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◆在るべきところへ◇15話◇蘇りの木 ②
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◆在るべきところへ◇15話◇蘇りの木 ②
「ライネ?」
インティスがその視線の先を追うと、壁に小さな目がくっついていた。
その目はじっと二人を見比べると、ぱちぱちと瞬きした。
「うえから、うえからきた。あてねをたすけにきた?」
「あんた、あの子を知ってるの?」
びっくりしているインティスは置いといて、ライネが尋ねる。
「しってる。つれてかれた。たすけないと、きにすわれちゃう」
◇
目印の炎を入り口に置いたと言う壁の目は、通路を移動しながら一生懸命アテネとの数週間について喋った。
レイとカーリアンはその後を追い、話を聞きながら思案を巡らせる。
「蘇りの木なんて聞いたことがないな……」
「私もないわ。ジャドニックを蘇らせようとして、何かいけないことに手を出したんじゃないかしら」
「きにいっぱいすわせて、ここのにんげんすごいへった。あてねもつれてかれた」
「誰がアテネを連れて行ったの?」
カーリアンが尋ねた。
「きのところにいる、あかいやつ。ひでねむらせて、つれてった」
「……ミゼリットならそれくらいやるだろうな」
レイがやれやれと溜息をつく一方で、インティスは不安を感じていた。
彼女にさらわれてから、アテネはずっとここで過ごしていたと言う。
こんな狭いところで、どれだけ過酷だったことだろう。
レイやカーリアン曰く、時間が流れないから空腹感などはないということだったが、そういう話ではない。
次に会う時には彼女の何かが変わっているのではないか、それまでの彼女ではなくなってしまっているような気がした。
「トキトって言ったわね。あとどれくらいで木のところに着きそう?」
「もうちょっとだよ、あそこ」
アテネにつけてもらった名前をカーリアンに呼ばれ、トキトは誇らしげに視線を遠くへやった。
すると突然視界が開け、地下なのに城でも建てられそうなほど広い空間に出た。
相変わらず黒と灰色が続く地面と土壁。その真ん中に大人十人ほどが手をつないでようやく一周できそうなほど太く、地上まで届きそうな真っ赤な大木があった。
根には人間が何人も捕らわれていて、眠っているのか誰一人として抵抗している様子はない。
飛び出そうとするインティスをレイが制し、眉を顰めた。
根に巻き付かれた人間は意識を失ったまま次第に痩せ細り、枯れ木のようになって根の一部と化していく。
すると人間の腰から上のような形をした土の塊が、一カ所に人間を集めたところから一人、また一人と根の方へ連れて行く。
それらをミゼリットは人二人分ほどの高さから眺めていた。
「ライネ?」
インティスがその視線の先を追うと、壁に小さな目がくっついていた。
その目はじっと二人を見比べると、ぱちぱちと瞬きした。
「うえから、うえからきた。あてねをたすけにきた?」
「あんた、あの子を知ってるの?」
びっくりしているインティスは置いといて、ライネが尋ねる。
「しってる。つれてかれた。たすけないと、きにすわれちゃう」
◇
目印の炎を入り口に置いたと言う壁の目は、通路を移動しながら一生懸命アテネとの数週間について喋った。
レイとカーリアンはその後を追い、話を聞きながら思案を巡らせる。
「蘇りの木なんて聞いたことがないな……」
「私もないわ。ジャドニックを蘇らせようとして、何かいけないことに手を出したんじゃないかしら」
「きにいっぱいすわせて、ここのにんげんすごいへった。あてねもつれてかれた」
「誰がアテネを連れて行ったの?」
カーリアンが尋ねた。
「きのところにいる、あかいやつ。ひでねむらせて、つれてった」
「……ミゼリットならそれくらいやるだろうな」
レイがやれやれと溜息をつく一方で、インティスは不安を感じていた。
彼女にさらわれてから、アテネはずっとここで過ごしていたと言う。
こんな狭いところで、どれだけ過酷だったことだろう。
レイやカーリアン曰く、時間が流れないから空腹感などはないということだったが、そういう話ではない。
次に会う時には彼女の何かが変わっているのではないか、それまでの彼女ではなくなってしまっているような気がした。
「トキトって言ったわね。あとどれくらいで木のところに着きそう?」
「もうちょっとだよ、あそこ」
アテネにつけてもらった名前をカーリアンに呼ばれ、トキトは誇らしげに視線を遠くへやった。
すると突然視界が開け、地下なのに城でも建てられそうなほど広い空間に出た。
相変わらず黒と灰色が続く地面と土壁。その真ん中に大人十人ほどが手をつないでようやく一周できそうなほど太く、地上まで届きそうな真っ赤な大木があった。
根には人間が何人も捕らわれていて、眠っているのか誰一人として抵抗している様子はない。
飛び出そうとするインティスをレイが制し、眉を顰めた。
根に巻き付かれた人間は意識を失ったまま次第に痩せ細り、枯れ木のようになって根の一部と化していく。
すると人間の腰から上のような形をした土の塊が、一カ所に人間を集めたところから一人、また一人と根の方へ連れて行く。
それらをミゼリットは人二人分ほどの高さから眺めていた。
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