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ルカリオの処遇については困った。

『子種を絶ち、名前を変え、国外追放』 
 
国王が考えた案に王妃が反対する。

『病気療養で離宮幽閉』もしくは『名前を変えて実家の領地で労働』



王太子として顔が知られているため、王妃の実家の領地は認められない。
王家から王太子を追放した理由を追求されると困る。

離宮幽閉も長期間に及ぶと元気な姿を見られる恐れがあるし、先が長すぎる。



公爵から出た案は、『外交官』
つまり、国からは出るが仕事もする。もちろん子種を絶った上で。


離婚の理由は、どうしても『子種がない』ことにする必要がある。
後継をユリアナに任せる正統な理由がいるためだ。

ルカリオに子供ができることは、もう許されない。



子種がないと判明したルカリオは王太子に相応しくないと自ら身を引いた。
王家の執務を婚約者時代から長年頑張ってきたユリアナこそ王太女に相応しい。
ユリアナが新たな伴侶と共に後継者を授かり、王家を盛り立ててほしい。
ルカリオ自身は、これからも国のために働くことを望み諸外国を外交官として渡り歩く。



これが王家とルカリオの意思だと公表することに決まった。

まだルカリオには言ってもいないが。

18年も王子として教育を受けてきたのだ。
その知識と経験を恩として返してもらうのも当然のことだろう。

王家の血筋ではないことは生涯口外禁止である。
万が一、口外すると自分の母親の不貞が疑われる。
前王妃である祖母の不貞と言って誰が信じるであろうか。

前国王夫妻は既に亡くなった。親子判定での証明はもはやできない。
現国王と弟の公爵。どちらが正しい王家の血筋かを知る者は少ない。 

さあ、ルカリオはしばらく病気療養のために隔離することにしよう。
この病気のために子種が無くなった。そう思わせるためだ。

幸い、王宮の侍女たちは王太子夫妻がまだ初夜を行っていないことを知っている。
何らかの事情があり、初夜は延期であると思われている。

結婚前から体に不調があり、内密に処置していたが悪化して病気療養。
そのように思わせて貴族にも広まるようにする。
誰もが下半身の病気を患っていたと思うだろうが、それはルカリオに我慢してもらおう。
 
 
ルカリオ本人には伝えることなく、まず子種を絶つ薬が処方された。
これは、1週間ほど高熱が続くこともあり病気療養を疑われることなく実行された。

国王と王妃にとっては唯一の我が子。
一人しかできなかったので側妃の提案も何度もあった。 
しかし、弟である公爵に二人いることで周りは渋々許してくれていた。

だが、ルカリオ一人であったことが良かったのか悪かったのか。
一人だったからこそ、ユリアナと結婚させて誤魔化そうとした。
二人以上いれば、公表して公爵が国王になる道もあったのかもしれない。
…いや、王家の面子のためにそれはないか。


いずれにせよ、国王夫妻は血の繋がった孫ができることはなくなった。 



 
 
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