝撃に目をつぶるが、ぐいっと腕を掴まれて引っ張られた。それからぽすんっと抱きしめられて俺は、恐る恐る目を開けると正面からぶつかりそうになったあの男がはあっと息を吐いた。
「大丈夫?足捻ってない?」
「え、あ、はい。すみませんでした」
「いいよ。お前は俺の……だし」
ん?ちょっと聞き取れなかったんだけど。いや、いい!聞き返すなよ俺!こういうパターンは良くないこと起きるから!
一瞬芽生えた疑問を口にしようとしてぐっと押える。危ない。
「殿下!」
「……っ!?」
その声にばっと振り向けばあの茶髪の男がいた。それから、その男が発した言葉を反芻させる。
殿下って言わなかった?この男、王族……?
ひくっと頬をひきつらせてそっと手をあげた。
「も、申し訳あ……」
「殿下っ!先ほど起きられたばかりでそのように走り回ってはいけません!どうか、お部屋にお戻りください」
「え……?」
あれ、俺のこと言ってる君?いや、殿下って、いやいやいや。もしやこれあの悪夢の延長?俺、そろそろ殺される?死んじゃう?
そんな事を考えていたらそっとその茶髪の男が手を出してきたので思わずびくっと体を震わせてしまう。
さっきの顔怖かったからつい……。
とはいえ、怪しまれないためにもここは手を取って帰った方がいいんだろう。
そっと手を出そうとしたら、その前にばしんっと彼の手ははたかれた。
「ちょっと、どの面下げてこの子をエスコートしようって?怖がってるのわかんないの?」
「……殿下は目覚めたばかりで混乱しているだけですよ」
「それだけ?この子は基本的に物怖じしない子だよ。君が何かしたんじゃないの?」
「していません」
「……あっそ、でも怖がってるからこの子は俺が連れていく。いいね」
「しかしユアン殿下は公務でお忙しいでしょう?」
「俺のお、お……。兎に角!ただ連れて行くだけで時間はかからないから!」
すると、ひょいっと彼は俺の体を抱えた。ぎょっとして思わず首元にしがみつく。というか、こいつユアン殿下って言われてなかった?
ま、待て、待って!こ、この人よく見れば前世の俺の一番上のお兄様じゃないか!?こ、この距離感は何っ!?お、俺嫌われてるんじゃ……!?
「ですが……」
「くどい。それとも王族に名を連ねる俺に何か言いたいことでもあるの?」
「……失礼いたしました」
ふんっと鼻を鳴らして、その前世の一番目お兄様は俺を抱えて歩いていく。俺はえ、えっと戸惑いながらお兄様と先ほどの男を見てあれ?っと首を傾げた。なんか、さっきの男に知り合いの面影があるようなないような……。
そんな事を考えていると急速に眠気が襲ってきた。抱っこされててゆらゆらいい感じに揺れて温かくて……。
いつの間にか俺はまた眠っていた。
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ぱぱいやさん、感想ありがとうございました!!
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