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しおりを挟む媚薬事件は、シャノンとカトリーヌを狙ったことからブレッドの婚約者に危害を加えようとしたことは明らかだった。
しかも、今回はブレッドに睡眠薬。
つまり、媚薬を飲んだカトリーヌの相手をブレッドができないように仕組んだことだったのだ。
ウェイターの供述から、ある伯爵令嬢の指示だと判明した。
この伯爵令嬢は、ライオネルが婚約直前までいったルージュラだったのだが…
ここまでしか判明していない。ルージュラが黙秘しているからだ。
ライオネルとシャノンは首を傾げるしかなかった。
「あなたと婚約するつもりだったのよね?その令嬢は。」
「本人は乗り気には見えなかったけどね。
シャノンの時に俺が助けたのは、ルージュラ嬢には予測できないことだろ?
だから婚約が結ばれないことを狙った犯行でもないしな。」
「じゃあ、やっぱりルージュラさんはブレッド殿下を狙ってたのかしら?
でも、伯爵令嬢では私の後にブレッド殿下の婚約者になる可能性は低いわ?」
「そうだよな。実際に侯爵令嬢のカトリーヌ嬢が選ばれたわけだし。」
「ルージュラさんはいつか自分が選ばれるのを待つつもりだった?
それとも、殿下とお知り合いなのかしら?」
「…そっちか。ひょっとして殿下とルージュラ嬢は体の関係があったんじゃないか?」
「だから選ばれると思ったってこと?愛人の一人?」
「いや、それは違うかも。それなら伯爵が俺との結婚は進めないだろうから。
一晩だけだったのかもな。」
「じゃあ、殿下が会いに行けば黙秘しなくなるんじゃない?」
「あー。そうかも。調査官に助言してみるよ。」
調査官がルージュラに、ブレッド殿下に言いたいことはあるかと聞くと、目を輝かせて直接伝えたいことがあるのだと言ったそうだ。
安全を確保の上、ルージュラと殿下を会わせた。
ルージュラが言うには、ブレッド殿下に純潔を捧げたらしい。
しかし、ブレッド殿下は全く覚えていなかった。
今から4か月ほど前の話で、酒に酔った勢いでルージュラが殿下を誘うと抱いてくれたというのだ。
そして、ルージュラは妊娠したのだと言った。
子供の父親と結婚することは当たり前だ。
でも婚約者が邪魔だった。
だから、穏便に殿下から離す方法で媚薬を選んで、予定通りに婚約解消になった。
妊娠を殿下に告げようと父の伯爵にも相談していたのに、あっという間に次の婚約者が決まっていた。
だから、また媚薬で殿下から婚約者を離そうとした。
そこでようやく殿下が思い出した。
愛人候補の女性だと思って抱いたら、結婚の話をしだした頭のおかしい女だと。
子供が自分の子のはずがない。避妊薬を飲んでる。
あんなに感じまくってた処女がいるわけがない。
それは軽いピンクの媚薬を飲んだからだとルージュラが言ったが、婚約者でもない男に抱かれたのだから愛人候補だと思われても仕方がなかった。
結局、王族とその婚約者に薬を盛った罪で重い罪となった。
ちなみに妊娠は思い込みだった。
ルージュラとその父親の伯爵は、殿下の子供を妊娠していると思っていたから、ライオネルとの婚約が直前で白紙になっても文句を言わなかったということだろう。
肩すかしを食らった不思議な気持ちになった理由が思い込み妊娠のせいだったということだ。
こちら側にとっては揉め事にならずに済んでよかったが、まさかこの犯罪に関わっていただなんて思いもしなかった。
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