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翌日、呼び出された侯爵と令嬢カトリーヌは、ブレッドと面会というかお見合いをしていた。


「わざわざすまないね。こちらが侯爵ご自慢の令嬢だね。初めまして。ブレッドだ。」

「……っは、初めまして。カトリーヌと申します。お会いできて光栄でございます。」

「ははは。娘は殿下に一瞬で心を奪われてしまったようですね。」

「本当かい?私もこんな愛らしい令嬢と知り合えて嬉しいよ。」

「失礼ですが、前の婚約者の公爵令嬢とは既に婚約解消を?」

「ああ。不幸な事件があったが、彼女はその時の相手と結ばれたそうだ。よかったよ。」

「やはりそうだったのですね。では我が娘を次の候補にということで?」

「そうだね。私としてはカトリーヌ嬢が気に入ったよ。
 でもまだ15歳なんだね。18歳まで学園に通うつもりなのかい?
 16歳で結婚が可能ならば、君を選びたいんだが…」

「いいえ。あと半年でカトリーヌは16歳になります。
 よろしければ、ご希望に沿うつもりでおります。」

「いいのかい?カトリーヌ嬢。君の気持ちは?」

「ブレッド殿下に嫁げるのなら、16歳でも構いません。」

「嬉しいよ。では話を進めることにしよう。父が朗報を待ち構えているはずだ。
 このまま婚約を結んでしまおう。」


あらかじめ準備しておいた婚約の書類に署名をしていく。
条件も特に前と変わらない。
令嬢側は持参金を準備して嫁いでくるだけなのだから。


「私の爵位は公爵になるんだが、どこの領地を貰うかは決めていなくてね。
 侯爵領の近くや他に希望があれば教えてくれ。条件に合う国営領を貰うよ。
 もちろん、今現在で利益がある領地に限るけどね。
 あとは、結婚式準備だね。カトリーヌ嬢も希望があれば言ってくれ。」

「あの、婚約パーティーは?」

「ああ、するかい?前の婚約者はする気がなくてね。公示だけだったから。
 君が望むなら喜んで。」


カトリーヌはとても嬉しそうだった。
すごく純粋そうなカトリーヌをどう可愛がろうか頭の中で妄想するブレッドだった。


侯爵が一足先に部屋を出た隙に、カトリーヌを素早く抱きしめて口づけた。


「君が可愛くてね。次に会える日まで今の口づけを忘れないで。私も忘れないから。」


真っ赤になったカトリーヌの耳元で囁くと、あっという間にブレッドの虜だ。





国王に婚約の報告を終えたブレッドは部屋に戻るなり爆笑した。


「あはははは。嘘みたいに純粋なお嬢様だ。今まで周りにいないタイプだったな。
 うまく育てれば、すごくいい妻になりそうだ。
 貞淑で、だけど閨では淫乱で、愛人にも寛容で…… 
 おそらく不満に思うことも抱いてやれば満足するだろう……そう思わないか?」


いつもそばにいる侍従に聞いてみた。


「ええ。殿下に見惚れていましたね。甘い言葉と口づけで完璧に落ちました。
 侯爵には愛人がいますし、愛人の子供にも援助していますから理解もあるでしょう。」

「結婚前に抱くのはヤバいか?あの胸、早く育てたいなぁ。」
 
「まだ15歳ですからね。純潔を奪うのは初夜がよろしいかと。
 胸を揉んで吸うくらいなら良いのでは?徐々に慣れさせると怖がることなく委ねるでしょう。」

「今の愛人たち、ちょっと中の締まりが悪くなってきたんだよな。
 前みたいにお前に抱かれるように仕向けるから、抱いたらお役御免だと捨ててくれ。」


いくら、王子が促したからと言って他の男に抱かれる愛人は不要だ。
王子は『冗談』で言ったのだから。試されたのに気づかないようでは王子の愛人に相応しくない。
そういう最もな理由付けをして、これまでも愛人を捨ててきた。行先は特殊な娼館。


ブレッドの侍従は、主人に忠実だった。

  


 
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